Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

『宝』~さくら~

2012-03-22 02:02:12 | 素敵な現場
こんにちは。シニア担当のYokoです。

先週の健常のみなさまとの1000年の桜のワーク

素敵な桜が満開となりました。


「1000年の桜」

このワークを思いついたきっかけがあります。

それは3月初旬に福島県楢葉町での桜の植樹が行われたというニュース

町の犠牲者13名 その人数分の桜を植えたそうです。

町は警戒区域 防護服を着ての植樹

「住民や子孫が苦しい時、この木を見て頑張れるようにしたい。

生き残った者として故郷に戻れるよう全力を尽くすのが使命」

植えられた町の方の言葉が載っていました。


桜とはそんなにも人を勇気づける力があるのか。。

確かに満開になった桜 若々しい新緑の頃 色づいた秋 葉が落ち冬をじっと耐える姿 そしてゆっくりと膨らむつぼみ

どこか自分を投影する。。。


樹齢1000年の三春の滝桜

きっと1000回の季節の巡りの中で、その時その時にきっと誰かの心を励ましたり、癒したりしてきたのではないでしょうか。

植えた人がいるのかどうかはわからないけれど、

もし今自分が桜の木を植えたのなら、

その時の想いがきっと1000年先にも誰かに届くのではないか?

そしてその桜の木に込められた想いは、きっとその人の大切にしている人生の何かが表現されるのではないか。。

そう思ったのです。


大きめの色紙に植樹をして頂きました。。

筆を置く。場所はそれぞれが決めた場所。

大地に苗を植えるように。

そして1年 2年と木が育つっていくようにゆっくりと筆を動かして頂きました。

100年・・ 250年・・・・500年・・と。。

途中で枝を描き出す人もいれば、何本もの木を描く人

635年・・825年・・そうして1000年を迎えました。


1000年後、あなたの桜に花が咲きます。

どんな色の桜が咲くでしょうか?

6色インクのスタンプ台

この日は消しゴムはんこで思い思いに桜を咲かせていきました。





「やっと 春が来たよ 美しいまた春が・・」

こちらは97歳の女性の作品です。

華道の先生をされていました。

このやさしいタイトル まるでこの女性が桜に言葉をかけているかのよう。。

この桜が1000年後、きっと誰かにそう話しかけてくれるように思いました。

そして誰かが心をほぐしていく。。

そんなやさしさを感じました。





「咲いておくれよ いつまでも いつまでも」

85歳の男性の作品です。

どっしりと大きく、そして紙面いっぱいの桜です。

何かこの男性の『願い』のようなものを感じました。

それはこれからも いつまでも 1000年先まで変わらずにいてほしいという「何か」

昨年行った桜のワークで、この男性は桜に対する想いは人と違っていました。

それは「戦争」の思い出なのだとおっしゃっていました。

この作品に対して多くは語られませんでしたが、何かきっと。。。





「夢の桜」

ご主人といつも二人仲良く参加されている80代の女性の作品です。

出来上がった時にこうおっしゃいました。

「こんな色の桜ないでしょ? 見てみたいの。夢なの」

大きな目を更に大きくし、頬を高揚させながら話をしてくださいました。

その笑顔はまるで少女のようでした。

「1000年後 誰かがこの木を見て、実は1000年前にAさん(女性)が夢見た事が叶った木と知ったら、

この木を見た人も、よし!自分の夢を叶えよう!って勇気をもらそうですね」そうお伝えすると

「そうなったらうれしいわぁ~」と更に笑顔が満開になりました。





『宝』

94歳の女性の作品です。

学校の先生をされていました。

「手が悪いでしょ。。だからあまりうまく出来ないの」とおっしゃる事が多い。

だけれども、この日は違っていました。

「今始めれば、1000年後は必ず宝になる」

そうきっぱりとおっしゃいました。

そこにこの女性の力強さと芯のようなものを感じました。



私たちは何かすぐに結果を求めるようになってしまいました。

それが得られないと、諦めたり、自分や他を責めたり。。

でも本当に大切なのは、自分の中に木を植えて、それを育てていく事

例えばそれが恋愛ならば、自分や誰かを愛するという心を育てる事だったり

例えばそれが仕事ならば、それを続けていく力や考える力を育てていく事だったり

そして必ず「花は咲く」と願い信じる心だったり。。


「育てる」事の大切さ 「育っていく事」の大切さ

その事がきっと一人一人の『宝』になるのだと、作品から教えて頂いたように思います。




楢葉の桜が大きく大きく育ち、町のみなさんが桜を愛でる日が

一日でも早く訪れる事を願ってやみません。



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