Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

『不登校対応専門職員』

NHKで不登校の特別番組が放送された。「愛美さんが教室に戻れる日」。

舞台は、不登校が最も多い大阪。この番組の中で、「不登校対応専門職員」と呼ばれる教師が取り上げられていた。番組に登場したのは、坂本さん。これまで100人以上の生徒とかかわったようだ。

現在、不登校生は12万7千人。

この職員は、不登校の子の家を毎日10件以上、訪問する。カウンセラーじゃなくて、不登校を専門とした先生がいるってことに結構驚いた。

愛美さんは、同じ中学の男子生徒に殴られて、学校に行けなくなった。とてもおとなしそうな生徒だ。先生が声をかけても、うんともすんとも言わない。

専門職員は、不登校になった原因を徹底的に探る。そして、殴った生徒に謝罪させている。また、小学校時代の愛美さんも調査する。すごい仕事だ。

専門職員は、ボランティアの不登校支援協力員(生徒相談室)と共に、不登校の子のサポートにあたる。

こうしたサポートがあってか、愛美さんは学校に行くようになる。教室には戻らないけど、学校に行っている。それだけでもすごいんだけど・・・

でも、教室からもれるクラスのにぎやかな声を聴くと、不安になり、涙をながし、教室の傍を離れ、相談室に戻った。

その後、相談室から教室に行く練習というのを行う。(しかし、番組ではけっこうすんなりと教室に入れてるし・・・)

そんな愛美さんの夢はアニメの声優さん。そういうわけで、学校のイベントの中の朗読(ロールプレイみたいなやつ)に挑戦する。不登校をしていたにもかかわらず、かなり積極的だ。いや、坂本さんのサポートがあって、「積極的」になれているのだ。

***

不登校対応専門職員は、家庭に入り込むこともする。担任が訪問するのとは違うアプローチで、不登校の生徒の現状を理解しようと努力する。そうすると、家庭内の複雑な問題が見えてくる(こういう描き方、NHKはホント好きだよなぁ・・・)。

二人目の男の子、尾崎君のケースでは、母親の離婚、貧困、病といった厳しい家庭内の状況と不登校を関連付けて、現状を報告していた。尾崎君は進学先(高校)の学費を払うこともできないくらいに経済的に厳しい状況にあった。 ・・・愛美さんの家庭も母子家庭で、母親は失業中だった。

***

ある相談員が言っていた。「私が一番大切にしているのは、『いつもあんたを見てるで・・・』ということ」、と。家庭やクラスで誰からも愛されない生徒がたくさんいる、ということも語られていた。

***

不登校のことになると、僕はどうしても経験者ゆえに感情的になってしまう。だから、あんまり不登校のことについて語りたいとは思わない。また、僕は不登校からうまい具合に立ち直れたけど、不登校のみんながそううまくいっているわけでもない。だから、偉そうに不登校のことを語りたくはないのだ。(元不登校と現不登校の間には、歩み寄れないほどに深い断絶がある!)

けれど、今日の番組を見ていたら、ちょっと距離を置いて見ることができたかな、と感じた。もうそろそろ不登校の研究も始めてもいい頃なのかな・・・

コメント一覧

kei
ひなママさん

はじめまして。お返事遅れてすみません。

PSWとして働かれておられるんですね。いろいろお話お聞きしたいです。

ひなママさんがかかわっておられる母親さんは精神疾患、その娘さんは不登校、ということですよね。NHKのテレビのシチュエーションに極めて近いように思います。

その方には旦那様はおられるのですか? サポートしてくれる家族の方とかはおられないのですか?

ひなママさんのお力で、お母さんと娘さんに希望が与えられんことを祈っています。実践者の力を僕は信じています。
ひなママ
はじめまして
ソーシャルワーカーのひなママと申します。
現在、母親が精神疾患があり、子どもが不登校という家庭に深くかかわっているため、興味深く読ませていただきました。
子どもは今日から中学生第1日目。新しい環境になれば自ら行けるかと望みをつないだのですが、そんなに簡単ではありませんでした。
彼女の不登校の原因は母親。母親を見捨てて学校へ行けないのです。根本に母子関係があるからやっかいです。
私は母親担当の相談事業所の精神保健福祉士です。不登校対応専門職員がいない地域なので、代わりに家庭に入り込み、支援を継続しています。学校と手を携え、彼女にとって、この家族にとって何が良いのかを考えていきたいと思っています。
またお邪魔します。
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