THE SLUT BANKS
待望のニューアルバムが先日リリースされました。
このバンドのボーカルTUSKは、元ZI:KILLのボーカル。
ZI:KILLは、X JAPANの弟分バンドで、ヴィジュアル系黎明期の人気バンド。僕は、1989年にこのバンドを知り、「真世界~real of the world~」にのめり込みました。ZI:KILL時代のTUSKの声と歌詞に多大な影響を受け、彼らの音と共に多感な時期を乗り越えました。その後、1994年にZI:KILLは解散。解散後、TUSKの消息は不明になります。
1996年、TUSKは、元ZIGGYの戸城さんらとTHE SLUT BANKSを結成。このTHE SLUT BANKSは、かつてのZI:KILLとは全く別のスタイルのバンドで、驚きました。…が、TUSKの声、歌、歌詞に惚れていた僕は、更に磨きのかかったTUSKの世界に再度のめり込みました。1997年にリリースした「死霊の悪知恵」「死霊の激愛」の衝撃は、今もはっきりと覚えています。1stシングルは、「涙の最終飛行」。面白く、カッコよく、突き抜けた曲でした。
内面的で悲観的なことを歌ってきたTUSKが、外に目を向けた感じになりました。歌詞も、ストレートさを消し、より抽象的で、状況的で、言葉遊び的な要素を強めていきます。当時20歳頃の僕は、10代同様に、TUSKの言葉から多大な影響を受け、本当に世界に飛行してしまいました(苦笑)。
よく覚えているのは、1998年のシングル「I'll go alound」を留学先のドイツでよく聴いたこと。
なんだかよく分からない歌でしたが(苦笑)、異国の地でもがき苦しむ僕にはぴったりでした。
その後、ギターのメンバーチェンジを経て、弐代目の石井さんで最高にカッコいいアルバムを完成させるも、2000年にTUSKの突然の脱退と共に、「死霊終了(解散)」。
TUSKは、元メンバー、旧友の待つCRAZEに加入。もともと人気の高かったCRAZEでしたが、その当時のTUSKとはかなり「ずれ」があって、TUSK加入以前のファンたちはかなり困惑したと思います。THE SLUT BANKSを知る人は、「うん、こんな感じ♪」って感じですが、藤崎さんや緒方さんや鈴木さん(系)が好きな人には、恐らく理解に苦しんだと思います。もともとは誰よりも何よりも「ヴィジュアル系」だったTUSKですが、2000年当時のTUSKは、白いタオルを巻いて、どすの効いた低い声で、絶叫する(しかも歌詞も一般的ではない)ボーカリストに「進化」していました。
けれど、CRAZEの歴史としては、一番在籍期間が長く、たくさんの音源がリリースされました。僕はどれも大好きでした。
そんなCRAZEも、2005年、TUSKの(ファンの間でも謎の)突然の脱退により、翌年に解散。(その後、瀧川さんと菊池さんは、D'ERLANGER再結成へと向かいます)
CRAZEを離れたTUSKは、その後2007年頃から「新宿心音会板谷祐」として、ソロ活動を行います。この頃、僕もブログを始めていて、まさにこのブログで、たくさんレポをしてきました。僕自身も、教員として働き始めていて、心音会の歌を聴きながら、新米教員人生を多忙に過ごしていました。心音会の歌には「歌詞」がなくて、それもまた、当時の僕にとっては斬新で、興味深かったです。
そして、2007年大晦日に、THE SLUT BANKSまで「蘇生(復活)」を果たすことになりました。当時のレポはこちら!
蘇生後の最高のシングル曲が「どん底」です!(僕目線)
(僕の研究室に、この「どん底」のプロモーション用のポスターが貼ってあります!)
…
中学時代にTUSKに出会い、そして、ずっと彼の背中を見ながら、年齢を重ねてきた僕。一生涯のうちで最も影響を受けたのは、きっとTUSK=板谷祐なんだと思います。親よりも先生よりも強い影響を受けたとも思います。TUSKとは、今思えば、それほど歳は離れていませんが、常に、自分の先をゆく憧れの人。この人の「言葉」から、何かを考える「基準」みたいなものが出来上がったと思います。いや、今もなお、その「基準」は、TUSKによって更新され続けている、というべきかな。僕の「思考」の基盤になっているのが、TUSKの数々の言葉なんです。(だから、僕の本の中にもTUSKは出てくるし、出てこなくても、TUSKの言葉がいっぱい入り込んでいます♪ もちろんこれからも、そうしていきます)
そんなTUSKの「今」がぎゅっと詰まった最新アルバムが、先日リリースされたのです。1989年に出会ったTUSKが今も歌い続けていて、そして、2019年の今、彼の歌に酔いしれ、そして、何かを感じ、そして、次につなげていく。それができる。その奇跡に、今の自分自身が驚いています。僕としては、いつか「板谷祐の詩と真実」という論文か本を出すのが夢。
…と、TUSKについて語ると、もう止まらないので、この辺にしまして…(;´・ω・)
***
待望の再デビュー後、三枚目のアルバム『NOIZ THE RIPPER』は、一言で言えば、その名の通り、ノイジーで荒々しくて凶暴で力強くて、でも、どこかキャッチーではじけていて跳ねまわるような一枚になっていました。特に坂下さんのギターが炸裂していて、坂下ロックンロール感が全開の曲ばかりでした。もちろん作曲は戸城さん。音的には、戸城さんのルーツや背景を感じる「ロックンロール全盛期」の空気がぎゅっとつまっています。そこに、TUSKの芸術的?な歌詞が乗っかります。歌詞がぶっとんでいるので、古めかしさはなくて、THE SLUT BANKSらしさが炸裂しています。今回はピアノやキーボードは一切入ってなくて、ベースの音もMAXレベルで、感じ的には、1997年の「死霊の悪知恵」に通じるものがあるかな? でも、もう「悪知恵」から20年以上経っているので、同じではありませんね。死霊もすっかり大人になって、大人な死霊の悪知恵、って感じ??
【全曲解説】
01.BRUSH MAN
CDをかけたら、突然ギターのノイズから始まります。一気にテンションが上がります。これは、PVにもなったので、もう四の五の言わずに、これを聴いていただけたら、、、と。とにかくど派手なR&Rサウンドで、熱いです。BRUSH MAN!と叫ぶTUSKのボイスがとにかくカッコいい。どこか、後期ZI:KILLっぽさもあり…。歌詞も面白いです。「逃げるパトカーをパトカーが追いかけ」って…。「みろよおまわりがおまわりを殺す やつはただ銃を撃ちたかったんだ」って…。これは、PVになっているので、とりあえず爆音で聴いてみてください! Hey, BRUSH MAN!って叫びましょう!
02.イガイガ
日本を誇るMr.Bassmanの戸城さんのセンス溢れるリフでスタートするパワーソング。最初の1秒に、戸城さんのベース弦に触れる音が入っていて、その1秒にぞくっときまして、その後、戸城さんでなければ出せないようなパワフルで印象的なベースリフが始まります。このベース音も、ノイズギリギリの歪んだ音でのリフになっていて、ゾクゾクします。超高速ビートで、スリリングなサウンドが展開していきます。…にしても、なんで「イガイガ」!? 最初の「イガ イガ イガ イガ イガ あれこれぶちまけろ」から、もう理解不能…。で、二番の「イガ イガ イガ イガ イビキをかいている」で、更に???になります。イガイガってイビキなの??(汗) 普通「胃がイガイガする」とかだけど…。でも、サビの言葉にきゅんときました。「悲しみを静かに のみこんでしまおう また悲しみがふえたら 吐き出しちゃえばいい」。アップテンポでイケイケなのに、「悲しみを静かに」と言葉を当ててくるところに、TUSKっぽさがあるなぁって思います。サビのメロがとっても大好き! ライブさながらの大迫力サウンド!
03.me and
猫が大好きなTUSK。me andがみゃ~みゃ~にしか聴こえない…(;´・ω・) 猫への愛の歌?? この曲も、爆音で暴走しまくる曲ですね。展開が激しいです。サビ後には、ギターとベースの高速ユニゾンが出てきて、ゾクゾクします。このユニゾンがここの聴きどころかなと思いきや、その後の高速超特急ビートでのギターソロもめっちゃカッコいい。そして、ダダッダダッダダッダダッというきめのリフが続いて、倍音になって壮大なスケールCメロ(朝方になる感じ)が登場して、最後にまたみゃ~みゃ~と続きます。「ほったらかしていっちまえばいいよ グーグー眠ってもうひとねむりして帰る」という最後の言葉に、なんかきゅんとしました。飲んで暴れて、「朝五時の始発に乗って」家に帰りましょうか。
04.痛み止めとアルコール
僕的には、「シングル曲」かな。THE SLUT BANKS節が炸裂したポップでキャッチーで、ストーリー性もある面白い曲。ギターのメインリフもめっちゃカッコいいです。Aメロは全部「痛み止めとアルコール おれにもっとわけておくれ」だけ。そして、Bメロなしで、サビへ突入。「年を数えるのもめんどくせぇ とっくにやめちまった 目尻のシワさえも愛おしくなって」。嗚呼、これぞ、TUSK節。目尻のシワさえも愛おしい、って、これ、TUSKにしか絶対に書けない歌詞だよ…。音的には、20代でも真っ青なほどにパワフルで、激しいのに、歌詞は、うん、50代以降…(苦笑)
05.見苦しいほど狂おしいほど
もう、出だしのギターで、僕の胸はキュンキュンしてしまいました。「痛め止めとアルコール」に続いて、シングル候補曲。カッコいいなぁ。坂下さんのギターセンスの素晴らしさを感じます。Aメロのギターのリフもめっちゃカッコいい! ちょい、男闘呼組みたいなリフ(汗)。そこに、トレモロ風のアルペジオの綺麗なリフがのって…。どこか80年代の匂いもありながら、でも、今風のダイバシティーっぽさも入っていて。こちらも展開がとっても激しくて、「おお」「おお」の連続でした。「やりてぇことやるだけさ ほんのちょっと秘密を抱いて 何もしないでいるくらいなら 何かしでかしてやりたいのさ 止められない」の「ほんのちょっと秘密を抱いて」というところに、TUSKっぽさを感じました。今の時代に欠けているのは、「ほんのちょっとの秘密」かも。なんでもあからさまになる時代だから。なんでも文句が言われ、なんでも炎上する…。…といいつつ、最後には、「美しいものはハッキリ見えない みにくくてもいい ハッキリ見せてくれ」と呼びかけています。そう、美しいかどうかは問わず、見苦しいほど狂おしいほしいほどに、自分自身をさらけ出したいものです。うん、僕も、(リアルに)見苦しいけど、夢を語って、さらけ出していきたいと思います。醜くたっていいじゃんって…。
06.涙をそっと流しているかい
更に、とどめを刺すように、シングル候補曲が飛び出てきます。蘇生後のTHE SLUT BANKSの魅力がぎゅっと詰まったポップでキャッチーで勢いがあってハードでスピーディーでカッコいい曲です。これも、PVになりそうな曲ですねー。「どん底」~「缶BEER」に続く作品として! 石井さんのソウルを受け継ぐ坂下さんのギターがとにかくカッコいいです。とにかくすべてがカッコいい曲。歌詞は、「おまえ」に呼びかける曲。「誰かの機嫌をうかがってなじめないままいるのさ おまえは 愛を欲しがってるくせいに愛を感じられないおまえは」、と。この「おまえ」って誰なんだろう?とずっと考え込んでいます(苦笑)。2分25秒くらいのところで一度演奏が終わるのですが、その後に、コピーするのが大変そうなギターリフ&演奏が続きます。これ、いったいどんな意味が込められているんだろう?
07.The Rolling
ファンの間で、かなり評判の曲。これもまた、THE SLUT BANKSサウンドだよなぁ…って思いますね。どうしても…、昨年の竹Pさんのお顔がちらついてしまう一曲かな…。「しばらくここにいてくれよ 自由にやろうぜ」って、竹Pさんに呼びかけているように思えてなりませんでした。そして、竹Pさんに対して、「愛嬌のない愛に愛を注ぎ踊りつづけるだけさ」と歌っているように聞こえてなりません。また、「無意味のような意味を探しつづけ 追いかけていくだけさ」、と。「無意味のような意味」って何だろう?、と。元気で生きのよいR&Rナンバーなんですが、そこにチクリと針を刺してくるあたりが、TUSKワールドなんです♪ この曲も、シングル候補になりそうだよなぁ…。04-07のこのシングル候補連続に、もう、僕はうっとりさせられまくり…(;;) 凄いわ、、、今回<も>!!
08.人形姫
この「人魚姫」から少しカラーが変わります。なんか、これまでのTHE SLUT BANKSじゃないみたい。どこかジャジーで、ブルースっぽくて、アメリカのバーに来た気分!? TUSKの歌も、なんかちょっとこれまでと違う…。「俺はもうダメさ こごえたカラダ~~~」の「カラダ~~~」ってところが、これまでのTUSKの歌い方じゃない、というか。どこまでも気だるくて、怠い感じが渋いです。「人形姫」って誰のことを言っているんだろう? なんか、夜の女性(?!)に沈んでいく男の歌って感じ?? あるいは、ロボットの女性に沈んでいく歌? どこまでも「人形姫」に堕ちて堕ちていく男の淫らさを感じます、、、
09.丸こげ
タイトル的には「イガイガ」に次ぐ不思議さを感じますね。丸こげって…(;´・ω・) TUSKの言葉選びの凄さを改めて感じます。これ、タイトルにする人いないでしょう…(;´・ω・) 音楽的にも、これまでのTHE SLUT BANKSじゃない…。切羽詰まった勢いがとてつもなく感じられます。Aメロは、もう「ラップ状態」!? (CRAZE時代に近い感じで)言葉がつまっていて、歌うのが大変そう。でも、ライブで、絶対に盛り上がりそう。ライブでみんなが暴れる姿が思い浮かびます。Bメロでは、「丸こげた真黒な世界をさまよう 丸こげた俺はさまよう 最高さ 誰もいない 上出来さ 丸こげだ」と叫びます。これ、歌うの、結構難しそう…。「どん底」を超える「丸こげ」、それでも強く生きろ!、と僕らに訴えかけてくれます。凄いわ、、、
10.Trap
立て続けに、大暴れするような超ハイパースピードソングがリスナーに襲い掛かります。これは、もう完璧に「暴れる用」の一曲ですね。ファンのみんなの大暴れが本当に目に浮かんできます。坂下さんの荒々しくも綺麗なギターリフが最後まで気持ちいい。もしかしたら、これまでのギタリストの中でも、最もTHE SLUT BANKSっぽいかも…。この曲も、これまでのTHE SLUT BANKS、TUSKの歌い方とは異なる感じで、斬新です。人形姫~丸こげ~Trapの流れは、面白いなぁ、、、。そして、TUSKの新世界? TUSKの新しい歌い方を楽しむことができます。とにかく勢い100%の曲で、熱くなりました\(^o^)/
11.HELLO MURDER
09, 10と超アッパーサウンドを喰らわせた後は、ダンサブルで思わずモンキーダンスがしたくなるような、ゴージャスなR&Rナンバー。戸城さんのロック魂を感じるエレガントで大人で余裕感のあるノリノリR&R。最初、ドラムのカウント(スティック&掛け声)が何気にカッコいい。今回の作品は、どこまでも「LIVE感」たっぷりなんだな。生っぽさへのこだわり、というか。レコーディングされた音だけど、どこまでも生に近い感じに録音されている、というか。歌詞は、「これぞ、ゾンビ集団!」っていう感じの曲。「ペテン師」「トラブルメーカー」に対して、「ここへおいでよ」と呼びかけるTUSK。そう、THE SLUT BANKSは「ならず者」たちのレクイエムバンド。結成当時のコンセプト通りの一曲かな、と。
12.病んでんのさ
09-11と暴走バンクスが炸裂して、そして、ここに来て、プログレッシブ系?の謎の一曲をぶち込んでくるあたりが、もう、今のTHE SLUT BANKSの「恐ろしさ」かもしれない。これ、聴いていると、ホント病みそう(苦笑)。きっと、TUSKもこの曲のデモを聴いた時に、「病みそうな曲だなぁ」って思ったんだと思う。「中身のない戸惑い 想像しきれない 濁ってくる空気 病んでんのさ」って…。そして「倒れ込みそうだ このまま」、と。TUSKが「倒れ込みそうだ」なんて言うと、もう30年くらいファンの僕としては心配になる(苦笑)。でも、演奏は全然病んでません。むしろ、めちゃめちゃ元気です。最後の1分40秒~の圧巻の展開(セッション的?)がめちゃめちゃカッコいいです。うん、やっぱ、病んでない。病んでたら、こんな変態的な演奏、絶対できないもの…。ゾンビのロック、ここにあり! 最後のギターのノイズが気持ちいい。
13.美貌
08~のどことなく「(古くて)新しいTHE SLUT BANKS(温故知新)」がどこかに立ち去り、ここで07までの再結成後のTHE SLUT BANKSに戻ってきた感じ!? 最後に、僕らファンをニヤニヤさせる曲をもってきたな!? 多分、スラットのファンだったら、みんな、この曲好きだろうな。「大人の色気に胸熱くする」(\(^o^)/)、そうそう、そんな感じ。「子ども」の見せかけの色気じゃなくて、「大人」の色気。あるんですよね。ガキの頃には全く分からなかった「大人の色気」。それは、音楽シーンもそう。PCで作り込んで、音を何重にも重ねて、ひたすらテクニックを追求して…、そういう音楽もガキにはいいんだろうけど、大人になると、それに何も心躍らない。「美しさ」の質って、生き方によって変わってくるんだよな。今のスラットバンクスは、とてつもなく醜くて、そしてとてつもなく美しい。荒々しい音で、多分「汚い音」なんだと思いますが、(逆説的ですが)それゆえに、とてつもなく気持ちいいんです。「丸こげたスラットバンクス」は、「大人の色気だらけ」でした。
14.かったりぃ日々抜け出して
14曲入りのアルバムもあっという間に最終曲。ラストの曲にとてもふさわしい未来志向の楽曲。ドラムもギターもベースもボーカルも、全員がキラキラと輝いている史上最高のゾンビバンドたちの「お別れソング」。ライブ本編の最後にぴったりの曲。どこか、ZI:KILLのParadiesにもつながる感じ? BRUSH MAN(戸別訪問のサラリーマン)で始まり、そして、Birdman(鳥人・飛行家)で終わり、か。Aメロの「~…Birdman!」の後のベースの高音リフがめちゃめちゃに気持ちいい!! シンプルなリフだけど、ゾクゾクする。戸城さんのベースの音にキュンキュンです。歌詞もいきなり「失業者 奇妙なやつら 使いっぱしり クルクルBirdman」ですからね。いきなり「失業者」を歌詞にぶち込めるのは、本当にTUSKだけじゃないかな?? しかも、その失業者目線でちゃんと歌詞が書けるっていうのが凄い(僕の学問的な視点もこのTUSK目線そのものなのです!)。「稼いでる やからに もみくちゃにされて 気ばらしに どこかへ お出かけしましょ かったりぃ日々 抜け出して」。更にTUSKはもっとエクストリームな人たちに呼びかけます。「身寄りのない 国籍もない ストローかんでクルクルBirdman」。TUSKは、常にエクストリームな状況下の人を意識しているように思います。そこが、他の(平凡な)ボーカリストとの決定的な違いかなと思います。身寄りもなく国籍のない鳥人間。あくまでも比喩ですが、僕らのほとんどが金持ちにはなれず、権力も持てず、「稼いでる輩」にもみくちゃにされ、つかの間の休日に酒を呑んで(ぐだぐだしゃべって)、かけがえのない人生の終わりへと向かっていくわけで…。だからこそ、「気晴らしにおでかけ」が大事なんです。会社だろうとどこだろうと、貴重な人生の時間をその組織に捧げているわけです。だからこそ、気ばらしにどこかにお出かけする自由が必要なんです。(ゴールデンウィーク10日間もいらんから、その分の有給休暇をおくれ!…)
メンバーたちのコメントも是非!!
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最近は、もっぱらChillout系しか聴いてない僕…(;´・ω・)
(日々の暮らしがきつ過ぎて)ロックを聴く元気がないというか、Chilloutに癒されていればいいという気持ちが強くて、このブログ本来の目的でもあったCDレビューもほとんどできずにいます。
でも、THE SLUT BANKSのこの新譜を聴いて、「もうちょっと熱くロックに生きようかな」って思えました。単なる娯楽は人の生き方を変えることができません。が、ロック(芸術全般)は人の生き方を変える力をもっています。否、ホンモノのアートは、人の生き方を左右させます(よくも悪くも)。このアルバムも、まさにそういう「作品」になっていると思いました。
リリース前の戸城さんのブログやインタビューなどで、本作品のこだわりの部分も聞いていました。若い頃の戸城さん自身が喜ぶような音を、楽曲を、と。しみったれたおっさん要素はどこにもなく、破壊的で暴力的で衝動的で(でも、円熟した演奏があって)、まさにTHE SLUT BANKSにしか出せないノイジーな音世界になっていました。わずか10日間でレコーディングしたとは思えないクオリティー…。それに、「鍵盤」(ピアノやキーボード)を全く入れてないのに、深みや味わいを感じる楽曲たち。
昨年は、カネタク君の脱退、竹Pさんの他界と、バンド活動の危機を迎えていたTHE SLUT BANKS。もうダメか、と思った時もあったんだとか。その時に、周囲の人たち(主に菊池の哲さんとか?)が、「THE SLUT BANKS、潰させねえよ?」となったみたいです(参考はこちら)。そして、紹介されたのが、今回の作品でドラムを叩いているHayato氏とTakaura君(24歳!)の二人だったそうです。Hayato氏は、マリスミゼルのMana様率いるMoi dix moisのドラマーで、V系ファンなら喜ぶドラマー。Takaura君は…、ワンオクを聴いて育った世代?、twitterを見ると、スラットワールドと全然違っていて、ちょっと面白かったです。ちなみに、07-11がHayatoドラムで、それ以外がTakauraドラム。(僕の解釈と)ちょっとずれたけど、新しい方向性を見せる曲をHayato氏が叩いて、それ以外はTakaura君だそうです。
それから、非売品のおまけのCDについても、少しだけ。
是非とも、本作を買って、このボーナスCDもゲットしてもらいたいので、あまり詳しいことは書きません。
ですが、このジャケット、そしてこのタイトルからは全く想像できない楽曲になっていて、もうビックリしました。え? このタイトル、このジャケットで、こういう曲???みたいな。でも、TUSKのファン、戸城さんのファン、坂下さんのファンなら、もう全員、これ、気に入ると思います。全員のルーツを感じられるというか。
一言だけ言うなれば、「かったりぃ日々抜け出して」で本編が終わって、アンコールでこれ!って感じかな。歌詞については、色々と考えちゃうから、やめときます。
我らがTHE SLUT BANKS、2019年は全国ツアー、してくれます。稲毛のK's dreamにもまた来てくれます! 全国のスラットファンのみなさん、待望のツアーですよー\(^o^)/
■“切り裂きノイズ” ツアー■
5月11日(土)吉祥寺ROCK JOINT GB
5月17日(金)新潟GPブラック
5月18日(土)長野J
5月19日(日)高崎FLEEZ
5月25日(土)名古屋UPSET
5月26日(日)神戸art house
5月28日(火)広島second clutch
5月30日(木)福岡 DRUM SON
6月1日(土)岡山desperado
6月2日(日)大阪KINGCOBRA
6月9日(日)仙台FLYING SON
6月14日(金)横浜bayside
6月15日(土)稲毛K’s Dream