Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

心の距離が近づくということ

2014-10-09 18:57:57 | 素敵な現場
こんにちは。kyokoです。

今回はある施設に参加されている、T様のことを少しお話したいと思います。


T様が最初にいらしたのは三ヶ月前のことです。

「はじめまして。」とご挨拶しても、

「・・・・・」と全く表情を変えられず、何も答えられませんでした。

着席されて、ここはどんな場なのかお伝えしても先程と同じです。

ワークが始まっても表情は硬いまま、手もグッと握り締めておられます。

机の下から手を出そうとされず、出ても腕組みをされたまま。


その時に私は『そうですよね。』と心の中で思いました。

通常、全然知らない人がいきなり挨拶しても驚きますよね。

少し時間が経って、少し知ったとしても、すぐに心を開けるでしょうか。

私は人見知りはなく、初対面の方であっても近づいていけるのですが、

それでもドキドキすることはあります。

『少しずつ理解し合いたい。』『少しずつ近づけたら嬉しい。』といつも思うのです。


そして次の月、二回目のご参加です。

「T様こんにちは!」とご挨拶すると、

「名前覚えてるの?」と少し驚いた様子でした。

その日は表情がほぐれることが時折あり、笑顔も見られました。

手を握り締めたり、腕組みをされることもなく、

身振り手振りしながら少しお話もされていました。

その時の表現がこちらです。



なんだかちょっと寄り添っている感じがするのは私だけでしょうか。


そして三回目のご参加の時も「T様こんにちは!」といつも通りにご挨拶すると、

柔らかい表情でニッコリとされました。

ワークも積極的に参加され、笑顔いっぱいでした。

「この秋はどんなふうに過ごされたいですか?」と伺うと、

その日の素材(コラージュ用の写真)を手に取りながら、

「こんなのが出てきたらどうしましょ!」と、私達や職員の方との会話も弾みました。

美味しいものをたくさん食べたいということを楽しそうに話してくださいました。

その時の表現がこちらです。



「でも食べ過ぎたら太るわね。」と、ユーモアたっぷりです。


たくさん話されることや笑顔であることが大切だといっているのではありません。

その人がその人らしく、安心してここに居てくだされば嬉しいなと思うのです。

私達も私達らしく、一緒に過ごせたら幸せ。ただそれだけなのです。

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