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迷宮・緑柱玉の世界の独り言

緑柱玉:大人の童話 NO2 「白雪姫」

2019-09-18 | 大人の童話
緑柱玉:大人の童話 NO2 「白雪姫」


女の子はね
かわいいと言われ続けて、かわいくなるんだよ
綺麗だねといわれて、綺麗になっていくんだよ。
貴女の周りにも、沢山の魔法の言葉があるのですよ。
貴女は優しい子供、今日のお話は、白雪姫ですよ。

昔々、ずっと昔の話。
ある国に、王様と王妃様と、かわいらしい姫がいました。
雪のように白く名前を、白雪姫といいます。

誰もがうらやむ、幸せな家族でした。
男親にとって、女の子はかわいい。
王は幼い白雪姫を溺愛しました。
ほほえましい親子愛。
そんな姿を、誰もが目を細め見ていました。

しかし、王妃は徐々に寂しさを覚えるようになった。
王妃に向けられるはずの愛情が幼い姫に向けられたからです。
娘に嫉妬するわけではないが、自分を見てほしいと思ってあたりまえ。
王は最近私を「愛してる」と言わなくなった。
王妃はそれだけでも寂しく思えた。

可愛らしい白雪姫は、誰にも愛される少女に成長しました。
我が子が愛されて嫌な気はしない。
しかし・・・・
王妃は独り鏡に向かってたずねるのです。
「世界で一番美しいのは誰?」
「それは王妃、貴女です。」
そう答える鏡が王妃の心を救っていた。

王妃の鏡。
王妃には秘密の鏡があった。
見たいものが見えるという不思議な鏡。
王妃は、その鏡を手にしては、外界を覗いていた。


次第に王妃は自室にこもり鏡に問う時間が増えてきた。
娘と王が仲がよすぎるというのは、王妃にとって寂しいことでありました。
王は白雪姫をどこにでも連れて行くようになり、王妃のいるべき場所に白雪姫が座っているようになりました。
誰が見ても、不自然ではあっても、声に出して言えるものは無い。
そんな生活の中、白雪姫は、我が侭になって来ました。
王は、娘の声には従順に従っていました。
白雪姫は、城内部のことまで口を出すようになりました。
王も、少々困ってはいましたが、今までの我が侭を許したことを後悔し始めていました。

我侭な白雪姫の声を聞き入れる王と白雪姫の関係が、親子だけではないと感じていた者は多くなっていましたが、姫のご機嫌をとれば、王はご機嫌であると、誰もが思うのです。
貢物は、王妃ではなく、白雪姫へと手渡されるようになっていました。
  *   *
王は白雪姫の言いなり。
王が、白雪姫の足元に座り、靴を履かせるのです。
王女の柔らかな足に触れることがうれしかった。
スカートの奥に潜む柔らかな丘を触れる瞬間を思い出した。
膨らみ始めた乳房、青いりんごのような硬い乳房。
若い肉体独特の感触。
丸みを帯びない、スレンダーな体型に、幼い性を喜ぶ自分を自覚していた。

白雪姫は少女の気まぐれで、時にプイット知らん顔をする。
王は、王と言う立場さえ忘れ、少女の体を欲しがる男と化している。
「お願いだよ。少しでいいんだ、触らせておくれ。」
「だめよ。今日は我慢しなさい。」
「香りだけでも・・触らないから・・・」
白雪姫は男のあしらい方を知っていました。
娘かわいさ、若い肉体に触れたい欲望は、止まりません。
王の目を細めてしまい、外部の声など聞こえない。

  *   *

誰がこのような姿を想像するだろう。
それを王妃が知ってしまう。
「世界で一番美しいのは誰?」
「それは、白雪姫・・・」
鏡に映った白雪姫の足元にひざまづく王の姿。
王が姫を見つめる瞳は欲情していた。
姫は、いたずらでもするような笑顔で王をあしらう。
体中の力が抜けてしまった。
私の愛する王を・・・・何ということでしょう。

嘘だと信じたかった。
しかし一度疑ってみてしまうと、否定できない疑問が沸き上がる。
私の若い頃・・
そんな疑いの心は、内なる美しさを消していく。
いくら着飾ってみたところで、人相が悪くなった王妃は、美しくない。
王妃と白雪姫の若さと美貌に差が出てくる。


王が数日城を空けることになった。
この時、王は、白雪姫を連れて行かなかった。
「ご無事に、お帰りください。」
そういった王妃に、「ああ。」と一言言った王の笑顔は、王妃にとって、久しぶりの喜びだった。

無邪気に笑う姫。
自分が中心のように振舞う王女が我慢できなくなった。
この子さえいなければ・・・・
そして王妃は、白雪姫を森に連れて行って殺すように召使に言い伝えた。

召使は、深い森の中で、姫を殺さなければいけない。
命令とはいえ、なぜこんなかわいい姫を・・・

白雪姫は、同じ年の少女に比べたら、男を知っていた。
男に甘える子猫のように甘く鳴き、擦り寄った。
男の言葉に森に出たが、不穏な空気は感じ取り、男にすりより甘える。

「私は、なぜ森へ・・・怖いわ。」
男の腕にしがみつく姫。
腕に胸を押し当てる。
男は、姫の小さな胸を腕に感じるであろう。
男は姫を置き去りにしようと考えた。
茂みの音を聞いては、怖いと男の背後に回り、体を隠す。
決して男の体から手を離さない。
男も、姫の手を握り、大丈夫ですという。

姫は体を震わし、男にしがみつく。
「お願い、怖いわ、ぎゅっと抱きしめて・・・・」
それで恐怖がおさまるのなら・・・男は姫を抱きしめた。

「私は・・・・」
姫の目に、一筋の涙。
誰も見るもののいない森の中、男はここぞとばかりに白雪姫を抱いた。
男は、姫の体をくまなく舐め、触れた。
こんな事が、ばれれば命はない。
しかし今日で姫の命がなくなるのなら、死ぬ前に心置きなく抱いておこう。
姫は男にしがみつき、男を受け入れた。
終わりがないかと思うほど、抱き合った。
少女とは思えない・・
森に姫の歓喜の声が木霊した。
姫は、男の腕の中で眠ってしまった。

気が付けば、あたりは夕闇が迫っていた。
抱いた女を殺せるほど、男は悪人ではない。
殺さなければいけなかったのだが、もう、こんなかわいい姫は殺せない。
置いていくには、忍びない。
しかし、つれて帰れば、自分の身が危ない。
男は、願わくば生き延びて欲しいと、そう願いながら姫を置き去りにした。
自分が手を下さなくとも、森には獣が住んでいる。
生きるすべを知らない姫が、生きていられるわけが無い。
そう思い、男は白雪姫を森の中に置き去りにした。

王妃には罪の意識があったが、自分で手を下したわけでは無い。
王には、伝染病で死んだと告げた。
伝染病では、助からない時代だった。仕方ない。
そして、王の愛は再び王妃に戻った。

白雪姫は、深い森を数日さまよい、小人たちに出会う。

白雪姫と小人の生活が始まった。
男ばかりの生活に女がいる。
小人といわれ、山奥にひっそり住む男どもにとって女など無縁だった。
そこに迷い込んだ少女。

それは男にとって白雪姫は幼くとも女だった。
男たちは、かわるがわる白雪姫を愛した。
我侭であっても、花のような香りがする。
柔らかな手に触れることができる。

白雪姫にとってもうれしかった。
男との快楽を知ってしまった姫の体。
森で召使の男に抱かれたことも、小人に抱かれることも
生きていくため。
そして姫の体は、愛よりも、快感が欲しかった。
常に自分が上から見下ろせる相手が・・・

背が低く、無骨な男どもだったが、白雪姫にとって気にならなかった。
王のねちっこい愛撫も、吸い付くような口付けも白雪姫には慣れていた。
そう、相手は誰でもいいのだ。
姫に快楽をくれる者であれば、姫は受け入れた。
白雪姫にとっては、住む場所と食料があれば、生きていける。
そして、自分が上位だというプライドが保てた。

小人は、白雪姫をかわいがってくれた。
何もできない白雪姫でも、そこに女がいてくれるだけで、うれしかった。
笑顔で、送り出しいてくれ、迎えてくれるのがうれしかった。



王妃は心に暗い闇を持ったまま過ごしていた。
再び鏡に向かって訊ねる。
「世界で一番美しいのは誰?」
「それは王妃さま。」
その言葉を聞くとほっとした。

しかし、ある日鏡は「それは白雪姫」と答えた。
王妃の心は凍った。
あの子がなぜ生きているの?
王妃は小人と暮らす白雪姫を探し出した。

王妃は、小物売りに成りすまし白雪姫に飾り紐をあげた。
王女はきつく胸を絞めたため、息ができなくなり倒れてしまった。
仕事から戻った小人が見つけ、胸の紐を解くと息を吹き返した。

城に戻り、これで安心と思った王妃。
「世界で一番美しいのは・・誰」
鏡に映る自分は、この世のものとは思えない血相の醜い老婆のようだった。
それでも、白雪姫がいなければ自分が一番だろうと思った。
今の王妃にはそれだけが救いとなっていた。

しかし鏡は、「森に住む白雪姫」と答えた。
なぜ、白雪姫は死んでいない・・・
王妃の心にはもう白雪姫を殺すこと以外考えられなかった。
失敗はできない。
姫が生きていたなら、私の身が危ない。
王妃は、さまざまな薬草を染み込ませた林檎を白雪姫に食べさせた。
今度はどれだけ小人が揺さぶろうとも、目を覚まさなかった。

悲しんだ小人たちは、ガラスの棺に入れ別れを悲しんだ。
そこに、他の国の王子が通りかかり姫の美しさに欲しいと言い出した。
小人は渡したくない。
童話ではここでキスをして白雪姫が目を覚ます。
そして結婚するのだが、この話はそうはいかない。
死体の姫と結婚すると言い張る王子に、小人は負けた。

王子は、死体に恋をしていた。

ひんやり冷たく、棺に寝ていてくれることがうれしかった。
ガラスの棺に入った白雪姫を眺めては微笑んだ。
まるで蝋人形のように肌色を変えない白雪姫の死体は、王子にとって最高のものであった。
しかしある日、棺の中の白雪姫を抱いていると、のどに詰まったりんごが飛び出し、姫は息を吹き返した。

蝋人形のような姫が生きた姫になった。
王子は驚いた。
姫が生き返ったことをみんなが喜んだ。
落胆したのは王子だった。
生き返ってしまった・・・。

棺で、死人のように寝てくれるのなら・・・
姫にとってはこの生活を、続けたい。
二人は妥協した。
そして、二人は棺の中で抱き合った。

全てを見れる不思議な鏡が見せたもの・・・

少女を溺愛した王の姿。
王妃もまた、年若く嫁ぎ、若い肉体を愛された経験を持つ。
白雪姫の幼い肉体に興味を持つ事を一番恐怖したのは、王妃だった。
白雪姫の欲望、肉体が、王の欲求から外れ始めた事を一番に知ったのも、王妃だった。
王のいない城で、手当たり次第に男と交わっていた。
ふしだら、極まりない。
そして、白雪姫を森へと連れ出させた。
白雪姫の本当の姿を見てしまった王妃は、白雪姫を殺そうと思ったのも無理は無いかもしれない。
自分の中にある、抱かれたい、愛されたいという欲望が、白雪姫に重なって見えた。
白雪姫は、奔放に求め歩いていた。
誰にでも肉体を差し出すふしだらな姫は、私の娘。隠したい自分の一部をさらけ出しているように見えてしまう。

森での白雪姫は、幼い頃から知り尽くした男心の使い方と、冷淡な心で男に抱かれ、自分を生き長らえさせる。
召使、小人・・・そして王子。娼婦となっている。
美しさとかの問題以上に、白雪姫の娼婦性を消したかったのかもしれない。

姫が悪いのではない。幼い体に快感を教えた王が悪い事は、十分分かっていた。
しかし王妃は、王を殺すことができなかった。
なぜなら王妃は、王に抱かれたい女であったためだ。
王の、ねっとりとした、しつこいまでの愛撫と、女を喜ばせるためのテクニックに、王妃は、王を失うことが出来なかった。

やっと、白雪姫を殺せたと思った王妃。
しかし、白雪姫は生きていた。
王妃には、もう手に負えない。

白雪姫を助けた王子は死体愛好者。
冷たく、血の通わない肉体に興奮する。傷を付けても咎めはない。
白雪姫は、死体を抱く王子の激しく残酷なまでの性行為が、新鮮であった。
体を冷やし、意識が朦朧となる中で抱かれた。
死人のように残酷に扱われ、私を壊れるまで愛して欲しいと哀願した。
それほど極端な刺激を求めるようになってしまっていた。
白雪姫の結婚が、幸福だったかどうか、それはわからない。
残酷を愛した若い夫婦の姿を、王妃はもう見たくなかったのかもしれない。

何でも見える鏡?
いつしか他人の手に渡る。
時に違う話に登場する・・・・それはどこでしょう。


貴女はかわいい!
貴女は美しい!
魔法の言葉で魔法にかかる姫
貴方、素敵!
貴女も貴方も魔法の言葉を知っている。魅惑の世界への合言葉


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