なにげな言葉

なにげない言葉を あなたに伝えたい
迷宮・緑柱玉の世界の独り言

緑柱玉:大人の童話 NO3   『 赤頭巾』

2019-09-19 | 大人の童話
緑柱玉:大人の童話 NO3    


        赤頭巾

童話で出てくる赤頭巾ちゃんはかわいい幼い少女。
でも本当は年頃の少女だったのですよ。

赤頭巾の話から、歴史が見えるのです。
貴女はこの話から、何が見えるのでしょうね
さぁ、今日の話は、赤頭巾ですよ。

今も昔も、少女とは、耳年増であって、早熟です。
同い年で、嫁に行った友もいる歳。
赤頭巾は窓辺に座ってため息をついている。
結婚するには、それに見合う品物がいる時代です。
戦、貧困、満足な生活が出来た人々は、どれぐらいいただろう。

時代がどうであれ、少女は成長と共に、異性に興味を抱き始めるのです。
男の人って・・・どんなかしら・・・
年頃の娘ならば、異性のことで頭がいっぱいでも仕方がない。
でも自分から男に声などかけることはしない。
いつか素敵な人が結婚を申し込みにきてくれると信じていた。
そんな、少女にとっての楽しみは、森の奥に住んでいるおばあさんのところに行く時だった。
おばあさんは、少女に赤い布で頭巾を作ってくれた。
いつも赤い頭巾をかぶり、鼻歌交じりで森に出かける少女を村人は少女を赤頭巾と呼んだ。
少女もそれを嬉しく喜んでいた。
出会いがあるかもしれないと、期待せずには居られなかった。

村の男達は、恋をした娘と、森に出かけて逢瀬した。
明るく恋を語る友も居たが、赤頭巾は、未だ経験がなかった。
そんな村人を眺める赤頭巾は、その恋人たちのことを想像した。

きっと私の知ってるキスとは違うでしょう。
男の人に抱かれるって、どんな感じ?
男の人ってどんな感じかしら・・
男の人の手が、私の体をどう触るのかしら・・・
男という存在を間近に感じたことが無い赤頭巾にとって、異性は素晴らしく素敵なものに写っていた。

森に住むおばあ様に会いに行く為に、森に出かけるのですが、母親は、赤頭巾に道草をしないように注意するのです。
赤頭巾は素直に返事をするけれど、すぐに忘れてしまうのです。

綺麗な花を見つけては、寄り道をする。
時には、森で逢瀬をしているカップルなどを見つけると、こっそり覗いていた。
その日も赤頭巾は、母親の忠告を忘れ、森の中で道草をしてしまった。

「森には狼がいるのですよ。道草をしないようにしなさい。」
赤頭巾は、母親の言う狼というのが男の人だということを知っていた。
好奇心と、初体験を夢見る赤頭巾にとっては、狼という言葉がとても魅力的に聞こえた。
「狼に、逢ってみたいなぁ。」

狼が現れた!
赤頭巾に吸い寄せられるように狼が近づいてきた。
「お嬢さん、何処へ行くの?」
「おばあさんのところよ!」
「何しにいくの?」
「パンとワインを持っていくのよ!」
赤頭巾は、狼のしつこいまでの質問と目つきが怖くなり、母親の言葉を思い出した。
「じゃあね。おじさん。ばいばい!!」

狼にとっては辛い。
せっかくの獲物が、スキップしながら去っていくなんて・・・
「おばあさんか、先回りしよう!」

狼は、森のおばあさんの家に先回りをした。
「おばあさん!」
その声で、おばあさんは玄関を開けてしまった。
狼はおばあさんを見て驚いた。
老婆とばかり思ったが、若いではないか・・・まだ、40代では無いだろうか?
狼は、おばあさんの熟れた肉体をむさぼるように、いただいてしまった。
おばあさんも抵抗しなかった。
抵抗どころか喜びの声をあげてしまった。

若かろうが、年老いていようが、おばあさんという呼び方に、男は勘違いしていた。
80の老婆とでも思っていたのだろう
赤頭巾のように若くは無いといえど、肉体的には熟成した女。
男との快楽を忘れるはずが無い。

狼は驚いた。
思いがけず、おばあさんまでいただいてしまった。
赤頭巾には無い、大人の女を感じることが出来、満足した。

おばあさんは、狼の話から、赤頭巾が来ることを知った。
こんな姿を見られてはいけない。
必死に狼を追い返そうとしたが、狼は帰らない。
言い合いになった狼とおばあさん
狼は五月蝿いヒステリックなおばあ様を戸棚に隠した。

赤頭巾は、森の中でとった花を抱えおばあさんのところに来た。
ベッドの中の狼は、赤頭巾をベッドに呼び込んだ。
「よく来たね。寒いだろ、ごめんね、暖炉が壊れてりるんだよ。
 布団の中で、温まろうよ。」
「分かった!」
「服を脱いで入るんだよ!」
「おばあさん、ふわふわして温かいわね。」
「赤頭巾のために、温めていたんだよ。」
「まあ、おばあさん、大きなお耳。」
「お前の声を良く聞くためだよ。」
「大きなお目目」
「お前をよく見るためだよ。」
「大きなお口。」
「お前をいただく為だよ!」
「まあ、おおかみさん!ここにいたの?」

赤頭巾は、ベットの中にいる狼を見て驚いた。
「さっきの狼さんね。おばあさんと知り合いだったのね。」
さっきは怖くなったけど、おばあさんの知り合いだと分かり、狼が怖くなくなった。
本当はもっと話がしてみたいと思った。

狼は、やさしい声で、赤頭巾を誘った。
赤頭巾と狼はベッドの中で話し込んだ。狼の手は、ずっと、赤頭巾を撫でていた。
赤頭巾を抱き寄せ、髪の香りを嗅ぎ、首筋にキスをした。
なんともいえない香りに、狼は、嬉しくなった。

赤頭巾、初めて男に首筋にキスをされ、ゾクゾクするとは、知らなかった。
小さな声だか、「うぅ~ん」
その声が、男を喜ばせることを、赤頭巾は知っていた。

狼は、赤頭巾が受け入れることを確認すると、青く固い蕾を頬ばった。
狼にとっては、至極の時だ。
赤頭巾、やっと念願の初体験が出来ると、密かに思った。
男が、これほどやさしくしてくれるとは知らなかった。
何故、お母さんは、狼さんに気をつけろというのかしら?


初めての赤頭巾だが、心の準備が出来ていたので拒まなかった。
狼は、腰に力を入れ、赤頭巾の腰を抑え突き刺した。
破瓜の痛みと体に燃える何かを感じた赤頭巾。
狼は、赤頭巾を力強く抱き寄せた。
「君は、いい子だね。」
赤頭巾は、嬉かった。

念願の初体験、自分で思うほどショックではなかった。
しかし、母親の忠告を守らなかった罪の意識が蘇った。
おばあさんが居ないことに気が付いた。
おばあさん、何処へ行ったのかしら、戻る前に、何とかしなければ・・・・
狼は、大きないびきで寝ている。
狼にしてみたら、思いがけず2人の女を抱いてしまい、疲れ果て、寝込んでしまった。

そこに、森の猟師が通りかかった。
轟音のように響く音に驚いた。
「おばあさん、どうしたんだい?」
目の前にいるのは、おばあさんではない。
シーツに包まった赤頭巾。
「たすけて・・・・狼が・・・・・おばあさんがいない・・」
猟師は赤頭巾を強く抱きしめ
「さあ、もう大丈夫、俺がいるから、大丈夫!」
猟師は、血の着いたシーツを見て
「どこか怪我でもしたのか?」
「大丈夫です。」
猟師には分かっていたが、少女の口から聞きたかった。

そう、猟師は、森に来た時には、おばあさんの家に寄っていた。
寒い夜、人肌で温まりながらすごしていた。
もちろん赤頭巾の事だって知っていた。

「無理やりか?」
「うん」
「大丈夫か?」
「何か差し込まれたみたいで、まだ刺さってる感じがするの・・・」
「よし、俺が見てやろう。」
猟師は、たった今処女を失った赤頭巾の茂みを見つめ、指で探り、匂いをかいだ。
「いけないなぁ。何かが入っている。」
猟師は、指を差し込み、何かを探すように、掻き混ぜた。
「おじさん、痛い!」
「大丈夫、直ぐに取れるよ。」
「どうだい?」
猟師は、赤頭巾の中で、指先を細かく動かした。
「くすぐったい!」
「良かったなぁ。棘が取れたよ。」
猟師は、赤頭巾から抜いた指の、匂いを嗅ぎ、シーツで綺麗に拭いた。
確かに、潤っていた。
女の匂いだ。

「大丈夫だよ。きれいに洗いなさい。」

猟師は、赤頭巾を抱きたかったが、狼が気になった。
まず狼を始末して、それからでも遅くない。
狼を撃とうとしたとき、戸棚で音がした。
戸棚を空けると、おばあさんが、ごろりと転がりだした。

猟師も赤頭巾もおばあさんの姿を見て、驚いた。
「こいつが・・・・」
おばあさんは、なぜ狼に襲われたかを赤頭巾に聞かれる前に、狼を始末しようと考えた。
赤頭巾、おばあさんに声を聞かれたのではないかと心配した。
何か言われる前に、狼を始末しなければいけないと考えた。
猟師は、おばあさんとの関係を赤頭巾に知られるのはまずいと思った。
そして、おばあさんに対しては、赤頭巾に抱いた良からぬ思いを悟られたくなかった。
猟師もおばあさんも、赤頭巾も、一刻も早く、狼を何とかしなければいけないと考えた。。
狼を縛り、おばあさんの入っていた大きな麻袋に詰め、井戸に落とし殺してしまった。

おばあさんは、猟師に、赤頭巾を村まで送るように頼んだ。
猟師とおばあさんの関係を感じ取った赤頭巾だが、何も聞こうとしなかった。
猟師もまた、赤頭巾が狼としていたことを話そうとは、しなかった。
おばあさんもまた、戸棚の中で聞こえた赤頭巾の喘ぎ声について、何も言わなかった。

互いが、互いの為に、思いを封印した。
帰り道、汚れた体を川で洗う事を猟師がすすめた。
赤頭巾の全身をくまなく洗ってあげた。
「ありがとう、おじさん。」
風の冷たさを、猟師は、自分の体で包み暖めた。
赤頭巾は猟師の体は大きく、暖かいと思った。
「何もなかったんだよ。そう思うんだよ。」
赤頭巾は、無邪気な少女を装い、家路に着いた。


森で遊びましょ
無邪気に少女が言った。
森には怖い狼が居るよ!
大丈夫よ!
森には優しい熊さんがいるんだもん

最新の画像もっと見る

コメントを投稿