Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

ひとりと仲間

2016-03-16 00:21:37 | 素敵な現場

皆さま こんにちは。 シニア担当のShikibuです。

桜の開花がちらほら見聞きされるようになってきた今日この頃。
街を歩くと袴姿のお嬢さんを見かけるようになりました。

そう、この時期は卒業シーズンでもありますね。

シニアの現場では半年毎にメンバーを募り、そのチームで
半年間の現場を作り上げます。

メンバーを固定するのは毎回同じメンバーでお伺いする事で
シニアの皆さまに安心安全を感じて頂くためです。

昨年10月からの半年は15名のシニアの皆さまに対して8名のメンバー。

多いな、と思われる方いらっしゃるかもしれませんがこのフロアは
施設の中でも介護度が最も高い方がご参加のため、サポートが必要なのです。

アートセラピーの時間、ほとんどお休みされている方もいらっしゃる
けれど、

お休みされている等なかなかご自身で制作できない方にも
 アートセラピーの、この楽しい雰囲気を味わっていただきたい。
 なので体調等が問題無い限りできるだけこの場にお連れしたいんです。


との職員さんのありがたいお言葉を心の糧にメンバー全員でこの場を作っています。

このシニアアートセラピーの現場は本当に奥深いし面白い。 

最初はほとんど予備知識も無く一サポーターとして飛び込んだこの現場。

それまでの私は仕事等の場でだいたいの事をひとりでやっていましたし、ひとりで
なんとかできるだろう、と思っていました。

しかしシニアの現場はひとりでは成り立たない。

起きそうなことを予め予想して現場に臨んでも全く想定外の事が起こります。

考えてみればシニアの皆さまも、そして私たちだって人間。
その時によって気分も体調も違う。
声かけや視線の合わせ方で気分が変わってしまう事だってある。
(シニアに限りませんね)

現場で自分が思っていたことと違う事が起きるとどうしたらよいか判らなく
なってしまったり、自分一人でなんとかしなきゃと抱え込んでも空回りする
ばかり・・・

だったけれど、そんな時、仲間に相談したり、さりげなくお互いをカバー
し合ったり、いろいろあって落ち込んでしまった時も、自分が気づいて
いない素敵なところを仲間が教えてくれて救われた気持ちになったり・・・

そして嬉しい事、楽しい事があれば仲間と分かち合う事で何倍にも増幅され、
広がってゆく。

このグループ内の和やかな空気感は不思議と現場の皆さまにも伝わるようです。

仲間がいることでできることの可能性は無限大。

現場は常に与える場。ではありますが同時にいつも学びや気付きをいただいています。

期毎にメンバーが変わるとチームの雰囲気も変わりますが、なんとなくこのところは
今までずっと一人でがんばってきた人、ユニークな個性を持つ人がサポートメンバー
になってくれているように感じます。

最初はチームで場を作ることに戸惑いを覚えながらも、少しずつ自分の持ち味を活かす
ことでチームを、現場をイキイキさせてくれています。

そんな半年も今月で終わり。

来月からまた新しい期が始まります。

卒業シーズンにともない、現場を卒業するメンバーもいます。
卒業は寂しいけれど、文字通り苦楽を共にした仲間のことは笑顔で送り出したい、
そんな気持ちです。

そしてかつての自分がそうだったようにきっとこの現場(あるいはどこの現場も)、

ご縁とタイミングで新しいサポーターが決まるのだろうな、と思っています。

シニアアートセラピーに興味がある方はもちろん、仲間で場を作ることを体験したい方、

アートセラピストとして人とかかわりたい方、一緒に現場を作りませんか?

ちょっと興味があるな、と言う方、どうぞお気軽にお問い合わせくださいね。

お話しましょう♫

*****

写真は今月のアート、テーマは「桃の花を咲かせましょう」

色紙に予め和紙で木の枝を作り、その上に色とりどりのお花を咲かせ、お内裏様、
お雛様を置きました。
作品が出来上がると部屋の中は一足早く春が来たかのように明るい雰囲気に。

制作中は皆さまが子どもの頃、何段ものお雛様を飾ったり、お母様がご馳走の太巻き
を作って下さったり・・・といったお話を伺いながら大切な思い出の数々を一緒に
楽しみました。

目が見えないT様に寄り添うサポーター。
素材や土台に触りながらモチーフを選び、位置を決めて行かれます。


そのT様の作品。
戦争で立派なお雛様が焼けてしまった・・・という話をお伺いし
サポーターが「それではひな壇作りましょうか?!」
と、モチーフをかき集めて作りました。
T様は一つ一つ、丁寧に手で触られながら
「これがお雛様とお内裏様」
「これが三人官女」
「これは五人囃子ね」
と作品を味わってくださいました。


TS様の作品。 「お内裏様とお雛様が寄り添うようにしてほしいの」
2組も仲良く寄り添う作品となりました。
施設の方が「ふだんお話しされないS様が・・」と驚かれたほど、桃の節句にまつわる
お話をたくさんしてくださいました。


いつも元気なS様の作品。
「お雛様が上よ!」とのこと。
S様のように元気なお雛様を優しいお内裏様が見守ってくださっているようです。


アートセラピーの時間をとても楽しみにしてくださっているO様
お席につくなり、お雛様とお内裏様に気が付かれました。
「顔が違うのね」
とじっくりお顔とお姿を吟味され、お内裏様とお雛様はそれぞれお気に入りの一体を
お選びくださいました。
お内裏様の凛々しいお顔、お雛様の優しいお顔とぼかしの入ったお着物の柄が
好き!なのだそうです。


アートを通して皆さまの大切な思い出の場面を一緒に過ごさせていただいたような、
心の中にもふわりとお花が咲くような、そんなあたたかい時間でした。


Shikibu


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