詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

恋愛小説「アクアマリン~アイドルとの恋~」最終回

2007年11月04日 | 小説~アイドルとの恋~
アクアマリン 第3話】

「ほーら、シュウも手伝って。と彼の少し著色がかった髪をクシャっとやりながらすばやくダイニングテーブルに料理を並べた。




もちろんシュウの持ってきた10万円のワインも

「じゃあ・・・コンサートの成功に祝して乾杯」

「そして穂奈美の22歳のバースデーに乾杯」



「あ・・・そうだっけすっかり忘れていたよ・・・」

今日は、jewelのコンサート最終日、そして彼が来ることしか頭になかった。

「あのさ・・・えっとさ・・・」

いつもはストレートに何事もズバズバいうシュウが一瞬口ごもった。






「これやるよ」と小さなリボンのついて箱をほおりなげた。

「何?これ?」

「みりゃわかるだろう・・・誕生日プレゼント」
というとシュウはテレながら、横を向いた。




「Can I open it?」

「Sure」

小さな箱からは、アクアマリンの指輪が入っていた。

アクアマリンは私の誕生石だ。







「俺、一応アイドルだし、穂奈美とデートしたくてもできないだろう・・・
ディズニーランドも連れて行ってやれないし・・・

それになかなか逢えないし・・・」

確かに殺人的なスケジュールのシュウとあえるのは、よくて週1回。

地方のコンサートだと1ヶ月以上は、メールと電話だけになってしまう。

そして友達だれにもいえない恋。

みんな彼氏を時々連れてきて飲み会に来てもいつも私は一人。

最初はアイドルとつきあっているんだと有頂天になっていたふが、今では不便な思いや、淋しい想いが先に立つ。

ででもその分、彼は、いつもメールや電話繰り返し愛の言葉を囁いてくれる。

真実の愛を・・・・本当の愛を・・・・

多いときには、移動時間中、50件を超えるメールが来るときもある。

「えっと・・・穂奈美」

彼の声で我に返る

「今すぐ結婚とかは、難しいけど。俺、真剣だから。それだけはわかってほしくてさ」

「俺の心は、いつもお前のそばにいるから。

指輪にありったけの思いをこめてプレゼントしたい。逢えないときにも常に俺を感じていてほしい。」


「ありがとう」
いつのままにか私の両目には涙があふれていた。





いつもはおちゃらけて、ジョークばかりの彼の、心からの愛のメッセージ。

彼が私の椅子のうしろにまわってきて指輪をそっとはめて、やさしく抱きしめてくれた。

こんなに深く誰かに愛されたことがあるだろうか?

彼のストレートな感情が心にひたひたとしみこんできて大粒の涙が頬をつたわってきた。



かれは、やさしく私の頬にキスをした。

なかなかあえないからといって、少々ふてくされていた自分がとても恥ずかしくなった。

「ごめん。私からは何も用意していないから、これを私のかわりに見についけて」

といって私は20歳のバースデーに自分のために購入したブレスレットを週に渡した。

「こんなものしかないけど、物々交換」

おちゃらけて言った私に

「やった!!縄文時代みたい」と笑いながらも彼の左手にしっかりとしてくれた。




「やっべえ・・・23:00から新曲TVで初OA!!」

といってワイングラスをTVの前のベッドソファーの前のテーブルに移した。

歌詞をよく聞いていて。

題名は、「アクアマリン」

なかなかあえない彼女への暖かい思いと将来を約束する究極のプロポーズソング



「作詞が俺、作曲が翔だよ。

はじめての俺達のオリジナルソングでバラード。」




「オリジナルポエム~アクアマリン~」

夜空に輝く星を集めて

I will present them to you.

だけど一番輝く星は

いつも僕の傍にある your eyes

今宵は、Milkyeayあたりを

二人でバイクでランデブー

Because I love you

You are only my shining star

いつも逢えなくて泣かせてばかりで

I am sorry,but I miss you ,too.

君で出逢えた Destiny

I am the happiest man in the world.

メールをすれば声が聞きたい 声を聞けば

I wanna hold you tight.

君のぬくもり感じるとき

My heart is melting,melting,melting

君が好きさ 心から

ダイヤのように輝く瞳
パールのような優しい涙
ルビーのような赤い唇

I wanna kiss you a.s.a.p

いつでも僕は I need you

I can't live alone without you.

だから

Will you marry me?

絶対に幸せにするよと誓いながら 君の指に
淡い海の色のエンゲージリング

Can I present this ring to you on your birthday?

Happy birthdayの言葉と共に永遠の愛を誓いたい。

君の Birthdaystoneのアクアマリンに

永遠の愛を・・・

I love you forever.

Don't you walk with me forever?

Because I loveyou.

I love you so much.

That's our destiny.   」



「穂奈美・・・君に捧げるために作った曲だ・・・いつか俺と結婚してくれ・・・心から保奈美を愛してる。俺には保奈美が必要なんだ。
穂奈美以外の女性じゃだめなんだ・・・お前と出逢ったのは、運命だと感じているよ」

といって彼は私の体がおれそうなほど、強く抱きしめると激しくキスをして、
そのまま彼の重さで二人でソファーベットに倒れこんだ」

私は、彼の髪をなでていた。

長いキスが終わると、急に彼の体が重くなり、規則正しい息遣いが聞こえてきた。

「シュウ?シュウ?」

気がつくとシュウは、静かに寝息をたてて、寝入っていた。

きっとコンサートの疲れと、プロポーズが無事に(?)終わり、ほっとしたのだろう・・・

私は彼にかけるためのタオルケットをとりに寝室に向った。

うれしさと喜びが、胸にひたひたとしみこんでいき

いつのまにか一人で微笑んでいた。




********Fin*******


恋愛小説「アクアマリン~アイドルとの恋~」第2回

2007年11月03日 | 小説~アイドルとの恋~
恋愛小説「アクアマリン」Vol.2~アイドルとの恋~


ダイヤモンドの着メロがなった。愛理からだ。

「ちょっと待っていて、シュウ。愛理から電話だからその間にシャワーでもあびてきて汗びしょびしょじゃない。。。

タオルと着替えはいつものところにはいっているから」

ほぼ毎週木曜日に訪れる彼のために一応着替えは一式おいてある。

彼が、バスルームに入るのを確認した後、携帯をとった。

「どうしたの愛理。こんな時間に・・・」

「今すぐ4チャンネルつけて」

「え・・・何々???」

私は、なにもわからぬまま、4チャンネルをつけた。

「Jewelのシュウ 初スキャンダルか?朝倉南と熱愛発覚!!」

「本日、コンサートの最終日を迎えたJewelの滝村秀哉ことシュウと今度の大河ドラマで競演する朝倉南さんとの密会写真が明日のサタデーに掲載されることになりました。
写真は、先週の金曜日イタリアンレストランから二人でなかよくでてきた写真です。

今、現場で、別のドラマ撮影の終わった朝倉さんのインタビューをするためにこちらでスタンバッテます。
また、当のシュウさんは、打ち上げ途中で抜けたためこの後二人で密会するのではないかと関係者の中では囁かれています」


私は、何がなんだかわからなくなり、持っていたパスタ皿をいつの間にか落として割ってしまっていた。

「穂奈美、穂奈美大丈夫???今、結局、3人で私のうちで飲んでいるんだけど・・・・そしてテレビつけたらちょうど・・・」

「Jewelは明日新曲の発売も控えており事務所は、一切ノーコメントとのコメントをだしております。」

「また詳しいことがわかりましたら、現場より中継いたします。以上現場より東海林がお伝えいたしました。」


「穂奈美!!!大丈夫???今からいこうか?そっちに」

愛理の言葉で我に帰った私は、とりあえず呆然としたまま、割れたパスタ皿を片付けていた。

人間ってショックをうけても平然と普通に動けるもんなんだな・・・って全く違うことが頭をよぎった。




(シュウが・・・朝倉南と・・・???)

頭がパニックになっていた。

「ごめん。愛理・・・ちょっと頭冷やしたいから、電話切ってもいい?」

「うん・・・あまり気を落とさないでね・・・」

「ありがとう・・・」

ちょうどシュウがシャワーを浴びてでてきた。





「電話終わった??」気を使って小声で話しかけてきた。

「うん・・・・」

シャワーを浴びたシュウが、キッチンにたっていた私を後ろからだきしめた。





「ねえ・・・餃子の中味はいつのやつ??」

「うん。。いつものように肉じゃなくてシーチキンをいれてあるわよ・・・」

彼は、幼い頃から家での餃子は、中味がツナだったため芸能界に入るまで、餃子とはそういうものだと思っていたみたいだった。

「ねえ・・・早く食べようよ・・・穂奈美・・愛しているよ。」
後ろから抱きしめたままで彼が耳元でささやきうなじにやさしくキスをした。

そのときになって、シュウは、私が小刻みに震えているのに気がついた。

「どうしたの穂奈美・・なにか・・あった」

というと同時に彼の目がテレビに釘付けになった。

「明日のサタデーの記事のこと??あれは、今度の大河ドラマを盛り上げるためのしくまれたことだよ。金曜日だって、スタッフみんなで食事に行ったのに、まるで朝倉さんと2ショットでいったみたいな写真になっているし。

新曲の発表も明日だから・・・話題づくりだよ」


かるく流そうとする彼を見つめているうちに、私の瞳からは、知らないうちに涙がポロポロこぼれていた。





「穂奈美??」

「シュウは、わかってない!!私の気持ちなんて・・・
私がいつもどれだけ不安なのか・・シュウは、本当なら住む世界の違う人。。。。私とこんなふうにお付き合いしているほうがおかしいのかもしれない・・・

シュウのでるドラマでシュウが、他の女優さんと抱き合ったり、愛を囁いたり、キスシーンをどんな思いで見ているのか・・・信じたいよ・・・シュウのこと。でもまわりは、みんなわたしなんかより綺麗な女優さんばかりだし・・・

いつもいつも不安で不安で・・・」

シュウは、泣いている私をギュっと抱きしめた。
息ができないくらい強く。

「俺が信じられないの?」

「信じられないんじゃなくて・・・信じたいけど・・・私だってやきもちくらいやくよ。毎日毎日ヤキモチやいて心なんて真っ黒焦げになりそうだよ。。。。やっぱりシュウは違う世界の人なんだね・・・私なんかが・・・」

シュウは、抱きしめたまま、彼の唇で私の唇をふさいだ・・・

とても優しく・・・とても優しいキスだった。



私をダイニングテーブルに座らせると、いつも部屋の片隅においてあるギターを取り出し、Jewelのヒット曲「ダイヤモンド」を途中から弾きだした・・・







僕の瞳をみつめて
真実の輝きに満ちているから

僕の心を信じて
君への愛で溢れているから

Runaway 星降る夜空に
ダイヤモンドを探しに行こう

ランデブー 君となら
信じて歩いてゆけると

この星空の中から
最後に見つけたダイヤモンド

僕の瞳を見つめて
信じることから愛は生まれるから

僕の愛を信じて
君だけを愛しているから






「穂奈美・・・芸能人だって人間だよ・・・同じ人間住む世界が違うなんてことはない。そんなこといったら、みんな職業ばらばらだよね・・・だれも同じ世界に住んでないことになるよ。

愛とは信じること。愛すれば愛するほど、独占したくなるし、
独り占めしたくなるし、誰にも触れられたくない。。。

それは僕も同じ気持ちだよ・・・・

でも・・・この世界は僕が選んだ世界なんだ・・・

昔、穂奈美に叩かれて、説教されて僕は、真剣に今この仕事をやっている。この世界で生きている。

それを一番理解してほしいのが、この世で一番愛している、そしてこの世で一番も僕のことを理解している。穂奈美なんだよ」

1年間の間にシュウは変わっていた。私と最初に出会ったあのよりからシュウは、この1年間で精神的にもすごく大人になった。それがわかり、ダダをこねてすねた私は少し恥ずかしくなってきた。

「シュウ・・・ゴメン・・・私・・・」

シュウは、もう一度優しくキスをして言った。

「いいよ・・・穂奈美・・・愛し合っていても、人と人は時には言葉に出さなきゃ解らないこともあるんだよ。今日、僕は、穂奈美の本音が聞けてよかったよ。。。穂奈美が、ヤキモチやきっていうのもわかってちょっとうれしかったしね」

「もう・・・シュウの意地悪」

いつの間にかすっかりシュウのペースにまきこまれ私はいつの間にか笑顔になっていた。



さてでは、いまからパーティーを始めますか・・・

「は~い」私はおどけて敬礼のポーズをして、すばやくお料理をテーブルに並び始めた。






*****つづく*****


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恋愛小説「アクアマリン~アイドルとの恋~」第1回

2007年11月02日 | 小説~アイドルとの恋~
オリジナル小説第二弾

~アイドルとの恋~

【アクアマリン】Vol.1


「今日のJewelのコンサート最高やったん!!」

「そうだね・・・いつもよりシュウと翔のハモリもよかったし」

「まあ・・・最終日だったからね」

「あ~これで当分の間、翔様にあえないと思うと直美泣けてくるわ・・・」

「でも、新曲でるらしいで・・・今日の23時からのテレビで放送するんやったと思うけど・・・」

Jewel

いまや全国知らない人がいないほどのトップアイドル。

滝村 秀哉(たきむら しゅうや)20歳 通称 シュウ
風間 翔(かざま しょう) 22歳 通称 ショウ
相場 俊平(あいば しゅんぺい)21歳 通称 シュン
桜井 慎吾(さくらい しんご) 23歳 通称 シン

の4人組アイドルグループである。



彼らのグループ名「Jewel」にちなんで彼らの曲には、全部宝石の名前がついている。

「ルビー」「サファイヤ」「キャッツアイ」「ダイヤモンド」
「エメラルド」トパーズ」

そして私達は、来年に卒業を控えた大学3年生

ちょうどJewelのコンサートの帰り道である。

私、穂奈美は、ツインボーカル シュウのファン。



同じくツインボーカルの翔様のファンが直美。
大阪弁の若菜は、ギタリストのシュンのファン
そして、私と一番仲のいい愛理は、シンのファン。




今日は、Jewelのコンサート最終日。

祭りの終わった後の淋しさはそこはかとなく切ない。



「ねえ・・・なんか今からカラオケでもいってもりあがらん?
なんかこのままかえるんもいややもん」と若菜

「そうね・・・Jewelの曲でも熱唱して帰るのも一興かも」
と直美

「穂奈美はどうする??」と愛理

「ごめんちょっと今日は用事があって」

「もういつもつれないな~彼氏でもできたんちゃう?」

「穂奈美彼氏いるよね・・・この頃よくメールしてるし・・・
でも結構秘密主義だな・・・おぬしは・・・」と直美

「だったらさ・・みんな彼氏いるんやったら、今度、合同デートでトロピカルランドでもいかへん?」

「いいかも・・・私達、3人は、この前飲み会彼氏連れてきたけど、穂奈美の彼氏だけは、仕事でこれなかったしね」

「そうだっけ??まあ・・とりあえず、今日はゴメン・・・急いでいるから・・・埋め合わせはきっとするから」と手を合わせて友達に謝りながら来たタクシーに飛び乗った。

ちょうどタイミングよく「ルビー」の着メロがなった。

「今日、コンサートの打ち上げブッチしてくるから、21:00にはいくね

シュウ」

とのメール

「了解いつもの食事用意しとくね」


私は、今日の献立を頭の中でさっと段取りを考えていた。

マンションにつくとまず、テーブルに花を飾り早速ディナーの準備にかかった。

また「ルビー」の着メロがなった。

「車渋滞。分ほど遅れる シュウ」

「了解気をつけてきてね」

時計と睨めっこしながら、彼の好物のカルボナーラのソースを作り、ミモザサラダになぜか餃子。

21:15分ジャストに

ピンポーンコンコンコンといつもの合図が聞こえた。

「じゃーん」

Jewelのボーカリストシュウは、後ろ手で隠していたワインを差し出した





「打ち上げ会場から、失敬してきちゃった。一番高いらしいよ・・・10万円以上するってあいつら今頃ブーブー行っているだろうな(笑)」

****ちょうど1年前******

友達との飲み会の帰りにほろ酔い気分で帰宅をした。
するとマンションの玄関ホールに見知らぬ少年が、ほぼ泥酔状態でうずくまっていた。

私はそのまま無視して、見過ごすか、警察に連絡するか一瞬躊躇した。すると彼のペンダントに見覚えがあった。

そしてジャンパーにも

「大丈夫ですか?」と声をかけると彼は

酔ったうつろな目で私をみた。酔いつぶれてはいるが、今ブレーク中のJewelのメンバーのシュウだということに気付いた。

(警察沙汰にしたらまずいし、といってここにもほっておけないし・・・)

「立てますか?肩貸しますから・・・」

といって、今振り返るとなぜかわからないが私は無防備にも彼を自分の部屋に運びいれていた。



軽く頬を叩いても反応のないシュウのジャンパーを脱がせ、
TシャツとGパン姿にすると私は彼をバスルームに連れて行き、
頭から暑いシャワーをかけた。

「何するんだよ!!!」

彼はびっくりした顔で私を見つめそしてにらんだ。



「何するんだよ!じゃないでしょ!!あなた未成年でしょ!!こんなことマスコミや事務所にばれたらどうなるのかわかってるの!!!!」

「うるせえーなほっといてくれよ!!
あ、もしかして、君、俺のファンとか??」

私は蛇口を水の方向に回し、冷水を思い切り彼の顔に浴びせた

「少しは、頭を冷やしなさい!!」

「なんだよ!!」

「イヤなら警察呼ぶわよ・・・」

ビクン、さすがに彼も少し酔いがさめてきたらしく、おとなしく頭から冷水をあびつづけていた。

シャワーをとめ、私はバスタオルとバスローブを彼になげてあげた。





「男物の下着なんてないから我慢してね。Tシャツ、Gパン、下着脱いだら洗濯機にいれておいて!!」

さっきまでの勢いが嘘のように彼は、借りてきた猫のようにおとなしくなり、ダイニングテーブルについた。

ホットミルクを差し出すと、「ありがとう」と小さな声でつぶやいた。

「なんであんなところでうずくまっていたの?」

「酔っていて自分のマンションと間違ったみたい」

「それにしてもやばくない?あなたまだ未成年でしょう?」

「あさって20歳になるけどな・・・」

「芸能界で未成年で飲酒して、たくさんのアイドル達が引退を余儀なくされてるの知っているでしょう・・・」

「だってさ・・・事務所にそろそろオリジナルやらせてくれっていったら、NGだっていうし、今度の新曲、俺じゃなくて翔をメインボーカルにして、おれがハモリだっていうし、やってらんねえよ・・・」






口を尖らせていう彼の頬をいつの間にか叩いていた。

パチン

「甘ったれるんじゃないわよ!!オリジナルやりたいって、そのデモテープとかはつくって聞かせたの?」

「いや・・・まだこれから・・・」

「メインボーカルじゃないっていって!ハモリパートっておもっているほど簡単じゃないのよ・・・」

「私は、人の声は一番素晴らしい楽器だと思っている。
その人の声がおりなすハーモニー、和音は素晴らしいと・・・

それをそんな生半可な気持ちでやったら、いい曲できるわけないじゃない!!」

「少しくらい顔がよくて売れたって、すべてが自分の力じゃないでしょ!!事務所やスタッフや、マネージャーやたくさんの人に支えられて貴方達は、今光の中にいられるのよ。
沢山の人が芸能界にあこがれる。でも成功するのはほんの一握り。あとは、挫折して去っていく。アイドルは偶像であり、夢をうるのが商売なのよ!!」

「それをお酒なんかのんで、少しは自分の立場をわきまえなさい!!」

そこまで一気にまくしたてると私はシュウが泣いているのに気がついた。

「ごめん。というかありがとう。この世界には13歳ではいって、すぐにちやほやされて、こんな説教されたのはじめてだよ。しかられたのも、みんないいよいいよっておだてるばかりで・・」



「俺 滝村秀哉 シュウって呼んで。あなたの名前教えてくれますか?」

「私は、末丘 穂奈美」今大学2年生よ・・・

「逢ったばかりでこんな事いうの変なんだけど、穂奈美さんに彼氏とかいなかったら、俺好きになってもいいかな?」

彼の目は先ほどまでの酔いは完全に消えて真剣だった。






「おごり高ぶっていた鼻をぺしゃんこにされたし、君なら僕が違う方向に行きそうになったら、正しい方向に導いてくれそうだよ・・・そう羅針盤のように・・・・

この世界にはいって初めて心と心で会話できそうだよ・・」

自信家の彼が今はとても素直になりとても愛おしくみえた。

「いいわよ。でも約束よ。あさっての20歳のバースデーまではお酒とかタバコとかやらないことと。それと泥酔は無しね 芸能人としての自覚、社会人としての自覚を持つこと」

「やったありがとう。じゃあ早速あさってまた、遊びに来てもいい??俺の20歳のバースデー、穂奈美さんと乾杯してお酒のみたいから。ちょうど仕事オフだし」

キラキラ輝く彼の瞳に未来への希望の輝きが戻っていた。

私は、寝室にはってある、シュウのポスターをどこかに隠しておかなきゃと一人心で思っていた。





*****つづく*****