Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

天空の花 花火

2013-08-10 14:11:04 | 素敵な現場
こんにちは。札幌のjunkoです。
ちょっと遅れてしまいましたが、7月の現場の様子をお伝えします。

今回は東京・大阪の現場と同じく花火がテーマでした。
テーブルは夏の風物詩でもある金魚をスズランテープで作りディスプレイしました。

皆さま「あら、これ、金魚?」と興味津々。
全員がお揃いになったところでウォーミングアップです。
ディスプレイの金魚を利用して、金魚すくい風ゲームをしました。

紙製のすくい網を使い、テーブルの上の金魚をまずはひとつすくって練習。
「次は、すくい網の中にテーブルの金魚をぜんぶすくってみましょう!」と
ルールを加えて少しずつ難易度をあげていきます。
さらに次は金魚の個数を更に増やし、30秒という時間制限にもチャレンジです。
この段階になるとチームワークも要求されてきます。
お席を立ちっぱなしの方、手を使ってしまう方がいるくらいとっても盛り上がりました。


そしてメインワークの花火。
まずは花火の写真を皆さまと一緒に鑑賞しながら思い出などを伺ったりしました。
写真の花火をご覧になって「この花火、きれいね」「こんな花火もあるのね」
「帯広の花火がきれいだったわ」「洞爺湖の花火大会を見たわ」と色々と盛り上がりました。

その後、スズランテープを使ってお一人おひとり花火を作っていきました。
ドーナツのように真ん中に穴が空いた土台にスズランテープを巻きつけていきます。
時々「欲張りかしら」「この色がいいかしら」・・・という声が聞こえてきましたが、
皆さまあまりにも集中されていて、静かです。
あまりの静けさに耐えかねて「皆さま楽しまれてるでしょうか?」と聞いてみると、
わっと笑いがおきまた静かに、そして穏やかに時間が過ぎていきました。

その後、おひとりずつ花火鑑賞会をしていきました。
グループの皆さまの花火には「きれいね」「色使いがいいわね」という承認、
ご自分の花火には「欲張りすぎたわ」「あるものは何でも使いたくなっちゃう」と皆さま笑顔でシェアしてくださいました。




最後に皆さまの花火を集合させて合同画にして
施設のロビーに飾らせていただきました。

その合同画を見上げる皆さまの満足げなお顔が印象的でした。
ロビーを通る施設のシニアの皆さまも足を止め「まぁ、きれいね」「すごいわね~!」と喜んでいただけているようでした。

無言で合同画をご覧になっていた男性がいました。
そのままお部屋へ戻られたかと思ったら、カメラを手にして再びロビーへお見えになりました。静かに花火の写真を数枚撮影された後、またお部屋へお戻りになりました。
職員の方の話ではこの男性が写真撮影されるのは珍しいことなのだそうです。
きっと、皆さまの作成した花火から何かを感じ受け取られたのだろうなと思います。

日本人は花火の美しさを人生や命に例えたりしてきました。
皆さまの花火からもお人柄や雰囲気が感じられてきます。
ご覧下さい。アートの花火大会です。



美しい人生、美しい命です。


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「わたしのめんこちゃん」

この日、ワークの後にあるお話を聞きました。
最近お見えにならないなと思っていたSさまが1月に他界されていたとお聞きしました。

明るくて楽しくて、ユーモアのセンスがあって、その場をぱっと明るくする素敵な方でした。
彼女は私にとってとても大きな存在でした。

昨年12月、私が初めてリードした日のことです。
yoko先生の来札が最後の回、来月からは1人で現場を担当していく・・・。
誰もが洋子先生のワークを楽しみにされているのは明確で、
来月から私が担当になると皆さまがっかりされるのではないかという自信のなさからくる恐怖でいっぱいになりながら皆様をお迎えしました。

そんな私を察してくださったのか、偶然なのか今となっては確認はできないのですが、
Sさまに近づいていくと笑顔で「どうしたの?」と声をかけてくださり、
そして私の肩に手をかけて「わたしのめんこちゃん」と言ってくださいました。

ワークの後、数年ぶりに嗚咽するほど泣きました。

私は愛されている。すでに与えられている。
…喜びの涙が溢れてきます。


Sさまのこの一言に私は救われました。
そして今でも私を癒し、励まし、勇気付け、希望を与えてくれます。



Sさま。

私はすでに愛の中にいるのですね。


Sさまに出会えたことに心から感謝いたします。

そして心からご冥福をお祈りいたします。


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花火には無病息災への祈りの他に鎮魂の意味も含まれています。
今年の花火をSさまに捧げます。

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