詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

恋愛小説 アイドルとの恋「潤愛物語~アクアマリン~」第四章 最終回!

2011年04月01日 | 小説「潤愛物語~アクアマリン~」
アイドルとの恋「潤愛物語~アクアマリン~」は、今回続編を作成するにあたり、以前、掲載した「アクアマリン」の再編版です。作者のオリジナルフィクション物語であり、登場する人物、団体名は実在するものとは全く関係ありません。
純愛をテーマにしているので年齢関係なく読める恋愛小説になっています。
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第四章 アクアマリン

「ほーら、潤も手伝って。」
と彼のパーマがかっているように見える髪をクシャっとやりながらすばやくダイニングテーブルに料理を並べた。
もちろん潤の持ってきた10万円のワインも
「じゃあ・・・コンサートの成功に祝して乾杯」
「そして美緒の25歳のバースデーに乾杯」
「あ・・・そうだっけすっかり忘れていたよ・・・」
今日は、jewelのコンサート最終日、そして彼が来ることしか頭になかった。社会人になると仲がよくても、誕生日のプレゼント交換なんてしていなかったから。
「あのさ・・・えっとさ・・・」
いつもはストレートに何事もズバズバいう潤が一瞬口ごもった。
「これやるよ」と小さなリボンのついている箱を私に向かってほおりなげた。
「何?これ?」
「みりゃわかるだろう・・・誕生日プレゼント」
というと潤はテレながら、横を向いた。
「Can I open it?」
「Sure」
小さな箱からは、アクアマリンの指輪が入っていた。
アクアマリンは私の誕生石だ。
「俺、一応アイドルだし、美緒とデートしたくてもできないだろう・・・ 美緒も俺も大好きなディズニーランドとかも一緒にいけないし・・・ それになかなか逢えないし・・・」
確かに殺人的なスケジュールの潤とあえるのは、よくて月1回。 地方のコンサートだと1ヶ月以上は、メールと電話だけになってしまう。
そして友達誰にもいえない恋。
みんな彼氏を時々連れてきて飲み会に来てもいつも私は一人。
最初はアイドルとつきあっているんだと有頂天になっていたが、今では不便な思いや、淋しい想いが先に立つ。
でもその分、彼は、いつもメールや電話繰り返し愛の言葉を囁いてくれる。
真実の愛を・・・・本当の愛を・・・・
多いときには、移動時間中、50件を超えるメールが来るときもある。
「えっと・・・美緒」
彼の声で我に返る
「今すぐ結婚とかは、難しいけど。俺、真剣だから。それだけはわかってほしくてさ
俺の心は、いつも君のそばにいるから。
指輪にありったけの思いをこめてプレゼントしたい。逢えないときにも常に俺を感じていてほしい。」
「ありがとう」
いつのままにか私の両目には涙があふれていた。
いじっぱりで、機嫌が悪いと誰も手がつけられない、やんちゃ坊主の年下彼氏からの心からの愛のメッセージ。
私は、心から彼を愛していると感じていた。
潤が私の椅子のうしろにまわってきて指輪をそっとはめて、やさしく抱きしめてくれた。
こんなに深く誰かに愛されたことがあるだろうか?
彼のストレートな感情が心にひたひたとしみこんできて大粒の涙が頬をつたわってきた。
潤は、やさしく私の頬にキスをした。
なかなかあえないからといって、少々ふてくされていた自分がとても恥ずかしくなった。
「ごめん。私からは何も用意していないから、これを私のかわりに身に付けていて」
といって私は20歳のバースデーに自分のために購入したブレスレットを潤に渡した。
「こんなものしかないけど、物々交換」
おちゃらけて言った私に
「やった!!縄文時代みたい」と笑いながらも彼の左手にしっかりとしてくれた。
「やっべえ・・・23:00から新曲TVで初OA!!」
といってワイングラスをTVの前のソファーベッドの前のテーブルに移した。
歌詞をよく聞いていて。
題名は、『アクアマリン』
なかなか会えない彼女への暖かい思いと将来を約束する究極のプロポーズソング
作詞が俺、作曲が翔だよ。
はじめての俺達のオリジナルソングでバラード。」


「オリジナルポエム~アクアマリン~」

夜空に輝く星を集めて
I will present them for you.

だけど一番輝く星は
いつも僕の傍にある your eyes

今宵は、MILKYWAYあたりを
二人でバイクでランデブー

Because I love you
You are only my shining star

いつも逢えなくて泣かせてばかりで
I am so sorry, but I miss you ,too.

君で出逢えた Destiny
I am the happiest man in the world.

メールをすれば声が聞きたい 声を聞けば
I wanna hold you tight.

君のぬくもり感じるとき
My heart is melting,melting,melting

君が好きさ 心から

ダイヤのように輝く瞳
パールのような優しい涙
ルビーのような赤い唇

I wanna kiss you a.s.a.p
いつでも僕は I need you

I can't live alone without you.
だから
Will you marry me?

絶対に幸せにするよと誓いながら 君の指に
淡い海の色のエンゲージリング

Can I present this ring to you on your birthday?

Happy birthdayの言葉と共に永遠の愛を誓いたい。

君の Birthday stoneのアクアマリンに

永遠の愛を・・・

I love you forever.
Don't you walk with me forever?
Because, I love you.
I love you so much.
That's our destiny. 」

「美緒・・・君に捧げるために作った曲だ・・・いつか俺と結婚してくれ・・・心から美緒を愛してる。俺には美緒が必要なんだ。
美緒以外の女性じゃだめなんだ・・・君と出逢ったのは、運命だと感じているよ」
と言って彼は私の体がおれそうなほど、強く抱きしめると激しくキスをして、そのまま彼の重さで二人でソファーベットに倒れこんだ」
私は、彼の髪をなでていた。
長いキスが終わると、急に彼の体が重くなり、規則正しい息遣いが聞こえてきた。
「潤?潤?」
気がつくと潤は、静かに寝息をたてて、寝入っていた。
きっとコンサートの疲れと、プロポーズが無事に(?)終わり、ほっとしたのだろう・・・
私は彼にかけるためのタオルケットをとりに寝室に向った。
うれしさと喜びが、胸にひたひたとしみこんでいき
いつのまにか一人で微笑んでいた。

~Fin~



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恋愛小説 アイドルとの恋「潤愛物語~アクアマリン~」第三章

2011年03月31日 | 小説「潤愛物語~アクアマリン~」
アイドルとの恋「潤愛物語~アクアマリン~」は、今回続編を作成するにあたり、以前、掲載した「アクアマリン」の再編版です。作者のオリジナルフィクション物語であり、登場する人物、団体名は実在するものとは全く関係ありません。
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第三章 ダイヤモンド

そして、それから潤は何度となく私の部屋に遊びにくるようになり、二人は自然に付き合いはじめる形になった。もちろん、友達にも、事務所にも、世間様にも内緒で。

食事の最後の仕上げをしていると、
ダイヤモンドの着メロがなった。愛理からだ。

「ちょっと待っていて、潤。愛理から電話。」
「OK!じゃ、俺、さっき、ざっとシャワー浴びてからきたけど、もう一回シャワー借りるね!」
「了解。タオルと着替えはいつものところにはいっているから」

ほぼ月に1回訪れる彼のために一応着替えは一式おいてある。
彼が、バスルームに入るのを確認した後、私は、携帯をとった。

「どうしたの愛理。こんな時間に・・・」
「今すぐ日本テレビつけて」
「え・・・何々???」

私は、なにもわからぬまま、言われたままTVをつけた。
「Jewelの松木潤 初スキャンダルか?小倉南と熱愛発覚!!」
「本日、コンサートの最終日を迎えたJewelの松木潤こと潤と今度の映画で共演する小倉南さんとの密会写真が明日のサタデーに掲載されることになりました。
写真は、先週の金曜日イタリアンレストランから二人で仲良くでてきた写真です。
今、現場で、別のドラマ撮影の終わった小倉さんのインタビューをするためにこちらでスタンバッテます。
また、当の潤さんは、コンサートの打ち上げ途中で抜けたためこの後二人で密会するのではないかと関係者の中では囁かれています」
私は、何がなんだかわからなくなり、持っていたパスタ皿をいつの間にか落として割ってしまっていた。

「美緒?美緒大丈夫???今、今、3人で私のうちで飲んでいるんだけど・・・・そしてテレビつけたらちょうど・・・」
「Jewelは明日新曲の発売も控えており事務所は、一切ノーコメントとのコメントをだしております。」
「また詳しいことがわかりましたら、現場より中継いたします。以上現場より東海林(しょうじ)がお伝えいたしました。」
「美緒!!!大丈夫???今からいこうか?そっちに?」

友達は、もちろん私がJewelの潤と付き合っていることなんて知らない。私が、1ファンとして、潤担当としてショックを受けていると思っている。
愛理の言葉で我に帰った私は、とりあえず呆然としたまま、割れたパスタ皿を片付けていた。
人間ってショックをうけても平然と普通に動けるもんなんだな・・・って全く違うことが頭をよぎった。
(潤が・・・小倉南と・・・???)
頭がパニックになっていた。

「ごめん。愛理・・・ちょっと頭冷やしたいから、電話切ってもいい?」
「うん・・・あまり気を落とさないでね・・・」
「ありがとう・・・」
ちょうど潤がシャワーを浴びてでてきた。
「電話終わった??」気を使って小声で話しかけてきた。

「うん・・・・」
シャワーを浴びた潤が、キッチンにたっていた私を後ろから抱きしめた。
「ねえ・・・早くご飯、食べようよ・・・美緒・・愛しているよ。」

後ろから抱きしめたままで彼が耳元でささやきうなじにやさしくキスをした。
そのときになって、潤は、私が小刻みに震えているのに気がついた。
「どうしたの?美緒・・なにか・・あった」
というと同時に彼の目がテレビに釘付けになった。
画面には、スクープの文字が躍り、芸能評論家とか言われている人がしたり顔で解説をしていた。

「明日のサタデーの記事のこと??あれは、今度の映画を盛り上げるためのしくまれたことだよ。金曜日だって、スタッフみんなで食事に行ったのに、まるで小倉さんと2ショットでいったみたいな写真になっているし。
新曲の発表も明日だから・・・話題づくりだよ。
彼女もあさって初の写真集発売だしね。」

かるく流そうとする彼を見つめているうちに、私の瞳からは、知らないうちに涙がポロポロこぼれていた。
「美緒??」
「潤は、わかってない!!私の気持ちなんて・・・ 私がいつもどれだけ不安なのか・・潤は、本当なら住む世界の違う人・・・私とこんなふうにお付き合いしているほうがおかしいのかもしれない・・・
でも、私が、潤の出演するドラマで、他の女優さんと抱き合ったり、愛を囁いたり、キスをするのをどんな思いで見ているのか・・・信じたいよ・・・潤のこと。でもまわりは、みんなわたしなんかより綺麗な女優や歌手ばかりだし・・・
いつも、いつも不安で、不安で・・・」

潤は、泣いている私をギュっと抱きしめた。
息ができないくらい強く。
「俺が信じられないの?」
「信じられないんじゃなくて・・・信じたいけど・・・私だってやきもちくらいやくよ。毎日、毎日ヤキモチやいて心なんて真っ黒焦げになりそうだよ・・・やっぱり潤は住む世界の違うの人なんだね・・・私なんかが・・・」
潤は、強く抱きしめたまま、彼の唇で私の唇をふさいだ・・・
とても優しく・・・とても優しいキスだった。
私をダイニングテーブルに座らせると、いつも部屋の片隅においてあるギターを取り出し、Jewelのヒット曲「ダイヤモンド」を途中から弾きだした・・・

僕の瞳をみつめて
真実の輝きに満ちているから

僕の心を信じて
君への愛で、溢れているから

Runaway 星降る夜空に
ダイヤモンドを探しに行こう

ランデブー 君となら
信じて歩いてゆけると

この星空の中から
最後に見つけたダイヤモンド

僕の瞳を見つめて
信じることから愛は生まれるから

僕の愛を信じて
君だけを愛しているから

「美緒・・・芸能人だって人間だよ・・・同じ人間、住む世界が違うなんてことはない。そんなこといったら、みんな職業ばらばらだよね・・・誰も同じ世界に住んでないことになるよ。 愛とは信じること。愛すれば愛するほど、独占したくなるし、 独り占めしたくなるし、誰にも触れられたくない・・・
それは僕も同じ気持ちだよ・・・・
でも・・・この世界は僕が選んだ世界なんだ・・・
昔、美緒に頬叩かれて、説教されて僕は、真剣に今この仕事をやっている。この世界で生きている。 世間の奴らにアイドルだってバカにされても、正々堂々とアイドルやっているし、今や誇りに思っている。それを一番理解してほしいのが、この世で一番愛している、そしてこの世で一番も僕のことを理解している。美緒なんだよ」

3年間の間に潤は変わっていた。私と最初に出会ったあの時から潤は、精神的にもすごく大人になった。それがわかり、ダダをこねてすねた私は少し恥ずかしくなってきた。
「潤・・・ゴメン・・・私・・・」
潤は、もう一度優しくキスをして言った。
「いいよ・・・美緒・・・愛し合っていても、人と人は時には言葉に出さなきゃ解らないこともあるんだよ。今日、僕は、美緒の本音が聞けてよかったよ。美緒が、ヤキモチやきっていうのもわかってちょっとうれしかったしね」
「もう・・・潤の意地悪」
いつの間にかすっかり潤のペースにまきこまれ私はいつの間にか笑顔になっていた。
「さてでは、いまからパーティーを始めますか・・・
「は~い」私はおどけて敬礼のポーズをして、すばやくお料理をテーブルに並び始めた。

~第四章「アクアマリン」へつづく・・・
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恋愛小説 アイドルとの恋「潤愛物語~アクアマリン~」第二章

2011年03月29日 | 小説「潤愛物語~アクアマリン~」
アイドルとの恋「潤愛物語~アクアマリン~」は、今回続編を作成するにあたり、以前、掲載した「アクアマリン」の再編版です。作者のオリジナルフィクション物語であり、登場する人物、団体名は実在するものとは全く関係ありません。
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第二章 サファイヤ

****あれはちょうど3年前の8月27日******

会社の暑気払いの帰りにほろ酔い気分で帰宅をした。
すると、マンションの玄関ホールに見知らぬ少年が、ほぼ泥酔状態でうずくまっていた。
私はそのまま無視して、見過ごすか、警察に連絡するか一瞬躊躇した。すると彼のペンダントに見覚えがあった。
そしてジャンパーにも

「大丈夫ですか?」
と声をかけると彼は
酔ったうつろな目で私をみた。酔いつぶれてはいるが、今、サファイヤという曲でブレーク中のJewelのメンバーの潤だということに私は、気付いた。

(警察沙汰にしたらまずいし、といってここにもほっておけないし・・・)
「立てますか?肩貸しますから・・・」
といって、今振り返るとなぜかわからないが私は無防備にも彼を自分の部屋に運びいれていた。
軽く頬を叩いても反応のない潤のジャンパーを脱がせ、
TシャツとGパン姿にすると私は彼をバスルームに連れて行き、
頭から暑いシャワーをかけた。

「何するんだよ!!!」
彼はびっくりした顔で私を見つめそしてにらんだ。
「何するんだよ!じゃないでしょ!!あなた未成年でしょ!!こんなことマスコミや事務所にばれたらどうなるのかわかってるの!!!!」
「うるせえーなほっといてくれよ!!
あ、もしかして、君、俺のファンとか??」

私は蛇口を水の方向に回し、冷水を思い切り彼の顔に浴びせた
「少しは、頭を冷やしなさい!!」
「なんだよ!!」
「イヤなら警察呼ぶわよ・・・」
ビクン、さすがに彼も少し酔いがさめてきたらしく、おとなしく頭から冷水をあびつづけていた。

シャワーをとめ、私はバスタオルとバスローブを彼になげてあげた。
「男物の下着なんてないから我慢してね。Tシャツ、Gパン、下着脱いだら洗濯機にいれておいて!!」
さっきまでの勢いが嘘のように、彼は、借りてきた猫のようにおとなしくなり、ダイニングテーブルについた。

ホットミルクを差し出すと、
「ありがとう」
と小さな声でつぶやいた。

「なんであんなところでうずくまっていたの?」
「酔っていて自分のマンションと間違ったみたい。ってか俺、実は先週引っ越したばかりで、先週までこのマンションに住んでいたんだ。まぁご存知のとおり、サファイヤが売れたおかげで給料も少しあがったからね。」

先週まで!?私は、同じマンションにJewelの潤が住んでいたなんて全く知らなかった。

「それにしてもやばくない?あなた、まだ未成年でしょう?19歳だったよね?」
「あさって20歳になるけどな・・・」
「あさって・・・そっか、8月30日だもんね。ってか、芸能界で未成年で飲酒して、たくさんのアイドル達が引退を余儀なくされているの知っているでしょう・・・ジェニーズ事務所の貴方達の同期だって、写真週刊誌にとられて、たくさん辞めさせられたじゃないの?なのに何故?」
「だってさ・・・事務所にそろそろオリジナルやらせてくれっていったら、NGだっていうし、今度の新曲、俺のソロパートだった部分がいつのまにか翔がメインメロディーでおれがハモリになっているし!サファイヤが少し売れたからってこれからは、楽器も無しで、踊りながら歌えって事務所が言うんだぜ!やってらんねぇよ~」
口を尖らせていう彼の頬をいつの間にか叩いていた。
パチン

「甘ったれるんじゃないわよ!!オリジナルやりたいって、そのデモテープとかはつくって聞かせたの?」
「いや・・・まだこれから・・・」
「メインじゃないっていって!ハモリパートっておもっているほど簡単じゃないのよ・・・
私は、人の声は一番素晴らしい楽器だと思っている。 その人の声がおりなすハーモニー、和音は素晴らしいと・・・
それをそんな生半可な気持ちでやったら、いい曲できるわけないじゃない!!
少しくらい顔がよくて売れたって、すべてが自分の力じゃないでしょ!!事務所やスタッフや、マネージャーやたくさんの人に支えられて貴方達は、今光の中にいられるのよ。
沢山の人が芸能界にあこがれる。でも成功するのはほんの一握り。あとは、挫折して去っていく。アイドルは偶像であり、夢を売るのが商売なのよ!!
それをお酒なんかのんで、少しは自分の立場をわきまえなさい!!」

そこまで一気にまくしたてると私は潤が泣いているのに気がついた。

「ごめん。というかありがとう。俺は、この世界には12歳ではいって、すぐにちやほやされて、こんな説教されたのはじめてだよ。しかられたのも、みんないいよいいよっておだてるばかりで・・
そのくせ、デビュー当時は泣かず飛ばずで・・・
やっと売れたから、これからは少しは自分達の音楽やれるかと思ったら、真逆だし・・・
俺 松木潤。ジュンって呼んで。あなたの名前教えてくれますか?」
「私は、尾崎美緒。22歳。今年から社会人よ。」
「美緒さんか・・いい名前だね」
私は、今さらながら、目の前にいるのが、あのいつもTVでしか見ていない潤だということを再認識した。
「美緒さん」
「美緒でいいよ。」
「美緒さんは、なんで俺を見過ごさずに、なんで部屋にまで入れてくれたの?」
「ジャンパーとネックレスに見覚えがあったから。私ね、あなたがデビュー当時、出演していたバラエティー番組よく見ていたんだ。」
「あぁ・・・秀明が司会やっていた?」
「うん。で、Jewelがデビュー当時からなんとなく気になっていてね。まさか、本物の潤だとは思わなかったけど、あそこにほっとくわけも行かなかったしね。」
「あぁ、だから研修生の俺達の同期が、酒で写真週刊誌にすっぱ抜かれて、事務所クビになったことしってたんだ」
「まぁね」
「よければ、また、遊びにきてもいい?俺、ふたつ上の姉がいるんだけど、なんか久々にねぇさんに怒られたみたい。俺のおごり高ぶっていた鼻をぺしゃんこにされたし、美緒なら僕が違う方向に行きそうになったら、正しい方向に導いてくれそうだよ・・・そう羅針盤のように。この世界にはいって初めて心と心で会話できそうだよ・・メンバー以外で。」
いつもは、自信家の彼が今はとても素直になりとても愛おしくみえた。
「いいわよ。でも約束よ。あさっての20歳のバースデーまではお酒とかタバコとかやらないことと。それと20歳になっても、泥酔は無しね 芸能人としての自覚、社会人としての自覚を持つこと」
「やったありがとう。じゃあ早速あさってまた、遊びに来てもいい??俺の20歳のバースデー、美緒と乾杯してお酒のみたいから。ちょうど仕事オフだし」
キラキラ輝く彼の瞳に未来への希望の輝きが戻っていた。
私は、寝室にはってある、潤のポスターをどこかに隠しておかなきゃと一人心で思っていた。

~第三章「ダイヤモンド」はこちらから~
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今日から新連載「潤愛物語~アクアマリン~」アイドルとの恋 第一章

2011年03月28日 | 小説「潤愛物語~アクアマリン~」
アイドルとの恋「潤愛物語~アクアマリン~」は、今回続編を作成するにあたり、以前、掲載した「アクアマリン」の再編版です。作者のオリジナルフィクション物語であり、登場する人物、団体名は実在するものとは全く関係ありません。
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「潤愛物語~アクアマリン~」~アイドルとの恋~

第一章 ルビー

「今日のJewelのコンサート最高やったん」
私達グループの中で唯一大阪出身の直美が、「翔 LOVE」と書いてある手作りうちわを指先でもてあそびながら言った。

「そうだね・・・いつもより潤と翔のハモリもよかったし、なんていってもやっぱり智のダンスが最高だったよね!」
黄色のカチューシャ、JewelのコンサートTシャツの上から好きな智のイメージカラーのベストを着込んだ若菜が、両指を組み、夢見がちなまなざしで言った。

「まあね・・・最終日だったからね」
私は、コンサート中は電源を切っていた携帯電話の電源をつけながら、話に加わった。

「今日で、Jewelも結成5周年だったから気合のはいりかたもハンパなかったね!」
私達の仲間で最年少の愛理が、買ったばかりのコンサートグッズをいとおしそうに見つめながら言った。

「あ~これで当分の間、翔様にあえないと思うと直美泣けてくるわ・・・」
「泣くって言えば、今日もラストの挨拶で雅紀涙ぐんでいたね・・愛理も泣きそうになっちゃったよ(涙)」
「コンサートでは来年にならなきゃあえないかも知れないけど、今日のNラバでJewel新曲発表だよ!」
コンサートの後、思わず涙ぐんでいる愛理に向かって私は言った。



【Jewel 】
今や全国知らない人がいないほどのトップアイドル。
松木 潤(まつき じゅん)
22歳 通称 ジュン
櫻葉 翔(さくらば しょう) 
24歳 通称 ショウ
相田 雅紀(あいだ まさき)
24歳 通称 マサキ
一宮 和也 (いちのみや かずなり) 
24歳 通称 カズ
大杉 智(おおすぎ さとし)
25歳 通称 サトシ
の5人組アイドルグループである。

歌って、踊れて、バラエティーもこなしながら、メンバーそれぞれがコンサートでは楽器も弾きこなす、日本を代表するトップアイドルである。
とは言っても彼らの名が全国区になったのは、3年前の5人揃って出演した映画「青色の涙」からであって、それまでは、彼らの所属するアイドル事務所、ジェニーズ事務所でも、別段これといって目立ったグループではなかった。デビュー当時は、コンサート会場の席が埋まることもなかったという話だが、今やそれは過去の話。彼らのコンサートチケットをとるのは至難の技。世間ではプラチナチケットと言われているのであった。

デビュー当時は、潤と翔のツインボーカル、和がギター、智がベース、キーボードが雅紀というどちらかと言ったらバンド的なアイドルだったが、その青色の涙の主題歌、「サファイヤ」で楽器を持たず、ダンスやRAPを中心としたアイドルそのものの曲として出したところ、本人達もびっくりするような大ヒットとなり、その後、バラエティーやCM、映画等彼らの姿を見ない日は無くなった。

彼らのグループ名「Jewel」にちなんで彼らの曲には、全部宝石の名前がついている。 なんでも、最初のデビュー曲が、某有名な宝石店のテーマソングだったので、グループ名もそれほど凝らずに「Jewel」になったらしい。

「ルビー」「サファイヤ」「キャッツアイ」「ダイヤモンド」「エメラルド」「トパーズ」
それぞれの曲の作詞・作曲は、その時々の有名な作詞家、作曲家が担当をしていた。
彼らの所属しているジェニーズ事務所は、今の芸能界においては最大のアイドル量産事務所として数多くのアイドルグループを世に送り出している。

今、私は、同じ会社の同期と4人で「Jewel」のドームでのコンサート行った帰りである。
Jewelのコンサートは、ファンクラブ会員でしか申し込めない。また、コンサートの申し込み枚数は一人4枚までなので、入社当時から、同じJewelが好きで、自分が好きなメンバー、いわゆる担当が異なることから、私達は、いつも4人で4枚ずつ申し込んでいた。
とはいっても今や、全国でファンクラブ会員数が100万人もいるというアイドルグループのため、コンサートが運よく当たったとしてもよくて年1回行ければ御の字というとこだった。

私達は、ちょうどこの4月で入社3年目、ARA株式会社の社員である。
私、美緒は、潤担当の25歳、都内の某大学を出て、マジメな就職活動の結果、この第一志望のARA株式会社に入社することができた。
翔担当の直美は、同期だけれども、浪人生活を1年送ったので現在26歳。小さい時大阪に住んでいたので、今でも微妙に標準語に大阪弁が混じる。生粋の大阪人には「変な大阪弁」といわれているが、本人はいたって気にしていないようだ。

Jewelのリーダー智担当の若菜は、短大を卒業して、いわゆる親のコネで入社をしてきた、私達グループきっての美少女23歳。
そして、私の心の友、親友の愛理は、高校卒なので、現在21歳。
ARA株式会社の受付嬢をしている。

それぞれ、好きなメンバーのことを担当と呼んでいるが、Jewelはアイドルグループではめずらしくメンバー5人がいるとわきゃわきゃと仲がいいため、自分が好きなメンバー以外もいつのまにか全員大好きになってしまうという魅力の持ち主達であった。

今日は、そのJewelのコンサート最終日。
3月にしては、まだ肌寒く、私達はスプリングコートの襟を立てた。
祭りの終わった後の淋しさはそこはかとなく切ない。

「ねえ・・・なんか今からカラオケでもいってもりあがらん? なんかこのまま帰るんもいややもん」と直美
「でも・・・今日、23:00から新曲発表でしょ?じゃあ、明日土曜日で会社休みだし、みんなで家来て飲みながら、一緒にJewelの新曲見ようか?」
「愛理んち行きたい!!行こう行こう!今日は一晩中飲み明かすぞ!」
と若菜
「美緒はどうする??」と愛理
「ごめんちょっと今日は用事があって」
「もういつもつれないな~彼氏でもできたんちゃう?」
「美緒、絶対に彼氏いるよね・・・この頃よくメールしてるし・・・ でも結構秘密主義だな・・・おぬしは・・・」と若菜が横目で私を軽くにらんだ。

「だったらさ・・みんな彼氏いるんやったら、今度、合同デートでディズニーランドでもいかへん?なぁ、若菜も愛理も彼氏おるんやから・・」
「いいかも・・・私達、3人は、この前飲み会彼氏連れてきたけど、美緒の彼氏だけは、仕事でこれなかったしね」
愛理が間をとりもつように言い出した。

「そうだっけ??まあ・・とりあえず、今日はゴメン・・・いそいでいるから・・・埋め合わせはきっとするから」と手を合わせて友達に謝りながら来たタクシーに飛び乗った。
ちょうどタイミングよく「ルビー」の着うたがなった。
「今日、コンサートの打ち上げ、ブッチしてくるから、22:00にはいくね!」
と彼からのメール

「了解。いつもの食事、用意しとくね」
私は、今日の献立を頭の中でさっと段取りを考えていた。
マンションにつくとまず、テーブルに花を飾り早速ディナーの準備にかかった。
また「ルビー」の着うたが流れた。

「車渋滞。15分ほど遅れる 」
「了解気をつけてきてね」
時計と睨めっこしながら、カルボナーラのソースを作り、ミモザサラダと乾杯用のシャンパングラスを用意した。
「いつもより、手抜きだけど、今日、私がJewelのコンサート行っていたのを知っているんだから、こんなもんでいいか・・?」

とひとりごちながら、最後の盛り付けをしていると。
22:15分ジャストに
ピンポーンコンコンコンといつもの合図が聞こえた。
「じゃーん」

Jewelのメンバー潤は、後ろ手で隠していたワインを差し出した
「打ち上げ会場から、失敬してきちゃった。一番高いらしいよ・・10万円位するってスタッフさんが言っていた。メンバーのやつら今頃ブーブー言っているだろうな(笑)」
というと悪戯っぽい笑みを浮かべた。
(うん。コンサートで見る笑顔も素敵だけど、私はやっぱり今の潤の笑顔のほうが好きだ)


~「第二章 サファイヤ」はこちらから

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