漢方薬は動植物・鉱物由来の生薬の組み合わせによって処方されます。
例えば、初期のカゼに良く用いられる「葛根湯」は
「葛根、大棗、麻黄、甘草、桂皮、芍薬、生姜」
という7種類の生薬で構成されています。
それぞれの生薬には役割(薬効)があり、
それらが組み合わさることで
それぞれの作用を高め合ったり副作用や効きすぎを抑えたりして
効果が高く害の少なくなるようにバランスをとっています。
この漢方薬についても「無用の用」で説明することができます。
漢方薬の処方を構成する生薬は「器」のパーツようなものです。
一つ一つの生薬がパーツとなって「器」を構成し、
その器の中から生み出されたもの、つまり「無用の用」こそが、
例えば葛根湯ならば初期のカゼを治す「効き目」となります。
また、実際に漢方薬を処方する時には
患者の体質や病状に合わせて生薬の量や種類を調整する場合があります。
いわゆる「さじ加減」によって薬を一人一人の患者にあった「器」に仕上げます。
このように、漢方薬においても「無用の用」が根づいているのです。