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(90年代のパチンコ・パチスロ情報がメイン)

デジパチ甲子園(豊丸、デジパチ)

2014-08-17 10:46:44 | 現金機デジパチ



1993年(平成5年)に豊丸から登場した新要件デジパチ「デジパチ甲子園」


現在、第96回・夏の全国高校野球選手権大会が開催されている。連日、阪神甲子園球場では、各地の予選を勝ち抜いた高校球児達の熱戦が繰り広げられており、高校野球ファンの自分も、ハラハラ・ドキドキの連続である(今年は、特に終盤の逆転劇が目立つ)。

「時事ネタ」的な感じだが、1990年代には「高校野球」をモチーフにしたユニークなデジパチが出ていたので、今回紹介したい。本機は、出玉の爆裂度こそなかったが確率は甘く、極端なハマリも少なく「遊び易い」機種として重宝した。メーカーが命名した「青春の輝きリーチ」でも話題となった。



(スペック)

・液晶モニタ搭載
・賞球:7&15
・大当り確率:1/205
・図柄:1~15(15種類)
・デジタル停止順:左⇒右⇒中
・最高16ラウンド継続
・平均出玉:2300個
・意図的な連チャン性:なし

・リーチアクション:ノーマルリーチ、高速リーチ(SP)、青春の輝きリーチ(SP)の3種類
⇒左デジ停止時にリーチ音が「フライング」で鳴る為、事前にリーチ発生が判ってしまう。
⇒2種類のSP発展時は、超高確率で大当りする(ハズレもあり)。ノーマルの期待度は薄い。

・当時の実戦店:新宿・歌舞伎町「日拓ジャックポット」(旧:日拓II)など
⇒同店では、93年11月の新装時に導入。当時の店頭チラシでは、「話題の新機種・連チャン機「デジパチ甲子園」登場!」と煽っており、大いに期待した。
実際打ってみると、釘の甘い当初は「数珠連」を思わせる出方もしたが、実戦を重ねるにつれてノーマル然とした展開が増えていった。結局、解析でも「ノーマル」との結論に達した。
当時は、「ダービー物語事件」(93年10月~11月)など、現金機の連チャンに対する風当たりが強くなっていた時期で、メーカーが敢えて「冒険」をするのはリスクが高かった。まぁ、そのリスクを冒したメーカーも、幾つか存在したが…。



(画像ギャラリー)
殿堂・蕨店にて撮影(撮影時期…2012年12月)


(天下部分)



(保留ランプ)



(盤面左下には、高校生らしからぬ長髪&緑髪の選手。帽子の「D」は、デジパチの略か。「デジパチ学園」だったら面白い。豊丸は名古屋のメーカーなので、地元・中日ドラゴンズの帽子をモデルにした可能性も大いにある。)



(盤面右下には、清純そうな若き女性ファンの姿。この作画タッチ、どこかで見たような気も…)



(朝一出目は「9」「10」「11」。デジタルの図柄が、投球や打撃の「連続写真」(パラパラ漫画)風だったのが特徴。「15」は主審が両手を広げたデザイン。)



(デモ画面。甲子園の「子」の横棒がバットに、「園」の右下部分がボールになっていた。盤面上部に描かれた機種名も同様のデザイン。)



(ノーマルリーチ…画面にチアガールが登場。中出目が打ち上げた打球のようにズームアップしながら進む。ノーマルはほぼハズレ確定だが、たまに当る(1コマ戻りアクションあり)。一方、中出目の動きが早くなると「高速リーチ」(SP)となり、超・高確率で大当りする。)



(リーチ音が変わり、画面の周囲が赤くなって4人のチアガールがレオタード姿で踊り出すと、待望の「青春の輝きリーチ」だ。高速リーチ同様、大当りが「ほぼ」確定する。ごくまれに外れるが、猛烈に悔しい。)



(大当り時は「プレイボール」。大当りまでが地方予選で、大当り中が全国大会というノリか。)



(メインアタッカー。当時の豊丸には珍しく、センター1個貯留タイプを採用した。)



(バッターがボールを捉えた瞬間。紙吹雪が派手に舞っている。)



(豊丸の「To」マークを付けたチアリーダーが、笑顔で応援。)



(打球は一直線でバックスクリーン方向へ。やっぱり紙吹雪が舞っているw)



(優勝が決まり、胴上げで祝福。今年の夏は、果たしてどの高校が栄冠を手にするのか…)



(優勝旗授与。満面の笑みでガッツポーズする選手。高野連のクレームが付きそうな髪型)



(何と爽やかな笑顔か…これでは、高野連も黙っているしかない。かの「バツ&テリー」のような不良っぽさは微塵もない。)



(マウンドに駆け寄る女子高生と、両手で待ちうける選手。こんなシーンが、NHKで実際に放映されたら、さぞや面白いだろう。)


(歓喜の熱い抱擁、「これぞ青春」である。高野連などお構いなしだ。)






(「青春の輝きリーチ」について)




今や、リーチに何らかの名称が付けられたケースはごく普通だが、当時はデジパチや権利物のリーチに、メーカー側が特定の「名称」を付ける事例はなかった。もちろん、特徴的なSPリーチを搭載した機種は多く存在し、「ゆらゆらリーチ」(居酒屋)、「花びらリーチ」(CR花満開)、「軍配リーチ」(綱取物語)、「札めくりリーチ」(春一番)などと呼ぶ事はあったが、あくまでも攻略誌や打ち手側の「俗称」に過ぎなかった。

しかし、豊丸は本機において、2種類あるスーパーリーチの一方を、「青春の輝きリーチ」と公式に命名した。同社の「リーチ命名」は本機以後も続き、白亜紀をモチーフにしたデジパチ「恐竜天国」(94年2月)では「キラキラザウルスリーチ」、ゴルフがモチーフのデジパチ「バーディー天国」(94年8月)では「胸のときめきリーチ」という具合に、リーチ命名は同社の「十八番」ともなった。現金機の連チャン規制に対し、健全な「遊技」を強調する意味で、液晶の特性を前面に出した結果ともいえる。「コロンブスの卵」的な感じはするが、現在のリーチ命名の「礎」となった点で、大きな「転換点」といえよう。

因みに、本機は大当りの大半が「青春の輝きリーチ」、或いは「高速リーチ」を選択する。もちろん、ノーマルも稀に当る事はあったが選択率は低かった。基本的に「ノーマル=ほぼハズレ」なので、SPリーチ待ちの展開となりがちだった(これを、つまらないと感じる人もいただろう)。なお、リーチについては、引き続き「解析篇」で触れる。



(解析篇)

・大当り判定用カウンター…「0~204」の計205コマ。大当り値は「7」⇒大当り確率=1/205

・大当り判定に外れると、ハズレリーチ抽選に進む。ハズレリーチ判定用カウンターは「0~208」の計209コマ。このうち、特定の13個の乱数(「7」「29」「45」「61」「89」「94」「107」「131」「144」「152」「171」「191」「203」)を拾うと、ハズレリーチが掛かる(13/209≒6.2%)。

・ハズレリーチ抽選にも外れると、完全ハズレ目を抽選する。ハズレ出目用カウンターは、左・右・中の3種類あり、いずれも「0~14」の計15コマ(15個の出目に対応)。左カウンターが一周すると右カウンターを+1、右カウンターが一周すると中カウンターを+1する(桁上がりの関係)。


★リーチ処理について

(1)大当り時
大当り時、「ノーマル」「高速」「青春の輝き」何れのリーチを選択するかは、「リーチ振り分けモード」によって決まる。振り分けモードは「A、B、C、D」の計4つあり、滞在モードによってリーチ選択率が異なる。

(各モードのリーチ選択率)
モードA:ノーマル1/16、高速8/16、青春7/16
モードB:ノーマル1/16、高速7/16、青春8/16
モードC:ノーマル1/16、高速5/16、青春10/16
モードD:ノーマル1/16、高速3/16、青春12/16
(全モードでノーマル選択率は1/16(6.25%)と低い。すなわち、大当り時の15/16(93.75%)が「高速」or「青春」を選択。各モードで、高速と青春の選択率が違う。)

また、各モードには、モード移行用の「リーチ天井」がある。ハズレリーチが1回掛かるたびに、リーチ天井カウンターを+1する。所定のリーチ天井に到達すると、強制的に「モード再選択」を行い、天井カウンターも「0」に戻る。

(各モードのリーチ天井)
モードA:50回、モードB:10回、モードC:25回、モードD:100回
(ハズレリーチが上記回数掛かった時点で、モードを強制移行)

(モード再選択率)
モードA=9/32、モードB=6/32、モードC=1/32 モードD=16/32
(D>A>B>Cの順で選択されやすい)

リーチ天井到達前でも、ハズレリーチの度に、1/35でモードの再選択を行う。1/35の抽選に当った場合は、上記のモード選択率で新しいモードを選択し、天井カウンターもクリアされる。


(2)ハズレリーチ時
ハズレリーチ抽選に当たった場合は、基本的に「ノーマルリーチ」が選択される。その為、「青春の輝き」又は「高速」の各リーチが出現した段階で「100%大当り」とも思える。

しかしながら、これらのSPリーチでも、例外的に「ハズレ」となることがあった。それは、以下のようなケースである。

⇒大当り判定カウンター(「0~204」)でハズレ乱数「100」を拾い、かつハズレリーチに当選し、さらにハズレ出目選択で「左右出目カウンターに対して、中出目カウンターが『マイナス1』(例「4・3・4」)となった時」に限り、ハズレリーチでも「青春の輝き」又は「高速」を選択する事がある。
この場合、どのリーチを選択するかは滞在する「モード」で決まる。モードDにいれば「青春の輝き」の選択率が高くなり、モードAならば「高速」が選ばれ易くなる。レアなケースとはいえるが、これらの場合にはSPリーチでも外れとなる為、両リーチとも「鉄板」とは言えない。


まぁ、あれこれと書いてきたが、正直なところ、ノーマル機の単なるリーチ処理をこれほど複雑にした、メーカーの「意図」というものがよく判らない。とりあえずは、激アツの「青春の輝きリーチ」でもヒキ次第では外れる、という部分だけを押さえておけば十分だろう。