全体のありさまを「大局」とすると、
限られた範囲のありさまは「小局」といえると思います。
身体の場合では「全身=全体」に対して「局所=部分」という言葉が一般に使われます。
また、「大局」とは全体であったり、長いスパンの時間でのことであるのに対し、
「小局」は部分的、短期間でのことであるといえます。
一般に、物事の「小局」にとらわれると「大局」を見失うと言われますが、
中国医学では、身体の健康や病気に対して大局的観点をもってとらえることが重視されています。
病気を身体全体や、長いスパンから見つめて解決に導き、
身体全体の健康が安定して維持し続けられるようにします。
中国医学は「病気ではなく病人を診る」と言われるゆえんです。
一方で「大局」を把握するためには、その時その時における「小局」をしっかり把握することが大切です。
また、「大局」を動かすためには、まず「小局」から取り掛かる必要があります。
身体についても、「全身」を把握するために「局所」に注意を払う必要や、
「全身」を改善させるために「局所」からの改善が必要な場合があります。
「大局と小局」、「全身と局所」が自在に把握できるのが理想でしょう。
循環も同様です。
小循環である局所ばかりで循環させていると、
大循環である全体に行き渡らなくなる可能性があります。
同時に、局所(小循環)の隅々まで行き渡っている状態が、
全体(大循環)に行き渡っているという状態であるといえます。
そのためには、全体から局所、局所から全体へのバトンタッチがスムーズに行われる必要があります。
また、短いスパンでの好転の積み重ねが、長いスパンでの好転・安定につながります。
それらを把握し、導くことが「道の医学」の役割となります。