何故だか、図書館にリクエストして取り寄せてもらった本。
『今更ユニクロでもないやろ』
御尤も、なんでリクエストしたんやろ?
豈図らんや、これが大作で、読み応えがあった。
まず、日経新聞編集委員たる杉本貴司さんの文章力、筆力に感心する。
それは、企業レポートとしてのビジネス本の域を超えて、柳井正さんの自伝を読むようだった。
山口県宇部市、そこは、宇部炭鉱という斜陽化する一大産業を抱えた企業城下町、その中心商店街たる銀天街の一角に家業小郡商事はあった。
そこから世界に打って出る経緯が描かれているのだが、我が町新居浜と、その背景がよく似ている。
奇しくも、新居浜にも銀天街はあるし、斜陽化はしてないが住友城下町でもある。
そして、これを書くには躊躇われる部分もあるが、商工会議所の先輩で、そっくりそのままの背景を抱えた人がおられる。
年齢は柳井さんの若干後輩にあたるが、東京の大学を出て、商店街にある昭和の初期から紳士服店として繁盛した家業を継ぐところまでそっくりだ。
ただ、先輩の場合は、既に廃業されている。
それは、彼のせいではない。
同じような境遇にある人の大多数がそうなのだから。
かくいう私もそのクチである。
あ、まだ廃業はしてないが、つぶれかけだ(自慢するとこか!)。
なのに、柳井さんだけが何故?
そこんところの紆余曲折に答えがある。
一言で片づけてしまえば、『やる気本気』であろう。
そして、そいつを推し進めるに当たっての、将来への展望と、それに伴う勉強、これが尋常ではなかった、ということだ。
田舎の小商い店主の誰が世界を目指したりするだろうか。
せいぜい何店舗か持って、そこそこ稼げれば十分、凡人はそう考える。
でも彼は、世界制覇というゴールを先に決めて、そこを目指した。
これも、本に学んだからに他ならない。
例えば、文中、何度も取り上げられる【成功はゴミ箱の中に】。
これは私も読んだ記憶があったので、トイレの本棚から引っ張り出してみれば、【2007.02.08.】に求めている。
確かに刺激は受けた。
が、そこまでだ。
ここら辺りの差なんだなぁ、これが。
いいや、こうして開き直るしかないだろう。
やがて、世界レベルに成長した会社を去った二人がいる。
宇部の小郡商事時代から苦労を共にしたスタッフだ。
彼らは『もう我々の出る幕ではない』と悟った。
そして、柳井もそれを否定しなかった。
同族企業からの脱却、そうしたエポックを超えた先に世界的企業としての存在価値がある。
さういうことなのだらう。
ま、要するに、私のやうな凡人には計り知れない紆余曲折がある、ということだ。
そいつを垣間見るだけでも、読む価値はある。
オススメ・・・
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