Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

「女性たちの貧困」を克服するための個人的見解

今日、NHKで10時からとても興味深い番組が放送された。

 

女性たちの貧困-”新たな連鎖”の衝撃-


10代20代の女性の間で深刻化する貧困の実態を描いた今年1月のクローズアップ現代「あしたが見えない」。放送後、番組サイトが異例のページビューを記録した。通常8千程度のページビューが、60万を超えたのである。そして、寄せられたのは「他人事では決してない」という切実な声だった。いま、若い女性たちの間で何が広がっているのか。取材を進め見えてきたのは、親の世代の貧困が、子の世代へと引き継がれ、特に若い女性たちに重くのしかかるという“現実”だった。番組では、厳しい生活にあえぐ若い女性たちの知られざる実態のルポを通して、“新たな貧困”を見つめていく。


この番組では、「貧困」、「母子家庭」、「離婚」、「教育」、「保育士」、「非正規雇用」といった言葉がたくさん使われており、僕個人的に、とても興味深いものだった。僕のために作ってくれたんじゃないか、と思うくらい。

でも、それほど、このテーマは「現代社会の問題」なんだと思う。

ここは、「ブログ」だから、今回の番組を見て、今自分が考えられ得る「女性たちの貧困を克服するための具体的なアイデア」を書きとめておきたい。参考にはならないと思うけど(助言したいわけではないので)、今、自分が考えられ得るかぎりの見解を示してみます。


①女性の貧困のスタートラインは、「恋愛」とその後の「望まない妊娠」にある。相手の男性の所得が低く、自身に職能がなく、かつ離婚する可能性が高い場合、女性の貧困に陥る可能性が高い。日本は、離婚後の手続きがとてもあいまいで、「まともな理性」をもった男性以外だと、「慰謝料」、「養育費」をきちんともらえる保証はない(そして、その手続きも思考停止になるほどに面倒)。国の児童扶養手当もあるけど、それだけで母子が暮らしていけるわけではない。だから、貧困防止のためには、「恋愛」(性交渉)の時点で、きちんと防衛策を考えておくこと(最高の防衛は、ヘタな恋愛をしないこと→男のほとんどが後先考えないで、性交渉を求めてくる、ということを熟知しておくこと)。今の社会は(まだ)子をもつ女性にとって恵まれた社会ではない。


 

②妊娠期間中(特に22週以降)に、夫婦間に問題が起こったり、その問題が深刻化したならば(そして自分の親があてにならない場合は)、「特別養子縁組」も可能性の視野に入れておくこと。今回の番組でも「NPO BABYポケット」という団体が紹介されていたけど、「子を手放すこと」もまた、一つの選択肢だ。日本では、「母子神話」が強固に根付いているけど、欧米では「重要な一つの選択肢(オルタナティブ)」となっている。今の日本はかつての日本とは違う。所得のない母親が一人で子どもを養っていくことは極めて困難。「育てられないなら、子どもを手放すこと」は、決して母親だけが責任を感じる必要のないこと。また、子どもを引き取りたいと思う養父母(希望者)もたくさんいる。


 

③子どもが大きくなっている場合、子と共に生きていこうと思う場合、一時的に、子どもを児童養護施設や里親等に預けて、「自立すること」だけに専念することも可能。今の時代、子をもつ母親が自立することは容易ではない。特殊な資格(医師、看護師、薬剤師、保育士、介護福祉士等)がなければ、「パート」「アルバイト」「非正規雇用」の道しかない。パートやアルバイトの収入だけでは、中高生の子どもと共にある程度の生活を送ることは極めて難しい。今回の番組でも、みんなお母さんたちは、非正規のパートだった。だから、「キレイゴト」抜きに言えば、「児童相談所」「民間支援団体」等に駆け込み、切実に訴えて、一時的に子どもを預かってもらう(そのハードルは高いけど、それ以外に日本には選択肢がない)。あるいは、「母子生活支援施設」のお世話になることもできる。とにかく、子どもと一緒に人生を送りたいなら、ホンキで「自立」だけを考えること。「資格」に頼るのもいいけど、その資格でちゃんと食べていけるのかもきちんと調べておくこと。今回の番組では、「保育士」を希望する若者が数人でていたけど、保育士の(初任の)給与で母子が生きていけるのか、調べておいた方がいい。「公立保育士」を目指すなら、相当の勉強が必要。子どもを一時的にどこかに預けるくらいの覚悟がないと、本当の意味での自立は難しい(人間はそもそも、無力な状態で生まれ、人を頼って、ゆっくりと自立していく。子どもがいるなら、なおさら自立を焦らずにめざすべきだろう)。「生活保護」も一つの選択肢だけれど、今の時代で、長期的に見たら、子どもをどこかに預けて、「経済的自立」を目指した方が、「子と共に生きる」という目的は達成しやすいだろう。

高等教育終了→とりあえず就職(第一キャリア)→結婚→出産→死別・離別→再就職困難→経済的自立(第二キャリアへ)→就職→母子の自立生活

社会の側としては、アルバイトの賃金を上げるか、あるいはシングルマザーの経済的自立の支援を行うのか、いずれにしても早急な対応が求められる。


 

④貧困家庭の子どもたちは、今、「ネットカフェ」等に漂流しているようだ。貧困状態の子どもたちは、いったい何をどうしたらいいのか。この問題はそう簡単に答えられるようなものじゃない。親は全く頼れない。所持金もない。頼るあてもない。高等教育を受ける経済力もない。(さらには、その状態で、母親等の生活までも面倒みなければならない)… もう、「絶望」である。今回の番組でも、「これが私の運命なのかな」、と少女が語っていた。けど、「運命」じゃない、と僕はやはり言いたいし、そう思いたい。そのためには、まず、「長い目」で自分の人生を考え続けること、そして、その人生を考えるためにも、「本」を読むこと。図書館でもいいし、ブックオフでもいい。まずは、「賢くなること」。単純な話で、裕福な人、あるいは地位の高い人は、(ずる賢いという意味も含めて)賢い人たちばかり。きついかもしれないけど、若ければ、勉強するだけの体力はあるはず。目先の勉強ではなく、「世の中の仕組み」を知り、自分が今後どう生きていけばいいのかをしっかり考えること。「バイトが忙しくて、そんな時間はない!」、という人には、こう反論する。「そう言うから、結局、貧困の連鎖を招いてしまうのだ。自身の貧困から抜け出そうと思うなら、まずはそのことを第一優先にしなければ!」、と。多くの(まともな)仕事には、長い下積みや修行が必要。まずは、「自分はどの道を選んで、その道を極めたいのか」、をはっきりさせないと。そのためにも、「今の日本に、どんな仕事があって、その仕事が今どういう状況になっているのか、その仕事に未来はあるのか、あるいはその仕事を取り巻く経済的な状況はどうなっているのか…」等々をきちんと知る必要がある。


 

⑤大真面目に、フランクルの『夜と霧』を読むこと、をおススメしたい。どんな状況下にあっても、人間はおのれの人生に「イエス」ということはできる。「貧困」という言葉に惑わされず、自分自身の人生を考えてもらいたい。あるいは、神谷美恵子の『こころの旅』を読んでもらいたい。どちらも簡単な本ではないけれど、頑張って、きちんと読めば、何かのヒントは得られると思う。安易な本では得られない「人生への展望」が見えてくると思う。安易な方法で、貧困という事態を乗り越えることはできない。時間をかけて、自分の知性を高めること=賢くなること、これを目指してほしい。逆転の発想だけど、賢くなれば、「貧困」であったとしても、その中で、自分の人生を肯定することはできるかもしれない。


⑥さらに、ラーメンを探求している身としては、ホンキで「ラーメン店開業」を目指す、というのも、実は実現可能なことかもしれない。まず、ラーメン店開業のためには、「高学歴」は必要ない。「女性」だからという理由で、排除されることもない。そして、ラーメン店であれば、探せば「求人」は必ずある。人気店であれば、(仕事の内容はハードだけど)ある程度の収入は得られる。

参考→http://www.ramenbank.com/recruit/

ラーメン店の仕事は過酷。それは間違いない。けれど、「パート」や「アルバイト」よりも、収入はいいし、また「独立」に向けても頑張れる。大阪では、「大阪が不景気になると、タコ焼き屋が増える」、という逸話があるけど、日本全土で言えば、やはりラーメンだろう。開業資金が他の業種よりもかからず、女性だからという偏見もなく、また努力次第で這い上がることもできる。ラーメンの世界は、ある意味で、偏見の少ない世界だ。「誰でも来たい人は来い!」という姿勢がある。閉鎖的ではない。「貧困を抜け出したい」と本気で思うなら、ラーメンの世界は色んな意味で可能性を与えてくれると思う。全国、どこにいても、「有名店」は存在する(実証済み!)。


 

⑦貧困を抜け出すことは、一人では無理、と考えるべき。人を頼る、行政を頼る、支援団体を頼る、色んな人を頼ることを求めたい。世の中、変な人もいるけれど、それと同じくらい、善良な人がいる。親身になってくれる人もいる。家庭の状況が悪く、また育ちの上でも問題を抱える人は、根本的に「他人を信用できない」、という性質をもつ(基本的信頼感の欠如)。だから、まずは、「世の中には、いい人もいる」、ということを学ぶ必要がある。難しいかもしれないけれど、トライしてみる。自分がいい人だと思っても、それが外れる可能性もある。だから、ちゃんとした人、善良な人を見抜く目を鍛えてほしい。目指す先は「自立」だけど、その自立をするために、まず誰かを頼ってほしい。③と関連するけど、今の日本でも、公的に相談に応じてくれる機関はたくさんある。そういう頼れる機関や人間を複数見つけること。そして、それをうまく使うこと(そのためにも、まず賢くなる必要はある)。


◆追記◆

僕自身、この話は他人事じゃない。

中2の時に不登校になり、全日制高校には入れず、通信制高校に進学した。もう、お先真っ暗だった。「自分はどうしたらいいんだ?!」、とずっと悩んでいた。不登校になると、もう完全に学校の勉強についていけなくなる。通信でも、ロクに勉強しなかった。というか、「勉強ってどうやるんだったっけ?」、という感じで、何をどう勉強していいのかも分からなかった。「お先、真っ暗」だった。

アルバイトだって、断られることが多かった。「オマエ、高校も行ってないの?」、とバイトの面接で言われたこともあった。当然、採用されなかった。やりたい仕事もなかった。夢は、「バンドマンでメジャーデビュー」だったから…。もう、どうしていいか分からなかった。まともな人生を送れる発想さえ、1%もなかった。みんなが高校に楽しそうに(?)通っているその姿を見ながら、私服で昼、夜の千葉をブラブラしていた(自衛隊に勧誘されることも多々あった)。学歴もないし、技術もないし、したい仕事もなかった。(←これが、ある種の抜け出せない貧困の基)

一番困るのは、「一生続けられる仕事を決められないこと」。そうすると、目先の簡単なパートやアルバイトしか、目に入らなくなる。

自立のためには、やはりまず「長期的な観点から、自分の職業を考えること」だと思う。

でも、それ以上に痛感するのは、「まずは、自分に知恵を与えること」の大切さ。頭をよくしないと、絶対にこの世の中で生きていけない。くどいけど、賢い人間はそれなりの人生をみんな送っている。賢くない人は、損をする。単純だけど、世の中はそう回っている。

今の時代、賢くなろうと願うなら、いくらでも学ぶ環境はある。まずは、「賢くなれる場所」、「賢くなれる仲間」、「賢い先輩」、「賢い本」、そういうものを探す努力から初めてみてほしい。学歴じゃない。資格でもない。まずは、「あらゆることを知ること」。お金の流れ、国の仕組み、世界の動き、世界のありとあらゆる事物、なんでもいい。世界のあらゆることを自分の中に取り込んで、その上で、自分は何をすべきかを考えてほしい。

今回の番組の終了後、ネット上でも色々な意見が出されている。その多くは、学問的な流行りもあって、「社会の制度を変えなければならない」というメッセージが多かったように思う。その面もたしかにある。人間は社会的な生き物だから。けれど、では、当の本人としてはどうしたらよいのか。社会保障が充実するのはよいけれど、どんな社会になろうと、困難は押し寄せてくる。人間の歴史が、「どんな時代になっても、貧富はある」、ということを証明している。貧困であれば、「どうしたら、貧困から抜け出せるのか」、それをもっとリアルに、実践的に、かつ本質的に考えていかなければならない、と思う。この記事は、その一つの試みである。

 

*繰り返しますが、これは「処方箋」ではありません。僕の個人的な意見であり、素朴なメッセージです。悪しからず…。

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