Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

力を引き出す

2009-02-06 09:15:43 | 素敵な現場
シニア担当のYokoです。

ヘアカーラー
排水口メッシュ
バナナスタンド
ブックスタンド etc・・・

全てシニア向けアートセラピーで私達が使っているものです。
何に使うと思いますか?

シニアの皆さんは高齢に伴い様々な疾病や体力(握力・腕力も含め)が
少しずつ低下していきます。
私達が普通に出来ている「絵の具の蓋を開ける、のりのキャップを外す」と
いう事も難しい場合があります。
もちろん様々な画材についても同様です。

先日認知症対応の時間にこれまで使っていた画材を変えて行いました。

これまではオイルパステル・水彩クレヨンなどを使っていました。
その男性はアート時間はニコニコと座っているかと思うと、
描きだすとうとうととしてしまう事が多くみられ、描くものも薄く弱弱しい。
でも描くという意欲はあるように感じました。
私はその様子を見ていて、この方にもっと描いてもらいたい、楽しんで頂きたいと思いました。


この日は長めのスティッククレヨンを用意しました。
とても滑らかな描き心地のよい、一般では子供向けなどで販売されているものです。

するとどうでしょう。
いつもならば少し描いてやめてしまう事が多かった方が
必ず初めに選ぶお好きな色「緑色」を握り
描いては休み描いては休みという事を繰り変えされたのです。

そして最後には施設スタッフの方の言葉かけで
今までにない力強さで長い線を左から右、上から下と描きました。

画材がその方の持っている力を引き出した瞬間です。

「○○さん、力強さがあらわれていますね」と私が言葉を掛けると
うんうんとうなずきながら、いつも以上にキラキラとした笑顔。


またもうお一人の女性はいつも笑顔で参加されているますが
手拘縮で手を開くと痛がられていたのです。
その女性はマッサージの効果もあり、この日はスティッククレヨンを
使ってピンクの線を何本も何本も。。


私は涙が出そうなくらいうれしかった。


シニア向けアートセラピーでは、お一人お一人が楽しく参加していただく為に
様々な画材や道具なども研究しながら、その人の生きる力を引き出していきます。

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2 コメント

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なるほど~。 (れいちゃん)
2009-02-07 20:42:05
「私は涙が出そうなくらいうれしかった。」のくだりには、読んでいて私も感動しました。

この思いが、現場のセラピストの原動力になるのでしょうね。

画材選びの大切さも、よくわかりました。

参考になりました。
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ありがとう (Yoko)
2009-02-08 12:05:51
「笑顔」に触れられる仕事を選んで本当によかったと
思える瞬間です。

これまで関わったシニアの方達から
どれだけの贈り物を頂いていることか・・

皆さんがいらっしゃることで私自身が生かされているなと本当に思います。

画材選びも素材研究ももはや日常のことになって
我が家は倉庫化していますが(笑)
楽しくてやめられません。
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