Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

東京駅の一角にある【浜口雄幸首相銃撃現場】から山上容疑者を考える

東京駅の一角に、こんな場所があるのをご存知ですか?

東京駅の新幹線乗換口近くにあります。

この場所で、かつて【首相銃撃事件】(浜口首相遭難事件)が起こったんです。

実際に行くと、「え? こんな場所で?」って思うかと思います。

(ちなみにこの上の画像は以前撮ったものです)

銃撃されたのは、浜口雄幸首相。

これは、1930年の浜口首相のスピーチ、ですね?!

浜口首相は、この1930年11月14日、東京駅のこの場所で、右翼青年にピストルで銃撃されます。

一命はとりとめたようですが、これが原因となって、翌31年8月に亡くなっています。


【浜口雄幸襲撃事件】

ロンドン海軍軍縮条約の枢密院審議を乗り切った浜口内閣であったが、昭和5(1930)年11月14日、統帥権干犯に憤った右翼青年佐郷屋留雄によって浜口が狙撃された。浜口は一命を取りとめたが、重傷であったため、内閣は幣原外相を首相代理として第59議会に臨んだ。ところが、政友会は首相不在や幣原が政党員でないことを取り上げて、政府を攻撃した。

こうした最中に、ロンドン条約をめぐって、幣原が天皇に責任を転嫁するような発言をしたとして議会が紛糾した。この失言問題が決着すると、浜口首相の議会出席が政治問題化した。政友会が首相の出席を強く求め、予算審議を拒否したため(予算は成立)、事態を重大視した浜口は病身を押して議会に出席した。衆議院の大木書記官の日誌にはこの時の浜口と鳩山一郎との質疑応答の模様が記されている。しかし以後健康状態は悪化し、4月14日に浜口は首相を辞職し、第2次若槻礼次郎内閣が成立した。その4ヶ月後の8月26日浜口は62歳の生涯を閉じた。

引用元はこちら


浜口首相を襲撃したのは、当時21歳~22歳だった佐郷屋留雄。

この人についてのYouTube動画もありました。

こんな人だったんですね。

佐郷屋という右翼青年が引き起こした首相暗殺未遂事件。

ウィキペディアの彼のページには、


1930年11月14日午前8時58分、東京駅構内にて、特急燕に乗り込むためホームを移動中の濱口雄幸首相を至近距離より銃撃、重傷を負わせる(濱口首相遭難事件)。佐郷屋は銃撃直後に周囲の手で取り押さえられ、現行犯逮捕された。佐郷屋は背後の右翼団体を表には出さず、「濱口は社会を不安におとしめ、陛下の統帥権を犯した。だからやった。何が悪い」と供述したが、「統帥権干犯とは何か」という質問には答えられなかった。

濱口首相は一命を取り留めたものの、翌年、この時の傷がもとで死去した。ただし、濱口首相が特殊な細菌の保有者であったことから、死因は、この細菌が傷口に侵入したことによる化膿によるものと判断された。佐郷屋は殺人未遂罪で起訴されたが、1933年、殺人罪により死刑判決を受けた。1934年恩赦で無期懲役に減刑された。1940年に仮出所している。

引用元はこちら


この話は、もうずっと前から知っていて、、、

東京駅に来るたびに、このプレートを探しては、見ることを自分の任務?にしていました。

「ここで、首相が銃撃されたんだ…」

って。

平和な戦後日本にあって、「常にその平和は儚くもろいものだ」ということを忘れたくなくて、この場所に度々訪れてきました。

日本でも、権力者による民衆への弾圧や、民衆による権力者の殺害は繰りかえし行われてきました。かつて日本も「軍国主義国」となり、「一億総玉砕」を叫び、「他国の侵略」をし、破滅に向かって暴走列車のように突き進んでいきました。

多分、僕を含め、今を生きる日本のすべての人が、そういう過去を知らず、(本来は極めて例外的な)平和な時代を生きています。

ただ、そんな平和な時代も、終わりを迎えようとしているのか、あるいは、終わらせようとしているのか、分かりませんが、平和という文字がかすみ始めています。「平和を!」と叫ぶだけで、「あいつ、頭おかしいのか」と思われる時代に入っています。

僕はこれまで、(好きか嫌いかは別にして)権力者批判をこのブログでもしてきました。権力や権力者は監視されなければならないし、批判されなければならないからです。同時に、そういう権力批判が自由にできる社会でなければならないからです。それができない国は、もはや自由な民主主義国ではないんです。

でも、どれだけ権力者が不都合なことをし続けても、武器を手にして、暗殺を考えることはありませんでした。「剣」ではなく、「ペン」で批判することが最も大事なことだからです。

政治権力を民衆の暴力で返すことは、のちの大きな内戦や内乱のはじまりになります。

それを回避するために、新聞やメディアを通じて、ペンで権力を批判し続けるんです。

佐郷屋は、ペンではなく、ピストルで浜口首相に抗議の「銃声」を響かせました。

それで、何かを良い方向に解決することはできません。

良い方向に向かわせるためには、自分自身がうんと勉強することと、同じ志をもった人と連帯することが必要不可欠です。権力や権力者と対峙するためには、それ相当以上の知恵や知識が必要です。同時に、一人では無力なので、仲間と連帯して、みんなで声を上げる必要があります。

それでも…、(数年前の香港のように)連帯した仲間全員が「弾圧」されることもあります。また、(ミャンマーのように)国家側と民主派勢力が激突して、内戦に発展してしまうこともあります(かつての日本も、そういう民主派勢力をすべて抑え込み、軍事国家の道を歩み、破滅してしまいました)。

安倍さんは、僕的には全く好きな政治家ではなかった。

でも、それでも、あんな風に銃撃されて殺害されることには耐えられません。

山上容疑者の過去も分かってきて、それなりに理解することもできますが、「なぜそんな蛮行に及んだのか」と思う気持ちは払拭できません。

彼も、何かが違えば、あんな蛮行をせずに、今もシャバの世界で生きられたはずなんです。

たとえば、彼でも、気軽に大学に入学できて、政治学や宗教学や思想史などを勉強して知恵を付けて、そして、彼と同じような境遇にある人たちと連帯できて、巨大な権力(政治×宗教の無敵な勢力)に立ち向かうことで、彼自身の怨念をはらすこともできたかもしれません。彼と同じような苦しみをもった人はきっと多くいるのだから。

この国は既に根っこから腐敗しているので、こういう真っ当な路線では何もできないかもしれません。正当な戦い方では勝てない相手だったかもしれません。

でも、だからといって、「武器」や「銃」をもってよいというわけではありません。

かつての新左翼運動で「制度への長征」という言葉が使われていました。あらゆる社会的問題を克服するためには、自身が制度の中に入り込んでいって、長い時間をかけて、その中から壊していくことが必要だ、ということです。

変な話だけど、山上容疑者が「立花孝志」のような人と出会い、立花さんっぽい戦い方ができたら、また全く違った「未来」があったんだろうなって思います。立花さんもまた、NHKに絶望しつつも、「制度への長征」を仕掛けています。彼の戦いはまだ終わってないし、彼なりの仕方で暴れまわるんだろうと思います。ただし、武器は使わずに。

あるいは、山上容疑者が、(北欧のように)無料で大学に入れたなら、宮台先生みたいな先生に出会い、学問に開眼して、政治学や社会学や宗教学の視点から、厳しくペンで批判することもできたと思います。

彼のツイートを読むと、決してバカな人間じゃないと分かります。でも、彼の抱える巨大な問題を考えるための「教養」や「知識」が足りない、ということも分かります。

彼を正しい方向に導いてくれる仲間や師匠がいなかった。

そして、孤立の道をただ歩みしかなかった。

その結果、すべてに絶望し、あの蛮行に及んでしまった。

そう考えると、やっぱり「いつでもやり直せる社会」、「いつでも大学に行ける・戻れる社会」がすごく大事になってくると思いませんか?!

いつの時代も、流す涙は、「無知の涙」です。

そう、「永山則夫」の涙です。

この動画、すごく分かりやすく永山のことを解説してくれています。

山上容疑者だけでなく、佐郷屋や永山のことも踏まえると、

①正しく考えるための基本的な知識や教養、

②同じような生育歴や過去や問題意識をもつ仲間、

この二つがとても大事だということが分かってきます。

①を実現するためには、やはり(大学の無償化の前にすべき)リカレント学習の徹底化が必要であり、②を実現するためには、人と人とがつながれる場所の確保、あるいは、やはりユニバーサルな問題を扱う大学等への進学が必要だと思います。大学に行けば、問題意識をもった仲間と出会える、何歳になってもそこに行けて、自由に学べる、そういう機会を与えることもまた、政府の大きな大きな任務だと思います。

何度もここで書いてますが、18歳で高校を卒業した後、数年働いて、社会の厳しさを知ってから、大学に進学して(経済的負担なく)学ぶことができれば、自分自身の問題意識を深めることができるし、なによりもある程度成熟した人間がそこで出会い、愛を育み、結婚まで向かうチャンスも作れ、その結果、少子化問題もいくらかは解消できるはずなんです。

最後は持論ですが、【18歳総進学主義】がこの国を蝕んでいるんです。

41歳の山上容疑者が、しっかりとリカレント学習が保障されている国に生きていたら、彼自身、「やり直し」ができたんです。そして、自分自身の問題と向き合い、似たような意識をもつ仲間と出会い、もしかしたら恋人も見つけ、そして、「射殺事件」ではないかたちで、社会に貢献できていたかもしれないんです。

だから、「教育」ってとってもとっても大事なんです!!

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