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コロナ禍での乳児殺害-群馬県の21歳と19歳の若い男女が逮捕

2021年4月2日の「上毛新聞」で、次のような記事が出ていた。


生後間もない男児の遺体を遺棄したとして、群馬県警捜査1課と高崎署は1日、死体遺棄の疑いで、前橋市の飲食店従業員の少女(19)と、交際相手の前橋市荒子町、飲食店従業員の男(21)を逮捕した。県警によると、2人は「間違いありません」と容疑を認めている。県警は2日に男児を司法解剖して死因や死亡の経緯を調べる。

2人の逮捕容疑は共謀して3月26日ごろ、男の自宅で少女が出産した男児をビニール袋に入れて遺棄した疑い。

県警によると、31日午前11時10分ごろ、少女が母親と、レジ袋に入れた男児の遺体を持って同署を訪れ、「彼の家で赤ちゃんを産んだ」と自首した。同日、少女が母親に相談して高崎市内の病院に行き、医師から出頭を促されたという。

男児にはへその緒が付いており、目立った外傷はなかった。少女は「腹痛でトイレに行ったら生まれた。産んだ後に亡くなっていた」と供述しているという。

少女は頻繁に男宅を訪れていた。2人は「処置に困って遺棄した」と話しており、男と同居する両親と妹は出産を知らなかったとみられる。

児童相談所を運営する県によると、逮捕された少女について相談などはなく、支援対象として把握していなかったという。

現場は前橋荒子小の北東約200メートルの家屋や田畑が点在する地域の住宅。男を知る近くの女性(58)は「信じられない。親に話せれば良かったのだろうけど、心配をかけまいとしたのだろうか」と驚いた様子だった。バス停から2人が自宅へ並んで歩く様子を見たという70代の女性は「仲良さそうに腕を組んでいたのに」と声を沈ませた。

引用元はこちら


3月26日頃に出産し、そのまま死亡。その後ビニール袋に入れて、遺棄。

3月ということは、まさに昨年のコロナ禍の中で妊娠したということになる。

21歳の男性(パパ)と19歳の女性(ママ)は、仲の良いカップルだったと推測される(その一方で、男性の方はすこし複雑な背景がありそうなことも、ネット上で明らかにされている。もしかしたら19歳の女性はこの男性に弄ばれただけという可能性も否定できない)。

いずれにせよ、「赤ちゃんポスト」ないしは「内密出産」(「匿名出産)」があれば、この二人は「逮捕」されずに済んだし、また、赤ちゃんも今頃、元気に育っていたと思われる。「生きられるはずの赤ちゃん」が、また一人息を引き取った。

それだけじゃない。もしドイツみたいに「妊娠葛藤相談所」があれば、支援員・家族同士の話し合いの末に、無事にパパとママのところに戻ることもできたかもしれない。

特別養子縁組に出して、新しいパパとママのところで、愛に溢れた家庭で育つこともできたかもしれない。

きっと21歳の男性も、19歳の女性も、今激しい後悔と罪責感に苦しんでいると思う。「なんてことをしてしまったんだ」「時をまきもどせないだろうか」、と。児童相談所でも把握していないというから、おそらくは純朴な青年カップル(少なくとも女性の方は…)だったのだろう。(望まない妊娠は、特定の層の間で起こるものではなく、あらゆる層で見られる現象である)

…こういう「予期せぬ妊娠」に対して、この国は、この国の社会福祉・児童福祉は、まだまだ十分な支援体制を整えていない。

さらに言えば、コロナ禍の中、この「望まない妊娠問題」は、実は深刻な気がしてならない。

街を歩いていると、カップルたちの密着ぶりが目につく(それがダメとはいわない)。マスク着用義務、ソーシャルディスタンス、3密回避…、大人たちは必死に若者に「近づくな」と声を上げる。

でも、人間には「接触したい」という(アタッチメント的な)衝動がある。「触れたい」「抱きしめられたい」「ぎゅっとしたい/ぎゅっとされたい」…という抗えない強烈な感情が(特に若者には)ある。

この前も横浜エリアを歩いた時、若いカップルが(数えきれないくらいに)密にくっついていた。「コロナが1年も続けば、もう本能レベルで、こうなっちゃうだろうなぁ」って(おっさんながらに)思った。

だから、心配になる。

このコロナ禍という特殊な状況下において、若いカップルたちが「望まない妊娠」をし、そして「中絶」や、ないしは「遺棄」「殺害」へと向かわないだろうか、と。

望まない妊娠の問題は、長引くコロナ禍の中、特にこれからとても重要な問題になってくるように思う。

やはりまずはなんといっても「妊娠葛藤相談所」を全国に配置することが望まれる。また、今回のケースのような男女のために、「赤ちゃんポスト」「匿名出産」「内密出産」「特別養子縁組(コロナ対応)」がやはり必要だと思う。

千葉でも、街中を歩くと、若いカップルが無数に歩いている。それ自体は微笑ましい。だが、恋愛において「妊娠」を完全に遮断することは難しい(「性教育云々」という話はそれ以前の話として…)。

大人たちなら、「今のこのコロナ禍で若者の「妊娠」はかなりリスクが高い」と分かると思う。でも、若者たちはそういう大人的な発想はできない(できたら「おっさん」「おばさん」だ)。目の前の「色恋」に夢中になって、(コロナ禍で抑圧された)くっつきたい願望をそのまま本能に基づいて満たすので必死だろう。

「コロナなんだから、密着するな!」と頭ごなしに注意をしても無理だ。それを規制すればするほど、本能的にくっつこうとするだろう。それが「動物の本能」であり、それに抗うことは難しい。

だからこそ、「望まない妊娠」をした男女を想定して、支援システムを構築していかなければならない。もう10年以上、この問題について語ってきているけど、国の腰はとにかく重い。

コロナには、何億も何十億も何百億も使うのに、こういう問題には本当にお金を出さない。「赤ちゃんのいのち」がかかっているというのに…。

子どもを大事にしない国に未来はない。望まない妊娠に苦しむ女性に無関心な国に未来はない。若い男女が幼き命を殺めたことに対してなにも動こうとしない国に、愛も希望も何もない。

なんとかならないものだろうか…。

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