プラスティックトゥリー(Plastic Tree)は、1993年に結成されたバンド。メンバーチェンジなどもあったが、今もなお現役バンドとして第一線で活動している珍しいバンドとも言えるだろう。デビューは1997年。その当時は、ボーカルがTUSKに似てるっていう理由で結構聴いていたなぁ。
当時の印象としては、すごく繊細で透明感があって独特な世界観をもった個性的(子性的過ぎる)バンドって感じだった。ちょっと文学青年的バンドっていうイメージをもっていたかな。ボーカルの竜太朗の歌や歌詞はすごくロマンティックで、過敏な文学青年、って感じだった。
そんなプラトゥリ(プラスティックトゥリーの略)だが、実は今の若い子たちに結構支持されているのだ。不思議な感じもするが、今の若者で彼らの音を愛している人が結構いるのだ。僕の短い教員人生の中でも、もうすでに2人出会っている。世代を超えて愛されるバンドなんて、本当に滅多にいない。一時代にどれだけ光を浴びても、次の世代にその人気が続くかどうかの担保にはならない。そういう意味で、プラトゥリは世代を超えて愛される「本質」をもっているのだろう。これは本当にすごいことだと思う。
そんなプラトゥリの最近のCDをうちの学生に借りた。昔はプラトゥリの音源もしっかり購入していたが、いつの間にか聴かなくなっていた。「聴きたいなぁ」と思いつつも、なかなか実際に買うまでには至らなかった。そういう意味ではすごくラッキー、というか幸いであった。
昨年リリースした話題作、『ポジとネガ』。昨年は彼らの当たり年でもあった。念願の武道館公演も実現させ、「ネオV系」の代表バンドとしてNHKの番組にも出演した。キャリアも十分。ある意味で本当に幸せなバンドともいえなくもない。
ネガとポジ。タイトルからしてもベテランならではのセンスを感じる。が、音を聴くとさらに驚く。というか、興奮する。
全曲通して感じるのは、プラスティックトゥリーの「らしさ」が今なお健在であり、彼らの魅力が今なおしっかりと保持されている、ということだ。竜太朗の声はかつてよりもハスキーになっていたが、その分声に厚みがある、というか、説得力があった。カッコイイし、気持ちよい。彼の声あってのバンドだということがはっきりと分かる。
音はかつてよりも重厚、濃厚になっていた。サウンドのみだったら、かつてと同じバンドとは思えないほど。21世紀型のヴィジュアル系バンドのサウンドになっていた。しかも演奏は超安定しているので、わずかなブレさえ感じられない。
雰囲気もあり、メロディーも美しい「眠れる森」。ポップで聴きやすくそして彼ららしい「不純物」。ノイジーでダークでどこか透明な「エレジー」。シングル曲でありしっとりとして熱さを感じるスピカ。NHKでも披露された「ザザ降り、ザザ鳴り」。これはホントいい曲。いい曲であって斬新的。・・・
どの曲もストーリー性があって、どこか文学的・散文的で、個性豊かだ。
こういうバンドが今なお現役で活躍してくれていることが嬉しい。これからもいい意味で変わりながら、90年代V系バンドの代名詞としてガンガンに活躍してもらいたいと願う。また、若いファンの希望となり、多くの若者の心に響くメロディーを奏で続けてもらいたい。
聴けてよかった。貸してくれてありがとう!