「俺の空」を知らないラーメンフリークはいない。91年開業の「俺の空」はラーメン激戦区「東京」で天下を取ったお店。かつては超超超・・・行列店で、これ以上にないメガヒットとなった。振りかえれば、俺の空が東京のラーメンブームの最後の王者だったのかもしれない…
俺の空は高田馬場駅(戸山口)すぐのところにある。派手な看板などはなく、地味にひっそりと存在している。かつての大行列はなく、待つことなく席に座れた。本当の俺の空のファンにとってはようやく気軽に来れるようになった、といったところか。今こそ、本当の俺の空のラーメンを味わう時かもしれない。
店内は薄暗くてちょっと落ち着ける。カウンターのみだが、天井が高いせいか、狭さを感じない。厨房が高いところにあり、店員さんたちがでかく見える。みんなガタイがすごい。女性だけだと最初はビビるかも。でも、店員さんの対応はなかなか良い。
流行はなんのそのって感じで、メニューはラーメンとつけ麺の二種類のみ。頑なに一本の道を歩んでいるように見える。このシンプルさがいいなあー
今回は掛け豚そば(800円)を注文! かつて一大ブームを引き起こした豚そばだ!
濃厚豚骨魚介のお手本のような豚そば。スープはまさにNEO TOKYO NEW スタンダードともいえる魚粉入りドロドロ濃厚豚骨で、今でこそ定番だが、まさに王道のスープであった。近年開業するラーメン店のほとんどがこの俺の空の豚そば系統、ないしはその応用と言えるだろう(さらに遡れば青葉になるんだろうが)。
スープは、豚軟骨、豚バラ肉、干し椎茸、ゲンコツ、背ガラ、豚足、アバラ骨、背脂、宗田節、昆布など、実に豊富な食材を使っているようだ(「人気店が公開する調理技術ラーメン つけ麺 冷し麺」、旭屋出版)。タレは、醤油、清酒、塩、みりんといたってシンプル(同)。それに俺の空オリジナルの香油を加えている。
さらに、俺の空の豚そばには、他店にはない独自のアプローチがある。同じような味のラーメン店が多くとも、やはり俺の空は個性的だ。
最低限に抑えられたトッピングはここならではだ。麺とスープ、それにほぐしチャーシューとネギと玉ねぎのみ。それ以外には何もない。シンプルで、考え抜かれたトッピングになっている。ほぐしチャーシューはとても評判が高く、多くの人を魅了する絶品チャーシューだ。
それに、ここの豚そばは、濃厚豚骨魚介なのに麺が極めて細い。最近は極太麺が主流だが、俺の空は細い麺にこだわっている。これだけ濃厚で細麺使用のお店ってあまりないのでは?!
やはり俺の空の豚そばは旨い。旨いもんは旨い。ブームは去っても、きちんとしたラーメンを作り続けている。残念ながら店主さんはいなかったが、ハイレベルのラーメンだったと思う(なんとも店主の嶋本さんは再び格闘家としてデビューしようとしているんだとか・・・)。
「大人気」というのは厳しいもので、そう長くは続かない。ずっとずっと行列が途絶えないラーメン屋さんなんていうのは、そうそう滅多にあるわけじゃない。極めて稀なことなのだ。俺の空はこれからが本当の勝負の瞬間。・・・でもきっと今が一番の理想なのかもしれない。派手さや華やかは求めていないお店なのだ。着実にラーメンを作り続ける頑ななお店が俺の空かもしれない。
頑張れ、俺の空!
俺の空
新宿区高田馬場4-2-31
03-3366-0631
11:00-19:00
OFFなし