詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

小説「KISS IN HEAVEN」最終章

2011年01月11日 | 小説 KISS IN HEAVEN
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最終章 衝撃的な告白

和彦のイメチェンはいいように成功し、性格も少し明るくなり、やがてクラスにも何人か仲のいい友人ができた。

和彦と未来はなんとなく馬があい、どちらとも好きだと告白をしないまま、なんとなく付き合い始めたような感じだった。

神様代理部長から言われた1ヶ月には、もうあと半月しかなかった。
ある日、和彦は、いつも一緒にお茶をする喫茶店に未来を呼び出した。

「どうしたの?改まって・・プロポーズは無理よ・・・学生結婚は絶対に認めないって親に言われているから」
「未来・・・茶化さないでちゃんと聞いてほしい。実は俺は一度死んでいるんだ」

未来は、最初、和彦の頭がおかしくなったのかと思っい、マジマジと和彦の顔を見た。

「でも和彦生きているジャン」
「話すと長くなるんだけど、人生に絶望して、高校の校舎の上から飛び降りたときに神様代理部長という神様の代理の人に『地獄に行きたくなければ、君はまだ若いんだから人生をやり直したほうがいい』といわれ、時間を戻され、生き返ったんだ・・・・」
と自分でも他人に言われたら、絶対に信じないだろうと思うような、それでも事実をありのまま未来に伝えた。

シクシク・・・未来はいきなり泣き出した。
「未来ごめん。泣かないで・・・まるで俺が泣かしているみたいジャン」
(って俺が泣かしているのか・・・)
「それで、1ヶ月以内に好きな子とキスをしないと、もう一度今度は本当に死んじゃうんだよ俺・・・・地獄に行くらしいんだよ・・」

ハンカチを和彦が貸したがまったく役にたたないくらい未来は泣きじゃくっていた。
「なんで、なんで・・・・今頃、言うの?
和彦は私が好きなの?それとも生き延びたいから、キスしたいから私と付き合っているの?」
「それは好きだからに決まっているじゃないか!!」
「初めて好きっていってくれたね」
というとちょっと顔を洗ってくるといい、未来はお手洗いにたった。

すっきりとした顔になり戻ってくると、未来は、神妙な顔で話を始めた。
「私の家は、みんな国立大学をでていて、私は小学校の頃から、ずっと全部優(よくできました)もしくはオール5をとらないとだめだったの。お姉ちゃんもお兄ちゃんも弟もみんなみんな天才だったの。もちろん父も母も祖父母もT大学出身者。だから、高校時代も、恋もお預けで、必死に勉強したわ。
天才は、99%の努力と1%の天賦の才能と言われていたから・・・でも私にはその1%が足りなかったの」
「だから、眼鏡かけて髪をみつあみにして・・・?」
「でもそんなある日、野球部で一生懸命、下手なのにがんばっている和彦を見かけて恋をしてしまったの。もちろんそのせいにはしないわ」
「でも図書室に行ってもなかなか集中できなくて、いつも目で和彦を追っていたの。だから最初に会ったときに名前を間違えたのはわざとなんだ・・・ごめん。」
「そうだったんだ・・・・」

女性にもてたためしのない和彦にとってはまさに晴天の霹靂の話だった。

「高校の卒業式、本当は第二ボタンほしかったんだけど恥ずかしくてもらえなくて」
「でも俺は、あの当時モテモテだったやつらと違い、花束ももらえず、ボタンも全部そろったままで帰ったけどね」
「うん」
「俺は、大学に入ってから、未来のことずっとかわいいと思っていたから最初にフランス語の授業で声をかけられたときは、心臓が飛び出すかと思ったよ・・」
「本当に?」
「本当、本当。あの日の授業の内容なんて何も覚えてないくらいだもん」
「いつも覚えてないんじゃないの」
「まぁそれも一理あるな」
「で、ごめん脱線して、で結局、おわかりのとおり、この大学に来ているってことは見事にT大学を落ちたのね」
「うん」
「両親の激怒はすごかった。おまえみたいな奴は家の子供じゃないって言われて、家を出て行けって言われて・・・。いきなり私の部屋にあった、荷物をポンポンと庭に投げ捨てられて・・・」

というと未来は、また、ポロポロと泣き出した。

「うん。うん・わかるよ。俺にも優秀な兄貴がいるから」
「それで、高校の屋上から飛び降りたの。」
「えーーーーーーーーーー!!!」
「そうきっとあなたがとびおりる二日前くらいにね。で、私もその神様代理部長さんに助けられて」
「じゃもしかして俺達両方とも自縛霊だったわけ」
「みたいね」
「それで、偶然知り合った。もしかして原宿で話をしようとしたのはそのこと?」
「うん。でも絶対に信じてもらえないと思って」
「で、私も1ヶ月以内にキスをしないと自縛霊に戻るか地獄に落ちるか・・・・」

とそこまでいうと二人とも黙り込んでしまった。
両方同じ立場なのはわかった。お互いの気持ちもわかった。でも、だからといってキスをするのは、なんか不自然というか恋愛の流れに逆らっているような気がした。

「で・・・・でも、未来も多分同じ事考えているんだろうけど、生き延びるためにキスをするのはいやなんだろう・・・」
「和彦もいやでしょう・・・打算的で・・」
「まあな・・・未来のことは大好きだけど、じゃあしましょうっていうのもおかしいしな」
「うん。じゃ二人とも自縛霊になってこの世をふらふらしながら付き合う?」
「まあそれもありだろうけどな・・・」

二人はそのまま黙り込み、未来が窓の外に視線を移した瞬間。

「あ!!!」と叫んだ。
ちょうど、外に立っていたお母さん達が話に夢中になっている時に、小さな子供が線路のほうに歩き出してしまったのであった。

「あぶないわ!あの子・・・・」
というなり未来は、店を飛び出した。
和彦も1000円札を机に置くと未来の後を追った。
カンカンカンカン運悪く踏み切りが鳴り出した。
母親は真っ青になったままそこから動けなかった。
特急電車がちょうどスピードを上げて子供に向かってきた。

「どうせ、一度死んだ命なんだから、和彦、さようなら」
というと子供を突き飛ばし未来の姿は特急電車の向こうに消えた。

キキ!!!!!!!!!

特急の運転手がやっと気づき、ブレーキを踏んだが間に合わなかった。

「また、私死んだんだ・・・でも今度は人助けを・・・・」と思った瞬間自分のことを間一髪で和彦が抱きかかえて倒れこんでいた。
そして・・・・・・・
抱きかかえた瞬間、偶然にも二人の唇は重ねあっていた。

「おうおう・・・今の若い者はよくやるな~まあ、大場君も天の川さんもよかったの~生きとれば絶対にいいことはあるんじゃぞ。
でもな、自分の人生は自分が主人公なんじゃ~逃げちゃ~だめじゃ。やるだけやってだめなら方向転換をすることも必要なんじゃぞ・・・
やまない雨はないし、夜がくれば、必ず朝はくる。
まだおまえさんたちは若いんじゃから、人生に絶望するのは早いんじゃ・・・
もっともっと長生きをして人様の役に立ち、自分達の人生を楽しむのじゃ・・・
まぁよかったよかった。」


「神様代理部長様ありがとうございます。これからは、未来と一緒にゆっくり自分達の幸せ探しの旅に立ちます。
「神様代理部長様、本当に和彦と出会わせてくれてありがとうございます。みらい(未来)の名前に負けないくらい輝かしい未来をこれから自分で築いていきます。そして・・・
もし自殺をしたい人がそばにいたらきっときちんと説得してみたいと思います」

「おうおうそうしてくれるとわしの仕事も減るので、楽になるの~よろしくな・・・
もうこれでわしゃお前さんたちの前に現れることはないとおもうが達者でな」


「神様代理部長様もお元気で・・・・」

というと、踏切をとおりすぎ、再び、二人は、今度はきちんと自分達の意志で口付けを交わしたのであった。


~FIN~

よければ読後の感想、コメ、メッセお待ちしております。







小説「KISS IN HEAVEN」第四章

2011年01月07日 | 小説 KISS IN HEAVEN
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第四章イメチェン

「そういえばさ、天の川はどうしてイメチェンしたわけ」
「未来でいいよ。」
「私・・・・実は・・・う~んと・・まだ、話したくないからまた、今度でもいいかな?」
「いいよ・・・」
「それより、まずコンタクト屋さんだね!!」

未来は、和彦の手をとると、コンタクトレンズを作るように薦めた。
幸い、和彦の視力に合ったワンデー用ソフトコンタクトレンズの在庫があったので早速装着してみた。

「やっぱり~絶対そのびん底メガネよりいいと思ったんだ」
「未来だってびん底だったじゃないかよ・・」
「だから、コンタクト、それもカラーコンタクトにしたんだ・・・ダイエットもしたし、今は、もう死にたいなんて思わなくて人生楽しいよ!」
「死にたいって・・・?」
「あ~うん。なんでもない。じゃ次は、洋服ね、そのボロボロのシャツやめて・・・うんこれなんかどう?」

未来が和彦に薦めたのは、今までに着たこともない、垢抜けたシャツであった。
試着室からでるなり、未来は、その形のいい唇をつぼめて
「ひゅー」
と口笛をふいた。

「かっこいいじゃん。絶対明日から、大場君だとは、みんな思わないよ・・・」
「それって、喜んでいいの?それとも馬鹿にされてるの?」

大場は少しふてくされながら言った。

「いいからいいから」
といって未来は、和彦の袖をひっぱって、女の子がたくさん並んでいる列の最後に並んだ。

「なにこれ?」
「クレープ屋さん。いつか、好きな人とデートでクレープを一緒に食べながら竹下通りを歩きたかったんだ・・・」
「俺じゃ、役不足じゃないの?」
「今度はその性格をもっと明るくしないとね・・・」
というと未来はウィンクをした。

うまくいっとるじゃないか?生き返ってよかったじゃろ」
どこからかあのときの声が聞こえてきた。
(ちょっとせっかくいいところなんだからほっといてくださいよ。)
「いやいや、言い忘れたことがあったんじゃ。おまえは一度生き返ったが1ヶ月以内に好きな子とKISSをしないと、時間が逆戻りして、地獄に落ちてしまうっていうのを言い忘れておった」
「ちょっとそんな大事なこと言い忘れないでくださいよ!!!!!!」
「か・・和彦君?誰としゃべっているの?」
「あ・・ごめん独り言」
「ふ~ん」

と言った未来の顔に少しかげりが見えたのに和彦は気が付かなかった。

~つづく~

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小説「KISS IN HEAVEN」第三章

2011年01月06日 | 小説 KISS IN HEAVEN
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第三章 トキメキ

「今日の授業、フランス語、やべえ・・・宿題やってねえや」
と独り言を言っていたら、斜め前の席の女の子が、
「長谷川君だっけ?」
と尋ねてきた。

「大場です。」
「ごめんなさい。私、人の名前を覚えるのが苦手で・・で大場君、もしよければ今日の宿題見せてあげるよ。」
というと、きれいな文字で書いてあるフランス語のノートを天の川未来(あまのがわみらい)は見せてくれた。

ドキドキドキドキ、未来ちゃんといえばこのフランス語授業の中でもピカ一の美人でかわいい子だった。当然のことながら、和彦は何人かの男子ににらまれていた。
「となり座ってもいい?」
というやいなや、未来は和彦の空いていた隣の席に座った。

ドキドキも最高潮で、フランス語を書いているつもりが、蛇だかみみずだかがはっているような文字になってしまった。

「ねぇどうして、野球やめちゃったの?」
「え・・・?」
「大場君、高校の時野球部だったでしょ?」
「なんで、知ってるの?」
「大場君は知らないと思うけど私も同じ学校だったんだよ・・・・」

と言われ、どこかで、天の川未来という名前が頭の隅にひっかかっていたのがクリアになった。

「もしかして・・・あの天の川さん?あまりにも綺麗になりすぎてすぐにわからなかったよ。」
「またまた、お世辞上手なんだから」

未来は、高校生の時はいつも学年トップだったが、髪はみつあみをし、分厚いびん底眼鏡をかけていて、周りからは「がり勉ちゃん」というあだ名がついていたくらいだった。

「私図書館から、よく、野球部の練習見ていたんだ・・・大場君って決して上手じゃなかったけど、ノックとか最後の最後まで一生懸命追いかけていっていたあの姿が印象的だったんだ・・・」
「それしかできないからね・・・」
「じゃどうして辞めちゃったの?」

未来には、言いたくなかったのだが、野球部の解散式の時に、散々なことを同級生、先生からも言われていたのであった。まぁいつものことだけど。

「今度はなんか違うものに挑戦したくてさ」
「何に挑戦するの?」

「絵画とか?」
口からでまかせに言ったが、和彦の絵は、今でこそ有名になったが、あのピカソばりのわかりにくい絵だった。
「なんだ、じゃ、一緒に美術部行こうよ・」
「え・・・・・」

「それに大場君・・・ダサイよ・・・」
ずばりいていたいとこをつかれた。

「ねぇ今日、学校終わったら、一緒に原宿に行こう!私が大場君をもっとかっこよくしてあげるよ・」
というのがはやいか、和彦の眼鏡をはずして顔を近づけてじっと見つめた。
「返してくれよ!0.1ないんだから、何も見えないんだよ!!」
「ごめん、ごめん。でも眼鏡やめると結構イケメンになりそうよ。私に任せて」
というと未来は、自分の胸をポンとたたいた。

~つづく~

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小説「KISS IN HEAVEN」第二章

2011年01月05日 | 小説 KISS IN HEAVEN
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第二章 お葬式

警察の一通りの検証が終わると自殺ということで決着がつき、和彦のお通夜とお葬式がしめやかに行われた。

「大場ってどんな奴だっけ?顔思い出せねぇ・・」

「いつもなんかクラスの隅にいた奴ジャン」

「あ・・・あのガンプラ好きの?」

「よくおまえ覚えてるジャン」

「一回だけ話した事あるからな」

(やっぱり死んでよかった。みんな俺のことなんて覚えていてくれてないんだ・・・なんだったんだろうな・・・・俺の人生って
こう、なんか、生きてきた証っていうもんがなかったんだな・・・・)

「ってか、なんで俺、自分のお通夜の風景が見られてるんだ?
まさか、俺、成仏できずにお化けになっちゃったのかな???」

お化けとは何じゃ、子供じみた言い方するな、幽霊というか、成仏できてないんじゃよ。いわゆる自縛霊じゃよ・・・・・まあ大場だから大場家でおおばけ。おばけか??」

「冗談言っている場合じゃないでしょ!!じゃ僕このままずっとこの世に居座っているんですか?そんなのいやです!!」

「だから、自殺をとめたんじゃがな」

「だいたいあなたは誰なんですか?いきなり目の前に現れてごちゃごちゃと・・」

「わしゃ・・神様の代理みたいなもんじゃ」
というと名刺を一枚和彦にくれた

神様も忙しいから我々のように、自縛霊対応係がいるのじゃ。 神様代理部長じゃ一応」

「へぇ~今は、天国もずいぶん組織化したんですね。」

「バカモン!!自殺したものは、天国にはいけないんじゃ!!自縛霊になるか地獄に落ちるかどちらかじゃ・・・」

「ぼく・・・地獄には行きたくないんですが・・・」

「じゃ・・・まだ、若いんじゃから生き返るしかないな・・」

「え~こんな状態なのに・・今さら生き返られないっすよ・・」

「わしゃ神様代理部長じゃ・・・そのくらいの特権はある。とりあえずおまえ以外の人間の記憶を消して、おまえが自殺する前の日に戻してやるから、もう一度人生やりなおすんじゃな・・・・カァッカァッカァッ
自縛霊にも、地獄にも行きたくないんじゃったらな・・・」


「は~い」

「はいの間は、のばさんのじゃ!そんなことじゃまた自殺したくなるぞ!!一度死んだつもりで・・・まぁ死んだんじゃがな、死んだつもりで今度こそ自分の人生やりなおしてみんしゃい!!」

「はい。」

「お礼はないのか?本当ならおまえは今頃、三途の川あたりだったんじゃぞ・・・」

「神様部長代理ありがとうございました。」

「神様代理部長じゃ・・・」

「すみません。とりあえず、もう一回生き返って人生やり直してみます。」

ということで和彦は、神様代理部長の命により本人には生き返って。周りには、今までと同じ形として存在していた。

~つづく~

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小説「KISS IN HEAVEN」第一章

2011年01月04日 | 小説 KISS IN HEAVEN
オリジナル小説「Kiss In Heaven」
                                    尾崎詩絵里


第一章 自殺

「もういやだ、生きていてもいいことなんて何もないよ。家では、秀才肌の兄貴と小さいときから比べられて、小学校から高校までは、クラスでもぜんぜん目立たない存在で・・・
この間のクラス会なんてひどかったよな・・
誰も俺の名前覚えてないんだもんな。

それに、それに・・・こんな俺でもはじめてできた彼女、玲子にも振られるし・・・
人生ってなんでこんなに不公平何だろう。
もてる奴はもてるし、何でもできるし・・
でも、俺は好きになっても、いつも片思い。
天は二物を与えずなんていう言葉くそくらえだ!!
俺なんか死んだって誰もきっと悲しんでなんかくれないんだ・・・それどころか、お葬式にきた奴らが、大場って誰だっけっていわれたりしたりしてなww。神様、仏様、キリスト様、今度生まれ変わるときは、顔がよくてスポーツができて、勉強ができる人間に生まれ変われますように!!」
「バカモン!そんなに都合がよく生まれ変われるか?人間は努力して何ぼじゃい」

「やべぇ・・・・幻聴まで聞こえてきやがった。さっさと飛びおりなきゃ・・・
皆さん・・・・大場和彦は、今から死にますよ。この校舎の屋上から飛び降りますよ。大丈夫ですか?とめなくても・・・?」
ってこんな時間、誰もいるわけないか。
明日の新聞の3面記事くらいにはのりてぇな
こんな奴でも、虫けらみたいに死んでも、生きていた証にな・・・」

「すいぶん口が達者なやつだな、そんなにいやなら飛び降りなきゃいいじゃろ」
「やべ・・俺キチガイになっちゃたんかな・・・よし飛び降りるぞ・・・1、2の3・・・の4の5の・・・」
「そんなんじゃ、いつになったら飛び降りるんだ・・・もうやめとけやめとけ、おまえみたいな意気地のない人間に死ぬのは無理じゃって」「わかったよ・・・わかったよ・・・飛び降りればいいんだろう!!!!!!!」
というともう、やけくそになって大場和彦は自分の母校の高校の屋上から飛び降りた。

********************

「母さん、母さんやばいよ。和彦自殺したって!!」
「またぁ・・今度はどこ切ったの?手首、頭ぶつけたの、睡眠薬の飲みすぎ??」
「本当の話だよ。今、警察から電話がはいっているんだよ」
「もう・・・この朝ご飯を作っている一番忙しい時間帯に警察も迷惑ね!!」
「とりあえずいいから出てよ・」と和彦の兄、康彦が受話器を母親に渡した。
「はい。大場でございます。」
よそゆきのちょっと甲高い声で母親は、電話にでた。
「え・・はい。和彦は家の息子の一人・・あのできそこないのほうですが・・・・・・
え!!!和彦が、屋上から自殺を・・・まあ、申し訳ございません。死んでまで警察の皆様にご迷惑をおかけして。今すぐに参りますので・・といいましても、化粧をするので、1時間後くらいに参ります。何か持っていくものございますか?はぁ・・主人にも連絡をとったほうがいいと・・わかりました。」

というと和彦の母親は受話器を戻した。

「康彦、なんか和彦が人生に絶望して、自殺したんだってそれも母校の高校の屋上から、お父さんに連絡を取って一緒に行ってきてくれる?和彦の死体なんて怖くて見られないし、今日、華道一緒にやっているお友達とランチの約束しているのよね」
「母さん、ふざけるのもいいかげんにしろよな・・息子が一人死んだんだぞ」
「そうね。康彦じゃなくってよかったわ・・
じゃ仕方ない。化粧するから、待っていてね」

そう、もう読者の皆さんにはおわかりのとおり、和彦の大場家での扱いはこんなものだった



~つづく~

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