Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

「安保関連法案」にみる日本のホンネとタテマエ

今日の新聞の見出しはどこも、安保関連法案についてのものだった。

これからの日本は、大きく変わろうとしている。この変革の勢いは、誰にも止められないほどのものだ。

しかし、よく分からない。

何がって?!

何が分からないのかが分からない(苦笑)

本日の毎日新聞サイトでは、こう書いてある。


自民、公明両党は11日、安全保障法制整備に関する与党協議会で、今国会に提出する安保関連法案について正式に合意した。昨年7月の閣議決定で憲法解釈を変更して容認した集団的自衛権の行使は日本の存立が脅かされる「存立危機事態」が起きた際に可能になるよう武力攻撃事態法などを改正する。海外での戦争で自衛隊による米軍などへの後方支援活動の条件を緩和するほか、迅速な自衛隊派遣も可能になり、平時から戦時まで自衛隊活動を大幅に拡大することになる。

引用元はこちら


本日の読売新聞サイトでは、こう書いてある。


 2法案は、武力攻撃事態法や自衛隊法、国連平和維持活動(PKO)協力法など10本の現行法をまとめて改正する一括法「平和安全法制整備法案」と、多国籍軍への後方支援を可能にする新しい恒久法「国際平和支援法案」で構成される。一括法には、集団的自衛権の行使が可能となる武力行使の「新3要件」をすべて明記した。恒久法では、自衛隊派遣に例外なく国会の事前承認を義務付けた。…新3要件に関しては、一括法として改正する武力攻撃事態法に盛り込む。第2条で、行使が可能になる「存立危機事態」を定義し、「武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度」(第3条)、「他に適当な手段がなく」(第9条)とそれぞれ明記した。


戦後最大級の変化、と言ってもよいかもしれない。

●日本が直接他国に脅かされない場合でも、日本の存立が脅かされる場合(例えば、「戦時中の機雷掃海などで集団的自衛権を行使する場合」)には、武力攻撃ができるようにしましょう、という話と、

現在の武力攻撃事態法の条文はこちら

●日本の利害がからまなくても、同盟国(主にアメリカ)が戦争を仕掛けたら、日本もちゃんと参戦しましょうね、という話なのかな?、と。

でも、

日本国憲法第九条には、こう書いてある。


第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


もう、素人目には、何がどうなっているのか、何が正しくて、何が間違っているのか、どうすべきなのか、よく分からない。

きっと、多くの人たちが、「よく、分からん…」って感じなんじゃないかな?!、と思う。

いや、実際、本当に分かりにくい。

「何がいけないの? これまでも国際紛争を解決するために、自衛隊派遣してたじゃん」、「石油が大事なんだから、その石油の調達をしっかりやるためにも、自衛隊に頑張ってもらわないと…」、「竹島にしても、尖閣諸島にしても、日本の領土が脅かされそうになってんじゃん。ヤバいじゃん。自衛隊に守ってもらわないと、日本の領土が奪われるじゃん。そのためにも、日本も積極的に動かないと!」

そういう世論的意識からすると、今回の法改正~憲法改正の流れは、やはりある程度は理解できる。

逆に、「戦争は二度と繰り返してはいけない」、「自衛隊は軍隊ではない!」、「個別的自衛権以外の行使は、認めない!」、「日本が戦争する国になっていいのか?!」、「日本が戦後70年守ってきた平和主義を壊す気か?!」、という意見もあって、これはこれでとても大切だと思う。

僕らの誰もが、「平和主義」を壊そうとは思っていない。理想としての平和を望まない人は、一部のコアな人を除けば、いないはず。

けれど、石油や食物やその他の物資等、日本の人々の生活にかかわる重要な物資を確実に、安全に、調達するためには、あらゆる手を加えなければならない。


例えば…

石油(原油)はもう、とにかく大事なわけですよね?!

↑ 日本の原油輸入元(2013年、万kl)(石油統計)

引用元はこちら


2011年の東日本大震災以後、原発が止まっており、現在は火力発電等に頼っています。

火力発電には、大量の石油、石炭、LNGを必要とします

これらの資源は全て、「船」で運ばれてきます。

この「船」が日本にやってこなくなると、もう、大変です。

原発もダメ、石油・石炭・LNGもない、となったら、、、

日本の生活も、経済活動も、すべて動かなくなります。

だから、なんとしても、「船」を守りたい

これが、今回の法案の根っこにある「ホンネ」なのだろう、と思うのです。

だから、理想であり、理念である「平和主義」と、その条文である日本国憲法第9条が脅かされる事態になっても、みんな、沈黙しているのだろう、と思うのです。

タテマエ的には、「平和は大事だよね」、「集団的自衛権なんて認められないよね」、と言いつつも、ホンネでは、「輸入ルートの部分だけは、何としても守ってくれ!」、と。

一部で、自民党=安倍政権は戦争をしたがっている、という意見もありますが(そう思わせるような発言も度々繰り返されますが)、今回の話は、どちらかというと、僕らの生活の話なんだな、と思った次第です。

原発はダメ、でも、エネルギー資源は何としても確保して!、という僕らの矛盾する要求。

極論を言えば、外国から物資を運んでくる「船」が一隻もなくとも、やっていける国になればよいんでしょうけど、それは難しい。(海外の船が来なくなっても、みんなが、サツマイモを食べて生きれば、やっていける、という話もありますが…)

今回のこの問題は、もっと自分たちの問題として考えなければいけないことだな、と思いました。

安保関連法案の話、憲法改正の話、東日本大震災の話、原発の話、そして、僕らの生活の話、これらは全部根っこでつながっているんです。

原発は嫌、戦争も嫌、でも、TVもスマホもゲームもPCもいっぱい使って遊びたい、というのは、やはり無理な話なのでは?!、と。

日本国内で、全ての日本人が必要とするエネルギーや物資がちゃんと賄えたらいいんですけどね。

それも、やっぱり無理な話で、、、

外食好き、PC好き、ラーメンLOVEの僕には、「もう何も言えない」っていう、、、

だから、こういう戦後最大クラスの「変更」にも、みんな、沈黙して、支持してしまうのかな、と。 

PS

この記事の話は、自分の勉強のためのものなので、間違った見解になっているかもしれません。

悪しからず。。。

*****

追記

こんなやりとりがネット上で公開されていました

【問25】 日本は石油を備蓄しているから、ホルムズ海峡が封鎖されても「新三要件」に言う「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」に当たらないのではないか?
【答】 石油備蓄が約6ヶ月分ありますが、機雷が除去されなければ危険はなくなりません。石油供給が回復しなければ我が国の国民生活に死活的な影響が生じ、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されることとなる事態は生じ得ます。実際に「新三要件」に当てはまるか否かは、その事態の状況や、国際的な状況等も考慮して判断していくことになります。

コメント一覧

kei
まるへいさん

貴重なご意見、ありがとうございます。

この問題は混とんとしていて、なかなか「こうだ!」っていう意見が言いにくい問題だと思います。

「恐怖の生まれる不平等という温床を無くしていかなければいけない」というご意見には、強く共感します。自衛隊を派遣すればよい、という話ではなく。そういう本質的な議論がないことが、一番悲しいことでもありますよね。

ただ、「国家」としては、「国民の利益」をまず考えなければならない。国民が必要とする「物資」は「安全」に調達し続けなければならない。そういう「政治的判断」があったように思います。

今、1945年をどう考えるのか、というのも、僕ら国民に課せられた重いテーマだと思いました。
まるへい
大多数の日本人は1945年に軍事を考えるのをやめてしまった、
または考える機会を奪われているため、
いまでも軍事を1945年以前のものとして捉えているように思えます。
現代は外交の道具、担保としての側面が圧倒的高まっているように思えます。

地域のタガが失われると、
自称ISIL、ボコハラムのような悪夢、恐怖が生まれる現実。
ボコハラムから解放された女性の相当数が妊娠している事実。
しかしながら、力による排除では、恐怖の連鎖は断ち切れない。

根本的には時間をかけて、恐怖の生まれる不平等という温床を
無くしていかなければいけないと思います。
しかし、今この瞬間も恐怖にさらされている人を救うためのメスも必要に思えます。

とっちらかった、トン珍かんなコメントすみません。。。
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