エラリー・クインの遺稿が見つかり、それを北村薫が翻訳して出した本という体裁になっているミステリです。翻訳本の文体で注釈なども入れられて書かれておりニヤリとする内容です。
本のPR文にも書かれていますが、華麗なるクイーンのパスティーシュです。 日本でも根強い人気を誇るエラリー・クインですが、この本自体がクイーン諭となっているところが北村薫らしいところです。
出版社の招きで来日したクイーンが、日本滞在中に起きた幼児連続殺害事件を解決するストーリーです。女流ミステリ作家の若竹七海氏が大学生のころ書店でアルバイトをしている時に、実際に経験した
出来事がこの本の中でも使われていて、クイーンがその出来事を耳にして事件の謎を解くカギであることに気づき、推理を展開して犯人を特定していく様子が描かれています。
物語はこんな感じですがいろんな視点からエラリー・クイン諭が展開されていてクインのファンには堪らない内容でしょう。
いわずもがなのあとがきも興味深い内容で、五十円玉二十枚を千円札に両替を頼まれた若竹七海氏の話しや、大学のミス研での活動から北村薫氏が作家デビューする経緯なども記されていて面白く読めます。
全体に北村薫という作家の色がはっきり示された見識とユーモアが感じられる一冊です。仮に他の作家がこの本を書いたとしたらどうでしょう。
また違った印象の本になったのではないかと思います。私個人としてはこの本は北村薫だからこそこのような本になったと思うので編集者のヒットだと思います。
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