新居浜人にとって、興味深く、また誇りに思う作品。
新居浜市は住友城下町。
しかし、その起源となった別子銅山は、銅鉱の枯渇による廃坑の憂き目に遭ってから久しい。
それでも、系列企業は多く残っており、まだまだその恩恵に浴している。
なのに、存外その歴史を知らない。
そういう意味でも、意義深い本だと思う。
物語は、戦国時代、秀吉の四国征伐から始まる。
そこで討ち果たされた金子城主の家来三人が、再興を誓ってそれぞれの道を選ぶ。
その子孫がやがてまた引き寄せられるように別子銅山に関わってくる。
つい最近、この歳になってようやく訪れたえんとつ山とその北側にある大山積神社と別子銅山記念館。
そして、道を挟んでその対面にある内宮神社。
それらの起源と歴史がよくわかった。
そんなことが、益々郷土愛を深める人が増える原動力になるんじゃないだろうか。
ただ、どこまでが史実で、どこからが創作なのかは分からない。
いずれにしても、これほど日本の歴史とその当時の新居浜の出来事を絡めて進行させるには、相当な取材が必要だろう。
そして、その底辺に横たわる著者の故郷新居浜に対する愛情をひしひしと感じる。
実はその著者である井川香四郎くんは、東高の1年後輩であるらしい。
著名な作家さんを君付けで呼ぶ失礼を、たった1年といえども、年長であることで許してほしい。
また、ただそれだけの理由だけではなく、一度(正確には二度)会って話したときの彼の印象からして、変にへりくだる言い方はよろしくないとも思っている。
というのは、「チュー太郎」のお客さんが「同級生が帰省してるから」と言って、一緒に来店してくれたことがあるのである。
とてもフランクな人で、私は少なからず好感を持った。
なので、その翌日、新居浜図書館で催された彼の講演会にもお邪魔した。
すると彼は、その冒頭「昨夜は垣生のちゅうさんとこで飲みました」と。
その聴衆の中に私が居たことは知らずに(と思う)。
そんな人だから、気軽に「ちょうどもっとるけん」という理由で著書を2冊進呈してくれた。
勿論、サイン入りで。
井川香四郎くん、益々のご発展をお祈りしております!
別子太平記 : 愛媛新居浜別子銅山物語 (文芸書) | |
クリエーター情報なし | |
徳間書店 |
蛇足ながら、ミスプリ?
校閲の不備ではないか?
と思った部分を残しておく。
・p393の8行目
明治43年が1920年になっている(1910年の筈)
・p399の8行目
正明ではなく、俊明では?(正明は俊明の父)
・p404の13行目
事故ではなく自己ではないか?
以上、失礼かとは思ったが、校閲は出版社の担当だから、増版する際の参考にしてもらえればとの思いから・・・
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