祐のライブで演奏される曲の中に、「HEAVY DAYS」という曲がある。すでに何度か聴いているかな。実は、この曲は、ARBの曲で、ARBの五枚目のアルバム『W』に収録されている。ARBは、1977年結成(kei2歳)、1988年デビュー。博多の「めんたいロック」の一つに数えいれられている。
祐は、ライブで、「自分を鼓舞したいときに聴きたい曲」と言っていた。僕も、これから自分を鼓舞したいときに是非聴こうと思って、ARBのアルバムを探した。また、CRAZEのライブで演奏され、DVDにも収録されている「トラブルド・キッズ」も合わせて収録されているアルバムはないか、と探したら・・・あった。
それが、『魂、ARB COMPLETE BEST 1978-1990』だった。
ARBは、その存在は知っていたが、じっくり彼らの楽曲を聴く機会はなかった。ボーカルの石橋凌さんは、中学時代、小泉今日子主演の映画『ボクの彼女に手を出すな』を見て、それで知った。カッコイイ人だなあと思っていた。イメージ的には、ハウンドドッグの大友康平に似ている俳優さんと思っていた。ところが、バンドのボーカルと知ってたまげたものだ。ただ、その時ARBを聴いた時、その曲が悪かったせいか、あんまり印象になかった。
しかし、このアルバムを聴いてたまげた。まず、曲のバリエーションの豊富さに驚いた。ロックンロールからバラード、ポップス、ビートロック、ポジパンっぽい曲まで、ありとあらゆる音楽が見事に融合されていて、しかもどれも独自の世界観があるのだ。1978年といえば、ボクが3歳の時。この頃から、これだけかっこいい音楽をやっていたなんて・・・ 主にパンクバンドなんだろうけど、聴くと色んな音楽と重なってくるのだ。長渕剛っぽい曲もある。「灰色の水曜日」は、声質は井上揚水、サウンドは浜田省吾、極上ポップだし。ロックンロールテイストの曲はRCサクセションっぽいワイルドな感じの曲だし。ROCK OVER JAPANは、デヴィッドボウイのような雰囲気をもっている。トラブルド・キッズは、ビートロックの原型ともいえる曲だし。MURDER GAMEはガゼットの「14歳のナイフ」のような歌詞で、曲もかなりV系チックでかっこいいし。とりわけ、『クレイジーラブ』はボクの超お気に入りになっちゃったし。サビの「LOVE!」ってシャウトするところなんて、心音会の祐のシャウトそっくりだし。
やばいやばい!!本当にやばい!!かっこいいのだ。全部渋いのだ。曲が今なお全然色褪せていないのだ。どの曲もメロディーも、全く古くくささを感じないのだ。また、ブルーハーツ系とボウイ系の対立もこのARBの中では見事に昇華されてしまっている。このバンドに影響を受けたバンドは数知れず、というのも頷ける。
彼らには、いわゆる『大ヒット曲』がない。けれど、それは、彼らの音楽が最先端すぎたからではないだろうか。歌詞も過激で深くて熱くていい感じだ(MURDER GAMEはN●Kで放送禁止になったみたい)。若き石橋の感性は、時代を見抜く鋭いものであった。このアルバム、現代の腐りに腐ったニセモノロックに飽き足りない人には超オススメかも。
祐師匠! こんなすごいかっこいい素敵なアルバムと出会える機会を与えてくれてありがとうございました! ボク、ARBの虜になりそうです。いつか心音会バージョンで「クレイジーラブ」、それから「JUST a 16」、聴きたいです!!!