Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

「石神本」 石神秀幸師匠のラーメン本 最新は10月20日!


10年前の石神本の表紙です♪ もちろん僕の本です!


来る10月20日に、石神秀幸さんの11年目となるラーメン本が発売となる。

石神秀幸さんは、僕のラーメンにおける心の師匠で、この人が目標であり、この人を超えるというとちょっと違うが、この人の上をいくことを言えるようなラーメンフリークでありたいと思っている。ラーメン界では、僕みたいな人を「石神チルドレン」と呼んだりしている。石神さんの言葉は、やはり独特で、厳しくて、で、愛情がある。憧れのラーメンライターだ。知っている人も多いのでは?!

石神さんのブログはこちら

上の画像は、そんな石神さんのデビュー作ともいえるラーメン本。たった10年前の本だが、読んでみると、今の石神本に掲載されているお店とは全然違うし、この10年間のラーメンの進化が如実に示されている、と言えるだろう。

本のクオリティーとしても数段の向上を見せている。10年前の写真は、今と比べ物にならないくらいだ。スープの表面が反射していて、正直、あんまり美味しそうに見えない(汗) 

また、この最初の石神本には、TVチャンピオンでの彼の活躍が描かれており、彼のすごさがはっきりと分かる。この中で、石神さんは、「武内さんと戦いたくて出たようなもんなんで、戦えただけでも満足しています」、と言っている。石神さんと武内さんの関係性がうっすらと見える気がして、嬉しいところ。

さらに、石神さんが司会者となり、吉村家の吉村実さん、佐野実さん、桃桜林の作田さん、インディアンの永岡さんと対談を行っている。この内容が、今となっては実に面白い。ラーメンについて書いている僕としては耳が痛くなるが、店主のホンネのようなものも見えて、実に興味深い。

石神さんの「ラーメン屋さんの側からみて、こんなお客さんは勘弁してくれよ、というのはありますか」という質問に対して、家系の元祖吉村さんはこう言い放つ。

「お客さんはね、言いたいことを言ってもいいの。虫が好かないのは自称評論家ってヤツ。あいつらは何様だと思ってんだよ!!」(p.7)

それに、佐野さんがさらにこう付け加える。

「知ったかぶりで、大したことわかってねぇのにサ」(同)

最後に、作田さんがこう叫ぶ。

「てめえが作ってみろっての!!」(同)

この対談では、「自称評論家」と呼ばれる人を厳しく非難している。今で言えば、ラーメンブロガーみたいな人のことを言っているのかな。佐野さんは、「雑誌でもインターネットでも好きに書けばいいのよ。その代わりそいつに材料を全部渡して勝負したい」、と言っており、雑誌のライターやインターネットの書き手が「自称評論家」だということが窺える。

 佐野さんと勝負なんて無理(汗)

でも、この時代には「ラーメンブロガー」なんていなかったし、対談を読んでいると、TVに出てくる評論家のことを言っているようなので、少し安堵。

ただ、今の時代、「自称評論家」っぽい人がすごくたくさんいる。10年前とは状況はかなり違うように思う。当時はブログはなくて、一部の評論家たちと食べ手の僕らという構造があったが、現在、ブログの存在抜きにラーメン評論は語れなくなってきている。ラーメン雑誌の情報は、ブログと比べてもかなりタイムラグがあり、情報としてはかなり後手にまわっている。現在では、ラーメン好きの人すべてが「自称評論家」となり、あらゆる情報がネット界に広がっている。今の時代に、上のことを声高々に叫ぼうものなら、きっと厳しい非難の声を浴びるだろう。アマチュア評論家の声が10年前よりも増え、その声には力があるのである。

そして、対談の最後の方で、「ラーメンとは何か?!」といった内容についての話が展開する。

作田さんは、「ラーメンって作った人の個性の固まりだと思うよ」、と言い切る。佐野さんも、「個性が強くなきゃ、うまいラーメンはできないね。個性のない人間が作っても伸びないし、やっぱり個性の強いところが繁盛しているよね」、と語る。永岡さんは、「ラーメンは魔物みたいなもんだね。単純作業だけど奥がグーッとあるんだよ。それを極めた人が、オンリーワンになれるんじゃないかな」、と言う。

これらの指摘は、10年後の今となっても、通用するものであろう。というより、ますます「個性」がなくなりつつあるのが、今のラーメン業界ではないだろうか。バリエーションも増えたし、ユニークさや斬新さもなくはない。けれど、最近のラーメンは、その店主の個性の見えてこないラーメンが多い気がする。濃厚魚介豚骨か、二郎か、家系か、大勝軒系か・・っていういわゆる「系統」がはっきりとしていて、そのパターンに従うだけのラーメン屋さんが増えすぎているように思う。

だが、このパターンに従えば、それなりに成功することができるのも事実。食べ手の方も、従来のパターンの「系統」にこだわるようになり、そのお店の個性や特徴を求めなくなってきているようにも見える。だから、必勝パターンがあり、そのパターンを忠実に再現できるものが(一時的だと思うが)(短期的な)成功を収めることになる。けれど、中長期的に見るとどうだろうか。10年前の石神本に載っているお店のどれだけが残っているだろうか。10年前の石神本に載っているラーメンのスタイルは、そのほとんどが古めかしく感じられる。

ただ、やはり吉村家や佐野さんのラーメンや桃桜林のラーメンなどは今もなお斬新だし、大人気となっている。とすると、やはりラーメンには「個性」が大事ってことになるんだろうな。この当時はやはりまだまだ背油チャッチャ系が猛威をふるっていた! が、その多くがなくなっている! 今の流行もやはり10年後には古く感じられるのだろう。とすると、今の時流にただ乗っているお店は淘汰されると十分に予測できるだろう。マスコミは流行を作り出すが、僕としては、やはり10年後を見据えた視点からラーメンをこれからも語っていきたいな。で、ラーメンの「良き応援団」でいたいと思う。

今年の石神本は、10月20日発売です!

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