「骨格提言の実現」を置き去りにして、障害者総合支援法が成立し、時間が経過している。
この課題は、従来の障害当事者と関係団体だけの課題である限り、実現不可能だ。
そこで、「骨格提言の実現」を、もっと大きな社会合意にするための取り組みを目指している。
言うのは簡単だが、難しいことだ。
まず、骨格提言を、この間の関係者以外に説明すること自体、簡単なことではない。
この骨格では、
1.障害のない市民との平等と公平
2.谷間や空白の解消
3.格差の是正
4.放置できない社会問題の解決
5.本人のニーズにあった支援サービス
6.安定した予算の確保 というポイントのもとに、10の骨格提言がなされています。
と、簡単に言う。
それじゃあ判らない、と指摘される。もっともなことだ。
実際、先週の始めに、指摘を受け、補足説明を作るよう求められた。が、いまだにできていない。
骨格提言を苦労して作り上げた。宝だ。そうは言っても、この内容と、その重要性をもっと深く、端的に、説明することができないと、まさに「お話にならない」のだ。
そのことは、ことの始まり・応益負担に対する障害者の闘いの意義を伝えることにも及ぶ。
例えば高齢者介護を主業務にしている事業所にとっては、「応益負担によって人としての尊厳を傷つけられた」という障害者の主張がすんなり通らない。介護保険の事業は、すでに応益負担で動いてきたからだ。
介護保険の前提とする考え方には、権利保障という観点からは多くの問題が存在する。
また現実に、介護保険に統合されると、応益負担による負担増はもとより、認定される支給時間の減少によって、生活が破綻する重度障害者が存在する。
そのことが、重度障害者が、自らの存在の問題として自立支援法に強力に反対する根拠になったとも考える。
また一方で、自立支援法ができてから、制度内のサービスを利用することになった利用者、あるいは自立支援法の法内施設を新たに立ち上げた事業者にとってみれば、そのような反対は何のことやら、というのが実情のようだ。
立ち位置が異なれば、その痛みも異なる、ということだろう。
掲載が2012/2/20と、少々古く、また分量も多いが、僕が見た限りで最も総合的で的確であろう見解を紹介する。
障害者制度改革の重大な岐路 竹端寛
http://synodos.livedoor.biz/archives/1898730.html
「そして最大の不幸は、制度の持続可能性や安心安全を求める支援者団体や障害者家族団体と、当事者の声にもとづく政策を求める障害当事者団体の間で、自立支援法賛成派と反対派に分かれてしまったことだ。これは、医学モデルと社会モデルとの、パラダイム間の相克とも重なる対立であった。」
問題の所在についての、これ以上的確な表現を知らない。