6月30日(土)当会創立10周年となる総会および記念講演会が開催されました。
基調報告を中心にご報告差し上げます。
障害青年の教育をさらに保障する滋賀の会(略称/専攻科滋賀の会)
2018年度 第10回総会基調報告
1、 障害青年の教育をさらに保障する滋賀の会、第10回総会を迎えるにあたって
(1) 障害青年の教育をさらに保障する滋賀の会(以下・専攻科滋賀の会)は2009年7月に発足し、第10回目の総会を迎えます
養護学校高等部を18歳で卒業した障害児の約3割が一般就労や自営業等に就職し、約7割が福祉的就労と言われる作業所等に進路をとると言われています。
高等部卒業後、地域に作業所すらない時代に当時の高等部担当教師は早くから保護者、作業所職員、地域のボランテイアーなどと一緒に作業所づくり運動にかかわり、卒業後の進路先を自らも切り拓かれていました。学校と作業所がしっかり連携する事で重い障害があっても学校で育んだ発達が途切れてしまう事のないようにと保護者会も大きな支援をされました。一方、養護学校卒業生を受ける側の作業所も同じ気持ちで実践や運動に責任をもって作業所づくり運動を大きく広げていきました。
ところが、毎年養護学校卒業後、多くの生徒を作業所で受け入れてくる中で障害の重度化もあり、10数年ほど前から作業所職員の中からとまどいと疑問が持ち上がるようになりました。
その疑問とは高等部18歳で卒業し作業所が受け入れても、強度行動障害等の卒業生への支援力が追い付かないのです。教育現場では厳しいとはいえ教職員のマンツーマンに近い体制が辛うじて保障されていますが、当時の作業所現場では利用者7,5人に対し、職員1人が配置基準なのです。
作業所で受け入れはしたが支援力が保障できない現状に直面していくのでした。作業所や職員も悩みますが、一番当惑するのは利用者であり、家族ではないでしょうか?強度行動障害等の若い人たちが18歳で社会に出ても就労への構えがかなり未成熟な青年を受け止める作業所側のとまどいでした。
そのような作業所現場の中から、せめて成人式を迎える20歳まで教育期間があれば落ち着くのではないかと思い始めたのです。このことは学校の高等部の進路担当者も同様の考えでした。この疑問を明確にするため作業所と教師が協力して滋賀県下の15か所全ての養護学校高等部の保護者、高等部の教師、そして受け入れる側の作業所職員にアンケート調査をしようと言う考えに至るのでした。
(2) 専攻科滋賀の会発足の背景は県内15養護学校高等部父母・教師、きょうされん加盟作業所職員の願いなどがベースとなっています
この調査には3年と言う時間を要する大事業でした。最初1年目には2007年9月に、県内15の全ての養護学校高等部保護者の皆さんに教育年限を保障する専攻科は必要か、必要である場合、その年限は?を問いただしました。その結果2年・3年・4年・4年以上必要だと言う割合の合計は76%に達しました。次いで2年目2008年11月には同じく高等部の全教師に聞いたところ、2年・3年・4年・4年以上教育期間が必要であるが合計80%にのぼりました。そして、3年目の2009年11月には18歳高等部卒業する生徒を受け入れる側の作業所全職員へ同じ調査をした所2年・3年・4年・4年以上必要の合計が76%もありました。
3年かけた調査で、保護者、教師、作業所職員を総計すると77%以上の人たちが高等部3年間で社会に出すのは早い、あと2~4年は教育期間が必要であるという結果が判明したのです。一方で、教育期間の延長は必要でないという数値は、保護者は8%、教師は4%、作業所では6%と言う回答でした。改めて高等部卒業後さらに2~4年の専攻科を保障し、その教育内容のありようも検討すべしと言う考えと願いが平均総計77%もあったのには驚きました。
このアンケートは数値の他に教育年限の延長が何故必要なのか、その理由を書き込まれた人は保護者で147人、教師で161人、作業所職員82人と言う多くの人が貴重な意見を寄せられました。その中のそれぞれ一人分ずつを紹介しますと、ある保護者は「高等部1年生の時から進路のことを考えるのは可哀そう。3年間はいろんな体験をいっぱいして楽しい気分を体験した後2年間でじっくり進路のことを考え、社会に出してやりたい。」そして、教師の方は「高等部3年生まではしっかりと人格形成に焦点をあてて基礎的な力(学力・体力など)を身につけ、その上で社会に出るためのトランジッションの教育と言う位置づけで専攻科が是非必要と思う。一般の若者の自立も20年近くかかる(それ以上かかる)障害のある子どもの育成はていねいに時間をかけて。」
作業所の職員は「1対1の対応は学校では可能ですが多くの支援施設では絶対無理です。その事を念頭に置いてないかと思います。集団としてどうか、人に関われる力を養っておく事。集団として活動できる力を養っておく事が大切なのではないかと思います。そんな力を専攻科でつけてもらえると良いのではないか。」(すべて原文のまま)
この調査は県内15の養護学校と受け入れる作業所が18歳で卒業し未整備な社会に放り出すのはなく、障害があるがゆえ丁寧にゆっくりとした教育期間とふさわしい教育内容の検討が必要です、と言う切実な願いがこめられた貴重な記録です。養護学校(特別支援学校)卒業を見据えあと数年間教育期間が必要だと言うこのアンケート調査結果を滋賀県民の願いと受け止めた私たちは、彦根市の辻真理子市議会会議員とともに当時の嘉田由紀子滋賀県知事に懇談を申し込みました。
嘉田元滋賀県知事は申し入れに先立ち障害児の教育と福祉を事前にご自分で調べた上で積極的な姿勢で懇談に臨んでいただきました。この懇談会は2009年7月に行いました。この懇談からすでに9年が経過する中で知事も変わられています。情勢の変化もありますが答えは9年経過していても前進していません。そればかりかデーターはもっと深刻になっている可能性もあります。改めて文部科学省はじめ滋賀県教育委員会や滋賀県知事に願いを届けていかねばと思います。
(3) 専攻科滋賀の会発足3年後にNPO法人(理事:9人/監事2人)認可を経て、今年は発足10周年となり今後「5年ビジョン」の策定をめざします
3年間の調査の中で県民の願いが判明したことで、専攻科滋賀の会は1年かけてNPO法人を取得し、多方面で活躍する理事9人と、2人の監査役を元に、法人格として社会に責任をもったNPO法人「障害青年の教育をさらに(専攻科など)保障する滋賀の会」(略称/NPO法人専攻科滋賀の会)を取得し、本格的な運動をめざしました。
2009年7月に法人設立後、約2カ月に一度の割合で理事会を開き、年1度の総会も積み上げてきています。当会理事会では時々の情勢議論やサンデー専攻科の取り組み、様々な学習会、障害者の生活と権利を守る滋賀県連絡協議会(略称/障滋協)とともに県障害福祉課や教育委員会交渉に参加し情勢を伝え要求実現を目指す運動や、全国障害者問題研究会(略称/全障研)共同作業所全国連絡会(略称/きょうされん)等関係諸団体とも協力関係をつくっています。
また、専攻科づくり運動を支えて頂く賛助会員拡大(現在賛助会員は県内外330人余)を通じて専攻科の必要性を広める取り組みも日常化させ、ホームページや機関誌発行などで多くの人たちと切り結んで歩んでいます。そして、全国専攻科研究会(2004年11月結成:略称/全専研)と障害者生涯学習支援研究会(2016年12月結成:略称/SSSK)とも連携し文部科学省の責任を求める全国的視野での運動にも積極的に関わってきています。
(4) 専攻科滋賀の会、この10年の実践・研究・運動の積み上げとその成果
10年間の主な取り組みは下記の通りです。
➀2009年07月/県民要求を基に嘉田由紀子滋賀県知事と懇談
②2010年02月/アンケート結果報告書「もっと学びたい」~特別支援学校高等部に専攻科を設置して豊かな青年期を~1,000部発行
③2010年12月/第7回全国専攻科研究集会IN滋賀を開催し、全国から326人が参加(今年15回集会は12月に和歌山)
④2011年03月/障害青年を対象にした「サンデー専攻科」を開催し、以降開催を積み上げる
⑤2011年12月/NPO法人を取得する
⑥2012年11月/蒲生の会・ひかり福祉会、市長、各団体などと懇談し情報を伝える
⑦2013年07月/滋賀県教育委員会との懇談会開催(この年以降、障滋協の県交渉に毎年出席)
⑧2013年08月/藤井勇治長浜市長と懇談
⑨2014年07月/国立鳥取大学に専攻科を立ち上げた渡辺昭男教授を迎えて学習会開催
⑩2015年07月/第7回専攻科滋賀の会総会で全国専攻科田中良三会長の記念講演を実施
⑪2016年10月/専攻科滋賀の会理事会に佛教大学の鈴木勉教授を招き懇談
⑫2016年12月/~学校教育施策から「生涯学習」政策へ~を文科省が方針化する(12月14日付)
⑬2016年12月/全国障がい者生涯学習支援研究会が発足する(12月23日に発足総会)
⑭2017年03月/サンデー専攻科書道教室40名の参加で盛り上がる
⑮2017年06月/第9回専攻科滋賀の会総会公開
⑯2018年03月/全専研の拡大役員会で今後の全専研のありようを検討
⑰2018年06月/第10回専攻科滋賀の会総会
※ここまで、その時期のポイントと思われる状況を記しました
2、 専攻科滋賀の会は「全国専攻科研究会(全専研)」と共に歩んできています
(1) 「全国専攻科研究会」の発足(2004年11月6日)とその運動の成果
文科省管轄で12校、厚労省管轄で36事業所の合計48か所の専攻科が誕生し動き出しています。第14回全専研大会基調報告(2017年12月)によると、文科省管轄の専攻科は12校で福祉型専攻科は36事業所の合計48か所が設置と記されています。この48か所を各都道府県別の設置状況で見ると27都道府県に各1校(事業所)+α程度となり、1か所も設置されていない自治体は20県となります。割合でみると設置自治体が57%あり未設置自治体が43%で専攻科設置は全国の半数を超えたところです。専攻科づくり運動は始まったばかりという状況でもあります。尚、全専研結成15年に当たる今年の全国大会は和歌山で12月8日(土)~9日(日)会場は白浜の「ビッグユー」が予定されています。
(2) 全国専攻科研究会に加盟し連携しながら歩む中で専攻科滋賀の会が果たしてきた役割
都道府県格差をなくし、専攻科を広げる組織・運動化の促進です。専攻科滋賀の会からは全国各地に専攻科を誕生さすため、全専研役員会などで組織・運動化を提起し続けています。とりわけまだ43%の県に専攻科が未設置を克服することに目を向ける全専研になるよう、滋賀の責任と努力が求められています。
どこに住んでいても高等部卒業後の進学先が選択肢の一つとして全自治体に専攻科が誕生することを会員が力を合わせて広めようとする提案です。その為の2日間の拡大役員会が今年初めて開かれ、その大切さが共有されるように進められました。滋賀からは全専研が12月に開催される研究集会や夏に開かれる実践研修講座などには積極的に参加し、全国の皆さんと交流し2年~4年間の専攻科における実践報告から教育期間の大切さを学ぶとともに、世論を喚起できる専攻科をめざしましょう。
(3) これからの日本・これからの教育
元文科事務次官の前川喜平氏・元文科省大臣官房審議官の寺脇研氏が対談本として出版した「これからの日本・これからの教育」(2017年11月出版/ちくま新書)で知的障害児の専攻科の必要性が説かれた意味は大きな追い風となるでしょう。元文科省事務次官であった前川喜平氏と元文科省の大臣官房審議官であった寺脇研氏が「これからの日本これからの教育」と題した対談本を昨年11月に出版されました。前川さんは寺脇さんとの対談の中で「知的障害のある子どもにも、高等教育期間が用意されてしかるべきと思うのです。手始めに、特別支援学校の高等部に、知的障害のある子どものための専攻科を設ける」(本誌P125)と専攻科の必要性を述べられています。全専研などが15年余「第3の扉を開けよう」と称して運動を広めていた成果が文科省のトップにも伝わっていたのではないでしょうか。こうした追い風も受けながら願い実現をめざしたいと思います。
3、 文科省は新たに「学校教育政策から生涯学習政策へ」(2016年12月14日)、との方針を打ち出しました
特別支援教育の生涯学習化に向けて松野文部科大臣のメッセージは2017年4月7日に次のように発信されています。『私はかねてより、障害のある方々が、この日本の社会でどうしたら夢や希望を持って活躍していくことができるかを考えてきました。その中でも印象的だったのが、特別支援学校での重い知的障害と身体障害のある生徒とその保護者との出会いです。その生徒は高等部3年生で、春に学校を卒業する予定であり、保護者によれば、卒業後の学びや交流の場がなくなるのではないかと大きな不安を持っておいででした。他にも多くの保護者から同様のご意見をいただきました。』『これまでの行政は、障害のある方々に対して、学校を卒業するまでは特別支援学校をはじめとする「学校教育施策」によって、学校を卒業してからは「福祉施策」や「労働施策」によって、それぞれ支援を行ってきました。しかし、これからは障害のある方々が、学校卒業後も生涯を通じて教育や文化、スポーツなどの様々な機会に親しむことができるよう、教育施策とスポーツ施策、福祉施策、労働施策等を連動させながら支援していくことが重要です。私はこれを「特別支援教育の生涯学習化」と表現することとしました。』
これらを推進するため「文部科学省が所管する分野における障害者施策の意識改革と抜本的な拡充」を公表し障害者学習支援推進室のもと具体化を図る方針です。
➀はじめに/文部科学省が、従来の学校教育政策を中心とする障害者政策から一歩進めて、生涯学習(教育、文化、スポーツ)を通じた生き甲斐づくり、地域との繋がりづくりを推進し、「障害者の自己実現を目指す生涯学習政策」を総合的に展開していかなければならない。
②障害者の生涯学習施策推進の視点
〇タスクフォースで、現在も、生活の場である福祉施設や仕事の場、特別支援学校等で生涯学習的活動施策が行われていることが報告された
〇これは、人の豊かな生活には、仕事、生活の場の保障のみならず、生涯学習の環境、体験の中から、生き甲斐を見つけ、人と繋がっていくことが必要となるため、現場がニーズに応じて対応しているの
〇このため、障害者であっても生涯学習を享受できるように取り組み、生き甲斐づくり、地域との繋がりづくりを障害者施策の目的の中に位置づけていくことが文部科学省に求められている
③文部科学省において取り組むべき課題について具体化を図る為「生涯学習推進課障害者学習支援室」の元、平成30年度「障害者の多様な学習活動を総合的に支援するための実践研究」の公募があり、我が法人としてこれまでのサンデー専攻科の実践を元に「学校卒業後における障害者の学びの扉を開くサンデー・ゼミナールの実践研究~18歳以降のライフキャリア教育プログラム」として応募しました
■なお、専攻科滋賀の会の定款第3条(目的)には「略~高等部専攻科の設置等に係る事業を行い~略、とあり県民の願いである教育期間保障を目的とする事が本来の姿であることを確認しておきます
4、 同じ時期、民間組織として「全国障害者生涯学習支援研究会」(2016年12月23日)が発足しました
「全国専攻科研究会」と「全国障がい者生涯学習支援研究会」との調整・連携が課題
全国障がい者生涯学習支援研究会の発足にあたり田中良三会長は次のように語っておられます。「~略~ 障がい者の学びについて、大学まで視野に入れたとはいえ、結局、学校教育止まりでした。学びに天井という限界を設けていたのです。ところが、この本づくりを通して、卒業後も、生涯にわたって、学びを通して、人間として発達・成長を遂げていくことを支援していかねばならないということ、天井を突き抜けて、どこまでも広がっている青空をみることができました。~略~」この熱い思いが「全国障がい者生涯学習支援研究会」の発足に至ったのです。今後の発展をともに創って行きましょう。専攻科滋賀の会ではこれまでサンデー専攻科など「学びの実践研究」を展開していますが、まさにこうした実践こそが先の研究会のねらいでもあります。この新たな組織が立ち上がったことにより、全専研との関係を整理するため「専攻科づくり運動の再構築に向けて」として全専研の拡大役員会が開かれました。一定の方向は示されましたが、具体化には今少し時間が必要なのが現在の状況です。
5、 専攻科滋賀の会では年間活動方針に基づく熱心な理事会を積み上げています
(1) 理事会の活動状況
当法人の理事会は2か月に1度の割合で開催され、時々の情勢を共有しながら開催されています。理事会の会場は皆さんが集まりやすい地域でもあり毎回村井フアミリーハウスをお借りしている事、お礼申し上げます。年間活動方針に基づく活動状態は充分とは言えない反面、全国との関係やサンデー専攻科の取り組みなどは成果を上げています。
(2) 当面の方向
2018年の展望を今年初めの広報に発表しましたが改めて確認しますと以下のとおりになります。
➀サンデー専攻科の更なる充実や会員拡充
②専攻科滋賀の会創設10周年後の5年ビジョンの策定
③行政や関係者との懇談など、山積の課題を持っています。とりわけ専攻科滋賀の会結成10年の節目に当たり、今後の5年ビジョンは早期に策定することが求められています。
6、 学校づくりを進めつつ日常は青年たちの学びの「サンデー専攻科」を開催しその成果を積み上げよう
(1) サンデー専攻科の実践とその成果
2011年3月から始めたサンデー専攻科は今日までに延べ18教室を開き、多くの皆さんが楽しく学び、明日への栄養・活力として頂いたと思います。内容は下表のとおりです。
リクエストや時にマッチした内容等を実践してきました。指導する人も専門の講師を依頼し内容を豊かにする工夫もしてきました。時には講師先生自身が学びましたと言うお声も頂いています。今後の課題は生徒さんを登録性にしつつ広めていく事や年間の計画を立て参加しやすくするなど改善を加え、かつ学びの成果を皆さんで共有し報告しあう等、実践の成果を積み上げていく事が申し合わされています。
(2) 当会の持続的成長に向けて
専攻科滋賀の会としてはサンデー専攻科を事業の柱に据えることも検討していきたいと思います。とりわけ、文科省が今年度初めて「障害者の多様な学習活動を総合的に支援するための実践研究」として研究事業の公募がありました。これは学校卒業後の障害者が社会で自立して生きるために必要となる力を生涯にわたって維持・開発・伸長するためです。
➀学校から社会への移行期の対策と実践。
②障害の各ライフステージのいずれかまたは双方のテーマを選択しての応募呼びかけがあり、専攻科滋賀の会として、今までのサンデー専攻科の取り組みを一層発展させることを意識して「サンデーゼミナールの実践・研究」として提出書類を作成し、3月27日の締め切り日には提出しました。
7、 障害青年の教育をさらに保障する目的で行政(文科省・厚労省・滋賀県・市町)、関係諸団体(全障研・障全協・きょうされん・全教)などと積極的な連携が必要
(1) 障害者の生活と権利を守る滋賀県連絡協議会(略称/障滋協)での対障害福祉課・教育委員会交渉の積み上げ
毎年開催される障滋協の県障害福祉課と教育委員会への交渉には複数の理事が参加しています。高等部卒業後の進路選択肢としての専攻科の必要性を訴えるが、文科省は増え続ける特別支援学校生徒への対応に追われており、とても教育年限延長などは受け入れようとはしません。行政側がこうした対応なので、滋賀県教育委員会に求めても答えは出ないようです。しかし、専攻科をめぐる全国的な情勢をわかりやすい資料提供をする方法で理解だけは求める努力をしているところです。この場は県内の福祉、教育など幅広い人たちが集まられる良い機会なので、参加者にも同じ資料を配布し、皆さんに共有していただける機会にもしています。
(2) 知事・市長・課長・他団体などとの連携を通じた「専攻科」および学びの環境整備の必要性を啓蒙
昨年11月には草津養護学校の母親を伴って草津市の障害福祉課長と懇談を実施し、実態や願いをお伝えしました。又、滋賀県手をつなぐ育成会の理事長とも懇談しましたが今後も交流を広げていきます。とりわけ各市など行政を訪問し要望を伝えていくことは大切にしていきます。また、冒頭にも述べましたが、9年前には養護学校に専攻科を希望する教師・親のアンケート結果が出た時点で、当時の嘉田由紀子滋賀県知事と懇談を持ちましたが、専攻科が実現する事には至っていません。改めて近々に現在の知事に最近の情勢を伝えながら滋賀県民の声を届ける場を持つ予定です。
8、 専攻科滋賀の会賛助会員(登録/現在330人余×年間会費1,000円)拡大の現状
専攻科滋賀の会、賛助会員拡大の現状と課題
これまでに滋賀の会を応援して下さる賛助会員は300人をこえています。毎年更新をして下さる人や、多額な会費を納めて下さる人もおられます。こうした応援して下さるお一人おひとりの心に応えるよう、また更に会員が増えるように力を尽くしましょう。時折耳にするのは、広報誌を読みましたと声をかけて下さる会員もおられます。会員さんとは直接に交流する機会が多くはありませんが、それだけに嬉しく、心強く思います。
9、 専攻科滋賀の会10周年後の考え
(1) 会の未整理状態をビジョン化させる方向が当面の課題
専攻科滋賀の会が発足してから早くも10年目の総会です。理事会はどうしてもその時々の声にこたえた動きをしますが、今総会10年後は今後の5年ビジョンの策定が課題になってきています。日々様々な願いがありますが、事業化を伴う5年ビジョンを打ち立てる中で将来を展望していきます。
(2) 5年ビジョンのイメージは県内の理解ある大学との連携で学びの場を創る事も視野
その他として2018・3・27/文科省へ「障害者の多様な学習活動を総合的に支援するための実践研究」に関する企画書として「学校卒業後における学びの扉を開く(サンデー・ゼミナール)の実践:副題~18歳以降のライフキャリア教育プログラムLCEPの開発~」を提案したが不採用となりました。文科省が特別支援教育の生涯学習化に向けて政策を発表し、卒後の生涯を豊かにする方針を発信しました。これにより本年3月27日までに「障害者の多様な学習活動を総合的に支援するための実践研究」の公募がありました。専攻科滋賀の会では理事会で討議した結果申し込むことにし、書類作成準備に入りました。文科省の締め切りスケジュールが早くて一時は戸惑いましたが各位の尽力で申し込み締め切り直前に提出することが出来ました。全国各地からの応募を受け、採否の審査がされ、私たちの力量不足なのか不採択となりました。不採択とはなりましたが、企画書に従った取り組みを行うことは申請時から申しあわせています。
以上、今後も皆様から当会に向けての叱咤激励、ご指導を宜しくお願い致します。
◆併催で、小畑耕作先生を講師にお招きし「障害者に豊かな青年期を~実践編~」というテーマで記念講演を開催しました。ここまでの小畑先生の歩んできた「学びの専攻科」づくりでのご経験談を交え、教育年限延長の必要性において掲題のとおり、実践的な取り組みを参加者さまに判りやすく、且つ丁寧にご講演されました。