宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

アパレル興亡

2020-05-25 13:34:50 | 本のこと


 当年64歳の私が生きてきた道程とちょうど重なる時代のアパレル業界の変遷、栄枯盛衰の様子を覗き見する感覚で、楽しく読んだ。
そこに登場するのは、「オリエント・レディ」という架空の中堅アパレル会社を中心に、他いくつかの架空団体もあるにはあるが、そのほどんどが実在する(した)企業。

昭和45(1970)年。
レナウン361億円、樫山(現・オンワード樫山)278億円、三陽商会121億円、イトキン120億円、東京スタイル73億円、ワールド35億円

作れば売れる時代。
レナウンはそのトップ企業だったが、つい先頃破綻した。

昭和50(1975年)
ショーケンは、「傷だらけの天使」というドラマでBIGIとタイアップ。
そのカッコよさは、当時高校生だった田舎もんにも分かった。
レナウンはアラン・ドロンを起用してダーバンというブランドを立ち上げる。
「JJ」が「別冊女性自身」の略だということを今更ながら知った。


 そして、バブル崩壊と共にアパレル業界も苦難の時代に。
数字を上げるためには、返品の山を覚悟で作り続ける企業。
百貨店の低迷。
こうして、それまでのやり方では通用しなくなり始めた頃、ユニクロというカテゴリーキラーの登場。

 また、株の買い占めによる企業買収。
会社は誰のもの?


 とどの詰まりは、人、経営者なんだな、と思わせる。
そして、人はやがて死んでゆく。
その後をまた誰かが引き継いでゆく。
人が変われば経営も変わる。
経営が変われば業績も変わる。

 ユニクロだって、いつまで覇者でいられるか。
諸行無常。

 でも、みんな、一所懸命やってきたし、今もやってる。
こうして、世も人も流れてゆくんだなぁ、と、思わせられる本ではあった・・・







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