きっかけはラジオ。
この本の宣伝の為に出演してた「くにまるなんとか」で知って、単純に興味が湧いたから図書館にリクエストして取り寄せて貰った。
(本体2500円もするし。蛇足か・・・)
瀬尾一三という名前は、これまで幾度となく編曲者として目にしてきた。
「かずみ」だと思ってたら、「いちぞう」なんだね。
業界への入り口となったのは、村井邦彦だという。
40年くらい前だろうか?
音楽番組によく登場してた顔がスンナリと思い浮かぶ。
そこから、拓郎や斎藤哲夫、伊勢正三・・・と、名だたるニューミュージック畑のミュージシャンと仕事をする。
そして、現在は、ほぼ中島みゆきとの蜜月にあるという。
門外漢としては、「へえ、あの人とも」などと、彼の仕事の変遷ぶりを覗き見て愉しむ程度の本といえようか。
敢えて、書きとどめるとすれば、それらは巻末の対談集の中にあった。
今は昔的に言うなら、その大きな変遷はレコーディングの仕方にあるという。
昔が同録なら、今はマルチ・レコーディング。
それらの差は、「ファジーな色合いと白黒ハッキリ」「有機的と無機的」「アナログとデジタル」といった分け方が出来るという。
そういえば、なんかのTV番組で、ラジカセで商売をしてる人が言うには、「何ならカセットテープの音のほうがCDより柔らかくて趣があったりする」と。
「レコードなら解るが、カセットテープはどうなん?」と思いつつも、段々と「いや、そうかもしれん」と思い始めた。
CDというのは、人の聴覚のキャパの外はカットしているらしい。
それに比べて、アナログは、雑音も含めて、全てが記録されている。
なので、臨場感が違う。
確かに、それはそうだと思う。
それで思い出すのは、このCDだ。
これは、ビル・エヴァンス・トリオが1961年にヴィレッジ・ヴァンガードに出演した時のライヴ演奏が3枚のCDに収められたもの。
ある旅先の宿で借りて、自分の部屋で夜中に一人じっくり聴いたのだが、観客の拍手、息遣い、食器の音等々、まるでそこに居るような臨場感が伝わってきて、震えた。
結果、今では「チュー太郎」のヘビーローテーションの仲間入りを果たしている。
(ナイルによれば、私はこれを、2017.07.09.にクリックしたらしい)
アナログの臨場感を例えるのに、CDて、って思われる向きもあろうが、それほど、臨場感というものは凄いし、何ならこれがレコードならさぞやと。
それが証拠に、このライブではないが、アナログLPで復刻リリースされるものもある。
ハテ、私は、あの「チュー太郎」のレコードプレーヤーを何処に仕舞い込んだものだろう?
閑話休題
そこんところを、彼は対談の中でこう語っている。
「完璧なものより、愛される不完全が大事」
これは、言い得て妙。
余談になるが、山下達郎との対談の中で達郎が言ったこの事実が妙に面白かった。
達郎の六本木のスタジオのハナシ。
「防衛庁の頃は問題なかったが、ミッドタウンが出来てから、17時から25時辺りは電気が汚れて音が乱れるんですよ」
如何にもマニアックな達郎らしい感想じゃないか。
仕上げは、巻末、瀬尾一三の作品リスト。
それは、1969.02.01.マイケルズ「君に歌を」から始まって、通しナンバー2800、2020.01.08.中島みゆき「タグ・ボート」まで。
勿論、これは現在進行形。
正に圧巻。
「音楽以外のものはいらない、その代わり、音楽だけはやらせてください」
瀬尾は、神様とそう契約したんだと言う。
我々凡人には「ホォ~」とため息をつくくらいしかできんわなぁ・・・
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