1991年(平成3年)にニューギンから登場した新要件デジパチ「エキサイトカムカムAW」
★現金機デジパチ(ドラム機、中段&対角線の3ライン有効)
★賞球…7&9&11&15
★大当り確率…1/227.56
★平均出玉…2500個(アタッカーセンサーが奥にあり、出玉は多め)
★数珠連チャン機(大当り終了後、連続回転キープで1/56.89)
★兄弟機…エキサイトカムカム2AW(大当り確率1/205、5ライン機)
花札をモチーフにした新要件初期のドラム機(「エキサイトポーカー」の後続機)。「カムカム」は花札の「こいこい」をもじったもの(「エキサイト」は当時のニューギンの冠名)。リーチアクションやサウンドなど飽きの来ない作りで、個人的に好んで打った機種の一つ。丸型のアタッカーも特徴的だった。人工音声があれこれと喋るのも、妙に味があった。
向ヶ丘遊園「ニューギンザ」での実戦が思い出深い(当時の「G」誌では、ミッチー三橋氏&仮面ライターN氏による、この店での実戦データを掲載)。
本機については、当初より内部的に「謎」な部分が多く、「数珠つなぎ連チャン機」「保留玉連チャン機」「ノーマル機」など、様々な憶測が飛び交った。
各攻略誌も、それぞれ独自の分析でアプローチしたが、初めから「ノーマル」と決めつけたり、当初は「連チャン性あり」として、後から「ノーマル」に修正したりと、本機の「正体」を掴むのに苦労していた。
結局、「正確」な解析を最初に掲載したのは、「G」「M」「F」といった主力誌ではなく、辰巳出版系の攻略誌「H」であった。本機のRレジスタが持つ「特性」を捉えて、「数珠連チャン機」と明確に結論付けるに至ったのだ。その後、各誌も同様の見解を相次いで掲載した。
★エキサイトカムカムAWの連チャン性について
ホールで本機を打っていると、何故か大当り後60回転以内に再度当る事が多く、これは「数珠つなぎ連チャン機」ではないか、との疑惑が登場当初からあった。
しかも、ただ漠然と打つのではなく、大当りが終わってからも打つのを止めず、連続回転をキープしている時に限って、数珠連が来やすかったのだ。
ただ、元々の大当り確率が「1/228」という事で、件の数珠連チャンが「自力」なのか「仕組まれた」ものかについて、登場後しばらくは諸説分かれていた。
特に、本機は乱数の生成に「Rレジスタ」を使っており、「毎回ランダムな値の乱数が生成される」との認識から、「意図的な連チャン性を持たないノーマル機」という見解も多かった。
しかし、よくよく調べてみると、本機のRレジスタは完全にランダムではなく、ある条件のもとでは「偏り」が起こるように設計されていた。
その条件とは、「ドラム(デジタル)が連続回転している時」で、その場合、Rレジスタが常に「奇数」を取るように仕込まれていたのだ。いわゆる「奇数補正処理」というヤツである。
Rレジスタが奇数を取り続ける事で、連続回転中に生成される乱数には、大きな「偏り」が生じた。さらに、この乱数の偏りによって、連続回転中は内部確率の異なる4つの「状態」(モード)に振り分けられる事も分かった。その状態とは以下の4パターンで、振り分け率は均等に1/4である。
(1)天国(大当り確率=1/56.89、リーチ確率=1/7.88)
(2)地獄A(大当り確率=0、リーチ確率=0)
(3)地獄B(大当り確率=0、リーチ確率=1/15.75)
(4)地獄C(大当り確率=0、リーチ確率=1/15.75)
(1)の天国は、リーチも大当りも出やすい「高確率」状態、(2)の地獄Aは、絶対当らない上にリーチも来ない「ドハマリ」状態、(3)(4)の地獄B、Cは、リーチはそこそこ来るが絶対当らない「フェイク」状態である。
どの状態に飛ぶかは、ドラム完全停止時、玉がスタートチャッカーに入賞したタイミングで決まる。そして、その後は連続回転が途切れない限り、いずれかの状態に延々と滞在し続ける(但し、地獄Bと地獄Cは、1回転ごとにBC間を互いにループする)。
つまり、釘が甘いからといって、保留を付けっぱなしの状態でブン回すと、ひたすら地獄状態に固定されて、全く当たらない危険があったのだ。
ちなみに、保留をつけずに「単発回し」をした場合、Rレジスタは偶数・奇数の両方を拾うので(特に偶数を拾い易い)、約1/228で当たるノーマル機となる。連チャンこそ期待できないが、ドハマリが嫌ならば単発打ちをすれば良い訳だ。
で、本機が「数珠連チャン機」と言われる所以は、大当り終了後に連続回転をキープしていると、(1)の天国状態に滞在し続けたからである。
少しややこしい話だが、本機の内部プログラムによれば、2048個ある乱数のうち、特定の9個の乱数を取った場合に、大当りとなる。故に、大当り確率は9/2048=1/227.56となる。
しかし、大当り終了後の連続回転中は、内部カウンタが拾う乱数に偏りが生じ、特定の512通りの数値しか拾わなくなる。その上、大当りとなる9個の乱数は、この512通りの中に全て含まれる。よって、大当り確率は、通常時よりも4倍高い「9/512=1/56.89」にアップする。当然、大当り後の保留玉4つについても、それぞれ約1/57で連チャンが期待できる(保留連チャン率=約7%)。
一方、リーチ確率については、通常時(単発回し時)は2048通りの乱数のうち、特定の130個を拾うと「ハズレリーチ」が掛かる。すなわち、通常時のリーチ確率は130/2048=1/15.75である。さらに、大当り時を加味すれば、リーチ確率は1/14.73となる。
一方、高確率時は、512個の乱数のうち、特定の65個を拾うとハズレリーチ当選となる。よって、高確率時のリーチ確率は、65/512=1/7.88と、通常時よりも2倍高い。さらに、大当り時を加味すると、1/6.92となる。
これ以上の細かい話は避けるが、やはり連続回転中にRレジスタが奇数を取る事で、「地獄A」時の大当り確率は「0」となり、リーチ確率も「0」となる。また、フェイク状態の地獄B、地獄Cについても、ハズレリーチこそ1/15.75で出現するが、絶対に大当りする事はない。
ただ、唯一の注意点として、EカムカムのRレジスタには、連続回転中でも奇数を取らない特異なケースがあった。それは、実際にチャッカーに玉を入れずに、ゲージ棒でチャッカーを突っついてデータを取った場合だ。この作業を続けると、玉のINーOUTを管理するプログラム内にエラーが起き、256回転回した時点でRレジスタがランダムに移行するようになる。こうなってしまうと、たとえ大当り終了後から連続回転を続けても、天国状態はキープできない。データ取りをする場合、必ず玉をチャッカーに入賞させてデジタルを回す必要があった訳だ。
以上の特性に鑑みて、エキサイトカムカムAWの効率的な打ち方として、以下の方法が推奨された。
(1)大当り終了後は、可能な限り連続回転をキープする。
(一回交換やLN制の店では限界アリ。釘の渋い場合も同様。新装時が狙い目。)
(2)普段の打ち方としては、とりあえず保留玉を多く点灯させて、連続回転をキープ。
(3)連続回転中にリーチが全く掛からない場合、「地獄A」(ドハマリ)滞在の可能性がある。一旦打ち出しをストップして、ドラムが完全に停止してから、再び連続回転させる。
(4)連続回転中にリーチが頻繁に掛かるようなら、「天国」の可能性があるので、そのまま打ち続ける。
(5)但し、ハズレリーチばかりで全く大当りしない場合、フェイクである「地獄B」or「地獄C」の可能性がある。一旦打ち出しをストップして、ドラムが完全に停止してから、再び連続回転させる。
(6)何度も言うが、これらは連続回転をキープできてこそ有効な打法である。頻繁に保留がカラになるような渋釘台では、それ程の意味をなさない。ヘソやヨリの甘い台を見つける事は、当然である。
(中段ボウズ揃い…その他の大当り図柄は「松」「桜」「雨」「赤短」「青短」)