Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

ボールがころん

2009-08-25 10:58:40 | 素敵な現場
シニア担当のYokoです。

昨日の現場でとてもうれしいことがありました。

こういう「うれしい」「楽しい」っていう気持ちは一体どこにあるんでしょうか?
そしてその「うれしい」「楽しい」という「体験」はどこに大切にしまっているのでしょうか?

今は脳ブームですから、きっと茂木先生に聞けばスラスラと答えてくれそうですよね。

いわゆる健常の人であっても、忙しかったり何か悲しみの中にいたりすると
「うれしい」「楽しい」という「体験」も「気持ち」も忘れてしまう事がありますよね。
そして何かをきっかけにそのことを思い出したり・・・


認知症の方はどうなのでしょうか?

私は認知症の専門家ではないので、スラスラと答えることは出来ません。

でも・・・

何かどこかに言葉にも形にもならないけれども

笑顔の出処と一緒の場所に大切に保管しているように思います。


仮にその保管場所が「心の中の箱」だったとしましょう。 

最初はなんだかわからないけれども職員の方にツレテコラレテタ アートセラピー

・・・・・・(ここはなんなの?  )

きっとここから始まっているのだと思います。

そして少しずつご一緒のお仲間や職員の皆さん そして私たちとの関わりを通じ

作品と共に「タノシカッタ」と感じられてお部屋を出られる。 

でもこの出来事をすぐに忘れてしまう方がほとんどです。

しかし
一回のタノシカッタと感じたこと で 箱に「タノシカッタボール」が1つ貯まる
次のタノシカッタで また1つ  
そうして箱にボールがゆっくりと・・・  



一人の女性のお話です。

アートセラピーと言っても「それはなんなの?」とおっしゃいます。

でもお誘いする際にお部屋に飾ってあるその方の作品を指差して

「この作品を作る場所ですよ!!」とお声かけすると

「あっ!この時間ね。行くわ」と 身支度をしてお部屋を出るまでの時間が

とても短くなったという報告を頂きました。

(きっと タノシイ ウレシイ を 覚えている・・・)

その事を職員の方が目をキラキラさせてお話しをしてくださいました。



一人の男性のお話です。

アートの時間に来ても途中退席されてしまう。

職員の方も男性が何かに集中して楽しんで頂きたいと様々な催しにお連れしてもどうもうまく行かない。

「ゆっくり様子を見ながらいきましょう」

そう打ち合せをしたのは3月でした。

その間も顔を出したり、座って体操までいられたけれどもまた帰られる・・・

数回そんなことが続きました。

昨日はその男性が最後までこの場にいる事が出来き、そして作品まで作り上げられたのです。

(すごーーくうれしい!!!)

男性の心の箱に タノシカッタボールが一つ ころん  




女性の箱の中にはこれまでの時間を掛けて(もう3年もアートをされています)
箱を振ればタノシカッタボールがころんころんころん
いやいやもしかするとずっしりと重みがあるかもしれません。
それはその方の「新しい記憶」なのかもしれません。
だから 身支度が早くなる。  
イキルイヨク


男性の箱の中には昨日はじめてタノシカッタボールがころんと1つ

きっと時間はかかることでしょう。

でも・・

「○○様が最後までいましたよね。集中されて物凄くいい笑顔されていらっしゃいましたよね。」
アートセラピーの時間を担当してくださっている職員の男性Sさんの言葉です。

Sさん
あなたが一番うれしそうでしたよ!!

(その気持ちはきっとご入居者様にも届いているはず・・・)

Sさんの心の箱の中にも「ウレシカッタボール」が1つ ころん・・・ 


一人ではなくて
みんなでアートを通して喜びの時間を作っています。


そしてこのウレシカッタボールは

ブログを通してあなたにも

ころん ころん ころん  

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