SHOUT IT OUT LOUD

シニア担当のYokoです。


私が行う現場は様々です。


次のワークは普段以上に心を配る必要がある場所です。


認知症のみなさまが集まるフロア


たとえば、Aさんはこうです。

「こんなことやったってつまんないよ」

「早く始めなさいよ」

「説明はいらないわよ」

いつも必ずこんな言葉がワーク始まりの挨拶です。


たとえば、Bさんはこうです。

「やだよぉ～。あの人汚い。あー汚い。」

「鼻くそほじってんじゃないわよ。汚いからやめてよ」

これも挨拶代わりと行った感じです。



たとえば、Cさんはこうです。

「うるさいよ！あんたが一番うるさいよ！」

大きな声で相手に向かって言います。



たとえば、Dさんはこうです。

「〇△#)$=$(''#)"'$)R&)&#(#"><+*`」

何かを大きな声で訴えます。

その声はフロア中に響き渡ります。



あはは。。賑やかでしょ？（汗）


職員さんのご苦労を感じます。


アートセラピーは癒しの場？？

ちょっとそれとは程遠いとこのブログを読まれた方は思われるかもしれません。

そしてそれ以外のみなさんは案外気にされずに夢中でワークをされています。



これがいいのかどうかはわかりません。

確かに突然聞けばびっくりする言葉のオンパレードです。

そして前に立つ人にとって「つまんないわよ！」なんてまるでピストルでズキューンです。



だけれども私はこれでいいと思っています。



だってみんな言いたいことを言っているんです。

それが厳しい言葉やあまり快くない言葉かもしれませんが

今はこの状態なのです。

そんなみなさんがたまたま集まっているのです。



そしてそれは1時間ずっと続いているわけではありません。

ワークが始まりしばらくすると自分の世界に入る。

色を選び、素材を選び

もしかすると意図は届いていないかもしれませんが

自分で選ぶ　自分でやり遂げる　

また他の人に「これ糊よ」と交流が見られる



そして気づくとさっきまで怒鳴っていた人も

そして気づくとさっき「うるさいよ！」と放った相手にも


「いいねぇ～。うん。いいよ」

「あらぁ～綺麗だわ」

「やだよぉ～先生　みんなに見せなくたっていいよぉ～」


こんな風に穏やかになるのです。



ある時などはこうでした。

Dさんがあまりに大きな声で叫んでいる。

その事に他のみなさんが全員「うるさい」と口々に言っていました。

そう、珍しく1対多という団結の構図

普段はばらばらなのに。


そして私はこう言いました。

「Dさん！お元気ですね！」（アントニオ猪木風）

Dさんよりも大きな声で。

そして笑顔で。



ぴたり



叫びがなくなりました。



続いて他の皆さんにこう言いました。

「みなさんもDさんに負けないくらい元気よくいきましょうね」（アントニオ猪木風）

男性のCさんが「おう！」と元気よく手を上げました。

そして他のみなさんも。



認知症の方の症状は様々です。

認知症の原因疾患で区分は出来ます。

だけれどもこのアートセラピーに参加してくれる皆様を

「認知症だから」という眼がねをかけてみてはいけません。

ありのままに寄り添う。


その人がその人らしくすごせる場


今叫びたいなら叫んじゃいましょう。（大変ですけどね。汗）

怒鳴りたい気分ならそれを押さえなくたっていいです。

あれこれ文句もご愛嬌です。



その人が今いる世界はその世界なのですから。



そして私たちセラピストがする事は

そんな皆様の言葉を否定しない事。

一緒にいる事。

「静かにしてください」なんていいませんよ。

大声だされたのなら、大声でご挨拶すればいいんです。

「つまんないわよ」と言われたら、「Aさん！その通り！」（児玉清風）と返す時もあります。



どの一つの言葉にも無駄はなく

目を見て心で聴き続けると、自然と会話はナチュラルになってきます。

それが私が長年通して、認知症の方と接して感じていることです。

もちろん、私が接しているのはほんの一部の方なのだとは思いますが。



と、書きながらへこたれる時もありますけどもね。

私だって。あはは・・



そして明日が、いや今日がその現場です。


ちょっと面白いワークをやろうと思っています。

「つまんわよ！」といいながら筆を動かしちゃいそうな。。。

「うるさわよ！」といいながら絵の具を選んじゃうような。。。



「やっぱりつまんなかったわよ！」と最後に言われたらもうけものです！！