1992年(平成4年)にSANKYOから登場した新要件ハネモノ「ラウンドUFOII」
★賞球:オール10
★最高15ラウンド継続
★ハネ開閉時間:オトシ0.5秒、ヘソ0.5秒×2
★平均出玉:約800個(貯留は多く、継続率も高め)
★当時の設置店:新宿・西口大ガード「ニューミヤコ」、東南口「トーオー」など
★兄弟機:「ラウンドUFOI」(1992年)
(賞球「7&15」の「I」。「II」同様に継続率は高めで、コチラは一気の打ち止めも可能だった。)
本機は、役物の構造と大当り中の貯留が一風変わっていて、なかなか面白いハネモノだった。同社のハネモノでは、ちょうど「ザ・祭りI(II)」なんかも出ていた頃だ。コチラは、独特の水平回転盤を使った和風でユニークな台だったな。話題となった「オロチョンパ」の陰にかくれた感はあるが、本機も「ザ・祭り」も完成度自体は高かったと思う。
それでは、さっそく、本機のゲーム性を振り返ってみたい。
センター役物の内部では、メタリックな円盤(UFO)の胴体と、その下にある4つの黄色い「足」(突起)が付いた回転盤が、反時計方向に同調して回っていた。やや縦長な二層式の「水平回転盤」という感じだ。4つの「足」は、円盤下のライトにも見えた。
※SANKYOは、1993年末にも「コスモクラフトGP(SP)」という円盤を使ったハネモノを出した。あの円盤も反時計回りに動いていたが、役物の作りや貯留形式は本機と大きく異なる。
ハネに拾われた玉は、上段ステージに乗った後、ステージ左右奥から円盤の背後を通り、下段に向かう。
このハネは「ガバッ」と大きく開かず、マジカペや大明神GP、或いはOL娘よろしく、縦型ハネの可動範囲は小さめだった。それでも、寄り釘さえまともなら、こんなハネでも玉をよく拾ったのだから面白い。
上段から落下した玉は、円盤下の下段ステージ左右奥から、手前に転がる。大抵は、ステージ両端を直進してV両脇のハズレ穴に入るが、角度よく奥から斜め(中央V方向)に転がってきた場合、大当りのチャンスとなる。また、左右奥ではなく、たまに真ん中から手前に直進する事もあった気がするが、これもV入賞のチャンスだった筈だ。
また、下段ステージの両サイドには、黄色いプラスチックの「可動板」がステージ沿いに設けられていた。左右の可動板は、チャッカー入賞後に一瞬だけ上下動を行い、上昇時には「壁」の役割を果たした。可動板が上昇するとステージの横幅が狭まり、ステージ上にある玉のV入賞率が上がる。また、左右の奥から来た玉と、可動板の上昇タイミングがピッタリ合うと、玉が可動板に当って方向を変え、フラフラっと中央のVに入る事もあった。特に、ヘソ(2チャッカー)入賞時、2回目のハネ開閉で拾われた時は、可動板とのタイミングが合い易かったと記憶する。
上記各ルートで、ヤクモノ内の玉がV入賞する確率は、およそ8~10%程度だったと思う。新要件機としては悪くない数字で、良く鳴く台であれば大当りへの道はさほど遠くなかった。まぁ、「オール10」という事で、玉持ちや出玉ボリュームの面では、多少の不利があったが…。
本機はサウンドにも特徴があり、スタートチャッカー入賞時やV入賞時に、「ティロリロ、ティロリロ…」という、いかにもUFOっぽい電子音が鳴った。この音が、ちょうど平和の「ブラボーキングダム」のリーチ音のように聞こえたが、まぁ「偶然の一致」であろう(なお、「I」のサウンドはCD「ザ・パチンコ・ミュージック・フロム・SANKYOIII」に収録」)。
さて、首尾よく大当りすると、円盤の胴体部分が下降して、下段の黄色い足付き回転盤と「合体」する。こうなると、通常時とは一転して、円盤はがぜん「本領」を発揮する。
大当り中も円盤は反時計回りを続けるが、上下が合体した後は、4個ある回転盤の「足」に仕込んだ「磁石」のスイッチが入り、下段ステージに向かった玉を次々と磁力で吸い付ける。この磁石を使った大量貯留こそ、本機の大きな特徴であった。
磁力は割と強力で、玉が一個足に吸い付くと、さらに吸い付いた玉にも磁力が加わって、数珠状に2個目の玉も吸い付けるのだ。こうして、円盤はクルクルと回転しながら、4箇所ある「足」に最大7個(8カウント目に貯留は解除)の玉を吸い付けて(ぶら下げて)貯留する。
ただ、下段で全ての玉が吸い付く訳ではなく、常に回転を続ける足の位置次第では、磁石に付かずにハズレ穴へ直行する事もある。
当然、貯留が多い方が継続もしやすい。大当り中に貯留を増やせるかどうかは、役物に玉を多く拾わせる事はもちろん、玉が下段ステージにアプローチした際の、回転盤(足)の位置もポイントだったので、運の要素も高い。なお、止め打ちで足の位置を狙えるほど、円盤はノンビリ回っていなかった。
役物8カウント又はハネ15回開閉後に、足付き回転盤と「合体」していた円盤の胴体は、再び上昇を開始する。それと同時に、4つの足に仕込まれたマグネットの磁力も「オフ」となり、全貯留は一気に解除される。
また、解除と同時に、下段ステージ左右の可動板が上昇して、ステージの幅を狭める「アシスト」を行う。これにより、ステージ上に放り出された貯留玉が、手前中央のVゾーンに入る確率は、格段にアップする。
本機のV継続率は総じて高く、足への貯留が計5個以上あれば、継続は楽だった。逆に、4個以下だとパンクする場合もあった。特に、ハネ15回開閉による解除の場合、ちょうど回転盤の4個の足がV穴をまたいだ形で解除となる為、貯留4個以下ではハズレ穴に入る可能性が高い。当然、寄りの悪い台は早いラウンドでのパンクが増えた。
また、「磁石による貯留」という点でいえば、スーパーブラザースや道路工事など、そのテの磁力ハネモノにありがちだった、「磁石の強弱によるクセ」も当然に存在した。経年劣化や汚れで足元の磁力が弱まると、大当り中に貯留されにくい「クセ悪台」が生まれた訳だ。
ただ、そういった「劣化」が起こる前に、早々と台の入れ替えを行う店も少なくなかった。新宿などの勝手知ったるエリアでは、本機の設置期間もさほど長くなかったと記憶する。
「オール10」と賞球が少ないので、あまり極端に釘を絞ると客離れが進み、かといって、甘くした途端に打止め必死の「お宝台」になるので、店側も、本機の扱いには苦労したのではないか。
…という事で、もはや記憶の彼方に忘れ去られようとしている本機。こうやって「再発掘」する事で、再びレトロファンの記憶を呼び覚まし、昔のように注目が集まる事を期待したい。