Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

山路力也編著【ラーメンマップ千葉1】 待望の千葉ラーメン本

全国各地にラーメン屋があり、また同時に、全国にラーメン本がある。首都圏であれば、埼玉、茨城、神奈川県独自のラーメン本がある。都内はもう何冊も毎年出ている。が・・・ 千葉は、なぜだか、ラーメン本が出ていなかった。かつて、サービス本を含め数冊出たことがあったが、一般の書店に並ぶようなラーメン本は皆無に等しかった。(首都圏版のラーメン本の最後にちらっと紹介される程度であった) 他地域に行っても、必ずといっていいほど、その土地のラーメン本が販売されている。

千葉のラーメン好きは、本を頼りにすることができなかった。千葉のラーメンファンは、主に、【千葉拉麺通信】というホームページを利用しながら、食べ歩きをするくらいしか道はなかった(*他にも幾つか千葉のラーメンHPがあったが、千葉拉麺通信の勢いにはついていけなかった)。この千葉拉麺通信は、ただラーメンの情報を提供するだけでなく、ラーメンファンのコミュニティーの場としてもうまく機能している。私的なHPではあるが、公に開かれたサイトとなっていて、誰でも参加することができる。僕のブログを含め、多くのサイトが「情報の垂れ流し」になっている中、この千葉拉麺通信は、かなり「公共性」の強いホームページなのである。

この【千葉拉麺通信】は、JRA(Japan Raumen Association)のメンバーによって、 2000年2月に開設されたホームページで、そのHPの管理人となったのがRickyさんこと山路力也さんだった。現在、【千葉拉麺通信】は、千葉を代表するメディアとなっている。管理人である山路さんは、教育者という側面を持ちつつも、精力的に活動し、HPのみならず、千葉テレビでのラーメン番組のパーソナリティーを務めたり、ラーメンイベントの主宰となったり、ラーメン塾寺子屋の講師を務めたり、ra2というラーメン店の企画に関わったりしていて、千葉のラーメン界を総合的に取りまとめている人と言えるだろう。

そんな山路さんがこれまでの知識・経験を土台として、完成させたのが『ラーメンマップ千葉1』である。遂に、その本格的なラーメン本が先月リリースされたのだ。

紹介されているのは、選び抜かれた50件と、新店15件と、房総のご当地ラーメン店6件。数的にはかなり絞られているように思われる。【千葉拉麺通信】で紹介されている千葉のラーメン店の数が950件ほどなので、かなり厳選されていると言えるだろう。(選出にあたっての苦悩・辛さは想像に難くない。。) また、この50件は、山路さん個人の趣味というよりは、千葉のラーメン好きの人たちの意見を総合的に考えた上での選出だと(僕個人的には)思う。僕も千葉のラーメンファンのはしくれとして、この本に掲載されているお店を少なからず訪れているが、どこも「美味い」と思えるラーメン店ばかりなのだ。情報量としてはかなり限られているので、「食べ歩き」にどこまで有効かは分からないが、質にこだわった一冊として、参考にする価値のある一冊に仕上がっていると思う。「なんでこのお店が?!」っていうのはほとんどなくて、「なるほど!」って思うお店ばかり。

また、通常、ラーメン本の場合、見開き二ページを一軒のラーメン店のために費やすことはないのだが、この本は、まさに見開き二ページまるごと一軒のラーメン店を紹介している。山路さんの解説もとても丁寧で、ご主人やお店の成り立ちから、オススメメニューの紹介、店の雰囲気まで事細かに書かれている。写真もただラーメンの写真を載せているだけでなく、その店の特徴となる箇所を惜しみなく掲載している。驚くべきは、すべてのラーメン店の店主の写真が掲載されているところだ。作り手の見えるラーメン本となっているという点は、実にすごいことだと思う。50のラーメン屋さん、50人のラーメン店主、作品と人物があますところなく紹介されているラーメン本というのは、ほとんどないのではないだろうか。

長年にわたって、千葉のラーメンにこだわりつづけた山路さんだからこそ成し遂げられた成果だと言ってよいと思う。僕なんかは中途半端でいいかげんなラーメンフリークだから、都内に出たり、地方各地に行ったりしつつ、どこも究めてない・・(涙)。この本のはじめにのところで書いてあるが、この本は、「千葉のラーメンを食べ続けている私と、千葉のラーメンを撮り続けているカメラマン、そして千葉でラーメンを作り続けている店主さん。この三者のラーメンに賭ける熱い思いが一つになった『本物の一冊』」(p.1)なのである。

もちろん、この本に掲載されていない実力店もたくさんある。千葉には、まだまだ無数の魅力あるラーメン店がたくさんある。この50店だけがすごくて、他のお店は劣る、と考えてはいけない。。。ただ、「おいしいラーメンを食べたいな」、「千葉でおいしいと思われているラーメンを食べたいな」という人たちにとっては、バイブルとなりそうな一冊だ。

千葉のラーメン本、実は、今年の初めに、この本の他にもう一冊、リリースされている。【激ウマラーメン千葉】(全日本ラーメン研究会編、ワンツーマガジン社)という本で、こちらのほうは、100店掲載されている。この二冊両方に掲載されているお店もあれば、どちらかにしか掲載されていないお店もある。僕は両方購入し、どちらも熟読したが、読者の趣味や考え方や本に対するニーズなどによってどちらを選べばよいかは自ずと見えてくるはず。量より質をとるか、質より量をとるか。(これは、首都圏のラーメン本にも見られる傾向である。完全に質で勝負の石神本もあれば、量で圧倒的な存在感を示す「最新!最強!究極のラーメン」もある!)

これまで存在しなかった千葉のラーメン本。是非千葉にお越しの際には、この本を書店で見つけて、食べ歩いてみてはいかがでしょう。千葉にも、都内や神奈川などに負けない素敵なラーメン屋さんがいっぱいありますので!!

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