今年のアカデミー賞の授賞式での各賞の発表の順番は、例年とはかなり違う物となった。
監督賞は、過去5年では21番目や23番目と終盤に発表されていたが、今回は7番目に発表。作品賞は、今までは最後に発表されていたのに、今回は最後から3番目。
それもこれも、主演男優賞を最後に持って来るためだった。昨年8月に大腸癌で43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマンの受賞で式典の最後を飾ろうと考えたのだろう。
2016年~2021年の授賞式の具体的な発表順は以下の通り。
日時 (現地時間) | 2021年 4月25日 | 2020年 2月9日 | 2019年 2月24日 | 2018年 3月4日 | 2017年 2月26日 | 2016年 2月28日 |
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回 | 第93回 | 第92回 | 第91回 | 第90回 | 第89回 | 第88回 |
司会 | 無し | 無し | 無し | ジミー・キンメル | ジミー・キンメル | クリス・ロック |
作品賞 | 『ノマドランド』 | 『パラサイト 半地下の家族』 | 『グリーンブック』 | 『シェイプ・オブ・ウォーター』 | 『ムーンライト』 | 『スポットライト 世紀のスクープ』 |
開始時刻 (日本時間) | 9:00am | 10:00am | 10:00am | 10:00am | 10:30am | 10:30am |
放映時間 | 3時間19分 | 3時間36分 | 3時間21分 | 3時間53分 | 3時間49分 | 3時間37分 |
各部門の発表順 | ||||||
1 | 脚本賞 | 助演男優賞 | 助演女優賞 | 助演男優賞 | 助演男優賞 | 脚本賞 |
2 | 脚色賞 | 長編アニメーション賞 | 長編ドキュメンタリー賞 | メイク&ヘアスタイリング賞 | メイク&ヘアスタイリング賞 | 脚色賞 |
3 | 国際長編映画賞 | 短編アニメーション賞 | メイク&ヘアスタイリング賞 | 衣装デザイン賞 | 衣装デザイン賞 | 助演女優賞 |
4 | 助演男優賞 | 脚本賞 | 衣装デザイン賞 | 長編ドキュメンタリー賞 | 長編ドキュメンタリー賞 | 衣装デザイン賞 |
5 | メイク&ヘアスタイリング賞 | 脚色賞 | 美術賞 | 音響編集賞 | 音響編集賞 | 美術賞 |
6 | 衣装デザイン賞 | 短編実写映画賞 | 撮影賞 | 録音賞 | 録音賞 | メイク&ヘアスタイリング賞 |
7 | 監督賞 | 美術賞 | 音響編集賞 | 美術賞 | 助演女優賞 | 撮影賞 |
8 | 音響賞 | 衣装デザイン賞 | 録音賞 | 外国語映画賞 | 外国語映画賞 | 編集賞 |
9 | 短編実写映画賞 | 長編ドキュメンタリー賞 | 外国語映画賞 | 助演女優賞 | 短編アニメーション賞 | 音響編集賞 |
10 | 短編アニメーション賞 | 短編ドキュメンタリー賞 | 編集賞 | 短編アニメーション賞 | 長編アニメーション賞 | 録音賞 |
11 | 長編アニメーション賞 | 助演女優賞 | 助演男優賞 | 長編アニメーション賞 | 美術賞 | 視覚効果賞 |
12 | 短編ドキュメンタリー賞 | 音響編集賞 | 長編アニメーション賞 | 視覚効果賞 | 視覚効果賞 | 短編アニメーション賞 |
13 | 長編ドキュメンタリー賞 | 録音賞 | 短編アニメーション賞 | 編集賞 | 編集賞 | 長編アニメーション賞 |
14 | 視覚効果賞 | 撮影賞 | 短編ドキュメンタリー賞 | 短編ドキュメンタリー賞 | 短編ドキュメンタリー賞 | 助演男優賞 |
15 | 助演女優賞 | 編集賞 | 視覚効果賞 | 短編実写映画賞 | 短編実写映画賞 | 短編ドキュメンタリー賞 |
16 | 美術賞 | 視覚効果賞 | 短編実写映画賞 | 脚色賞 | 撮影賞 | 長編ドキュメンタリー賞 |
17 | 撮影賞 | メイク&ヘアスタイリング賞 | 脚本賞 | 脚本賞 | 作曲賞 | 短編実写映画賞 |
18 | 編集賞 | 国際長編映画賞 | 脚色賞 | 撮影賞 | 歌曲賞 | 外国語映画賞 |
19 | 作曲賞 | 作曲賞 | 作曲賞 | 作曲賞 | 脚本賞 | 作曲賞 |
20 | 歌曲賞 | 歌曲賞 | 歌曲賞 | 歌曲賞 | 脚色賞 | 歌曲賞 |
21 | 作品賞 | 監督賞 | 主演男優賞 | 監督賞 | 監督賞 | 監督賞 |
22 | 主演女優賞 | 主演男優賞 | 主演女優賞 | 主演男優賞 | 主演男優賞 | 主演女優賞 |
23 | 主演男優賞 | 主演女優賞 | 監督賞 | 主演女優賞 | 主演女優賞 | 主演男優賞 |
24 | 作品賞 | 作品賞 | 作品賞 | 作品賞 | 作品賞 |
今年は23部門と昨年までより1部門少ないのは、録音賞(Best Sound Mixing、第3回アカデミー賞から)と音響編集賞(Best Sound Editing、第36回から)が統合されて音響賞(Best Sound)になったからだ。
また、従来の外国語映画賞(Best Foreign Language Film、第20回から)の名称が、昨年開催の第92回から国際長編映画賞(Best International Feature Film)に変更された。この名称変更は2019年4月の会合で決められた。
名称は変更されたが、エントリー資格は米国以外で製作された主要言語が非英語の長編であることに変わりはない。このため、ナイジェリアからこの部門に初めて出品された『LIONHEART/ライオンハート』が、その主要言語がナイジェリア唯一の公用語である英語であったため、第92回アカデミー賞の国際長編映画賞において失格とされて物議をかもした。翌年のアカデミー賞には、ナイジェリアはハウサ語の映画を出品した。
今年のアカデミー賞の開始時刻が前年より1時間も早くなったのは、コロナ禍で延期されて4月開催となりアメリカではサマータイムが始まっていたため。現地では開始時刻は前年通りである。ただし、2017年までのアカデミー賞と比べると現地時間でも30分早く始まっている。
話を戻すと、今年の授賞式で最後に発表となった主演男優賞はチャドウィック・ボーズマンではなくアンソニー・ホプキンスが受賞した。主演作『ファーザー』の日本公開は2021年5月14日(金)で、緊急事態宣言の期間延長を受けて休業中の映画館も地域によっては多いのだが、予定通りの日付で公開となった。
私は授賞式の数日前にチャドウィック・ボーズマン主演の『マ・レイニーのブラックボトム』を観て、ボーズマンの受賞はないなと思った。作品自体は悪くはないんだけれど “とても良かった” わけでもなく、そういう作品の中での演技にいまいちピンと来なかった。(誰から見ても分かりやすい “熱演” ならともかく、そうでない演技を演技経験のない者が評価するのは難しく、演技の善し悪しというのは分かりづらい)
下馬評などからチャドウィック・ボーズマンが本命視されていたが、予想をアンソニー・ホプキンスに変更した。ボーズマン以外の4名の主演男優賞候補のうち『ミナリ』のスティーヴン・ユァン以外の3人は見てなかったので、年齢的に最後のノミネートかもしれないという理由からで、予想というより希望だった。まさか的中するとは思わなかった。
チャドウィック・ボーズマン主演のNetflixの『マ・レイニーのブラックボトム』は、主演男優賞の他に主演女優賞・美術賞・衣装デザイン賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞の計5部門でノミネートされ、衣装デザイン賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞の2部門を受賞。主要部門は俳優賞のみのノミネートだった。
そもそも、作品賞にも監督賞にも脚色賞にもノミネートされてない映画で主演賞を受賞できるのだろうか。
たとえアカデミー賞級の演技をしても、それがラジー賞にノミネートされるような最低映画だったら、アカデミー会員は投票するだろうか。やはり、名作の中での演技だからこそ、アカデミー賞に絡んでくるのだと思う。
そこで、今世紀に入ってから授賞式が開催された第73回~第93回の21回のアカデミー賞の俳優賞の受賞者が出た映画が、アカデミー賞の作品賞・監督賞・脚本賞・脚色賞にノミネートされたか、受賞したか調べてみた。各年の受賞俳優は主演女優賞・主演男優賞・助演女優賞・助演男優賞の順に並べています。受賞を「◎」、ノミネート止まりを「△」、ノミネートもされなかったものは「×」としています。
開催年 (作品賞 ノミネート数) | 俳優 | 作品名 | 作品 賞 | 監督 賞 | 脚本・ 脚色賞 |
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2021年 第93回 (8本) | フランシス・マクドーマンド | 『ノマドランド』 | ◎ | ◎ | △ |
アンソニー・ホプキンス | 『ファーザー』 | △ | × | ◎ | |
ユン・ヨジョン | 『ミナリ』 | △ | △ | △ | |
ダニエル・カルーヤ | Judas and the Black Messiah | △ | × | △ | |
2020年 第92回 (9本) | レネー・ゼルウィガー | 『ジュディ 虹の彼方に』 | × | × | × |
ホアキン・フェニックス | 『ジョーカー』 | △ | △ | △ | |
ローラ・ダーン | 『マリッジ・ストーリー』 | △ | × | △ | |
ブラッド・ピット | 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 | △ | △ | △ | |
2019年 第91回 (8本) | オリヴィア・コールマン | 『女王陛下のお気に入り』 | △ | △ | △ |
ラミ・マレック | 『ボヘミアン・ラプソディ』 | △ | × | × | |
レジーナ・キング | 『ビール・ストリートの恋人たち』 | × | × | △ | |
マハーシャラ・アリ | 『グリーンブック』 | ◎ | × | ◎ | |
2018年 第90回 (9本) | フランシス・マクドーマンド | 『スリー・ビルボード』 | △ | × | △ |
ゲイリー・オールドマン | 『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』 | △ | × | × | |
アリソン・ジャネイ | 『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』 | × | × | × | |
サム・ロックウェル | 『スリー・ビルボード』 | △ | × | △ | |
2017年 第89回 (9本) | エマ・ストーン | 『ラ・ラ・ランド』 | △ | ◎ | △ |
ケイシー・アフレック | 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 | △ | △ | ◎ | |
ヴィオラ・デイヴィス | 『フェンス』 | △ | × | △ | |
マハーシャラ・アリ | 『ムーンライト』 | ◎ | △ | ◎ | |
2016年 第88回 (8本) | ブリー・ラーソン | 『ルーム』 | △ | △ | △ |
レオナルド・ディカプリオ | 『レヴェナント:蘇えりし者』 | △ | ◎ | × | |
アリシア・ヴィカンダー | 『リリーのすべて』 | × | × | × | |
マーク・ライランス | 『ブリッジ・オブ・スパイ』 | △ | × | △ | |
2015年 第87回 (8本) | ジュリアン・ムーア | 『アリスのままで』 | × | × | × |
エディ・レッドメイン | 『博士と彼女のセオリー』 | △ | × | △ | |
パトリシア・アークエット | 『6才のボクが、大人になるまで。』 | △ | △ | △ | |
J・K・シモンズ | 『セッション』 | △ | × | △ | |
2014年 第86回 (9本) | ケイト・ブランシェット | 『ブルージャスミン』 | × | × | △ |
マシュー・マコノヒー | 『ダラス・バイヤーズクラブ』 | △ | × | △ | |
ルピタ・ニョンゴ | 『それでも夜は明ける』 | ◎ | △ | ◎ | |
ジャレッド・レトー | 『ダラス・バイヤーズクラブ』 | △ | × | △ | |
2013年 第85回 (9本) | ジェニファー・ローレンス | 『世界にひとつのプレイブック』 | △ | △ | △ |
ダニエル・デイ=ルイス | 『リンカーン』 | △ | △ | △ | |
アン・ハサウェイ | 『レ・ミゼラブル』 | △ | × | × | |
クリストフ・ヴァルツ | 『ジャンゴ 繋がれざる者』 | △ | × | ◎ | |
2012年 第84回 (9本) | メリル・ストリープ | 『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』 | × | × | × |
ジャン・デュジャルダン | 『アーティスト』 | ◎ | ◎ | △ | |
オクタヴィア・スペンサー | 『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』 | △ | × | × | |
クリストファー・プラマー | 『人生はビギナーズ』 | × | × | × | |
2011年 第83回 (10本) | ナタリー・ポートマン | 『ブラック・スワン』 | △ | △ | × |
コリン・ファース | 『英国王のスピーチ』 | ◎ | ◎ | ◎ | |
メリッサ・レオ | 『ザ・ファイター』 | △ | △ | △ | |
クリスチャン・ベイル | 『ザ・ファイター』 | △ | △ | △ | |
2010年 第82回 (10本) | サンドラ・ブロック | 『しあわせの隠れ場所』 | △ | × | × |
ジェフ・ブリッジス | 『クレイジー・ハート』 | × | × | × | |
モニーク | 『プレシャス』 | △ | △ | ◎ | |
クリストフ・ヴァルツ | 『イングロリアス・バスターズ』 | △ | △ | △ | |
2009年 第81回 (5本) | ケイト・ウィンスレット | 『愛を読むひと』 | △ | △ | △ |
ショーン・ペン | 『ミルク』 | △ | △ | ◎ | |
ペネロペ・クルス | 『それでも恋するバルセロナ』 | × | × | × | |
ヒース・レジャー | 『ダークナイト』 | × | × | × | |
2008年 第80回 (5本) | マリオン・コティヤール | 『エディット・ピアフ ~愛の讃歌~』 | × | × | × |
ダニエル・デイ=ルイス | 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 | △ | △ | △ | |
ティルダ・スウィントン | 『フィクサー』 | △ | △ | △ | |
ハビエル・バルデム | 『ノーカントリー』 | ◎ | ◎ | ◎ | |
2007年 第79回 (5本) | ヘレン・ミレン | 『クィーン』 | △ | △ | △ |
フォレスト・ウィッテカー | 『ラストキング・オブ・スコットランド』 | × | × | × | |
ジェニファー・ハドソン | 『ドリームガールズ』 | × | × | × | |
アラン・アーキン | 『リトル・ミス・サンシャイン』 | △ | × | ◎ | |
2006年 第78回 (5本) | リース・ウィザースプーン | 『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』 | × | × | × |
フィリップ・シーモア・ホフマン | 『カポーティ』 | △ | △ | △ | |
レイチェル・ワイズ | 『ナイロビの蜂』 | × | × | △ | |
ジョージ・クルーニー | 『シリアナ』 | × | × | △ | |
2005年 第77回 (5本) | ヒラリー・スワンク | 『ミリオンダラー・ベイビー』 | ◎ | ◎ | △ |
ジェイミー・フォックス | 『Ray/レイ』 | △ | △ | × | |
ケイト・ブランシェット | 『アビエイター』 | △ | △ | △ | |
モーガン・フリーマン | 『ミリオンダラー・ベイビー』 | ◎ | ◎ | △ | |
2004年 第76回 (5本) | シャーリーズ・セロン | 『モンスター』 | × | × | × |
ショーン・ペン | 『ミスティック・リバー』 | △ | △ | △ | |
レネー・ゼルウィガー | 『コールド マウンテン』 | × | × | × | |
ティム・ロビンス | 『ミスティック・リバー』 | △ | △ | △ | |
2003年 第75回 (5本) | ニコール・キッドマン | 『めぐりあう時間たち』 | △ | △ | △ |
エイドリアン・ブロディ | 『戦場のピアニスト』 | △ | ◎ | ◎ | |
キャサリン・ゼタ・ジョーンズ | 『シカゴ』 | ◎ | △ | △ | |
クリス・クーパー | 『アダプテーション』 | × | × | △ | |
2002年 第74回 (5本) | ハリー・ベリー | 『チョコレート』 | × | × | △ |
デンゼル・ワシントン | 『トレーニング デイ』 | × | × | × | |
ジェニファー・コネリー | 『ビューティフル・マインド』 | ◎ | ◎ | ◎ | |
ジム・ブロードベント | 『アイリス』 | × | × | × | |
2001年 第73回 (5本) | ジュリア・ロバーツ | 『エリン・ブロコビッチ』 | △ | △ | △ |
ラッセル・クロウ | 『グラディエーター』 | ◎ | △ | △ | |
マーシャ・ゲイ・ハーデン | 『ポロック 2人だけのアトリエ』 | × | × | × | |
ベニチオ・デル・トロ | 『トラフィック』 | △ | ◎ | ◎ |
第73回~第93回の俳優賞受賞者のべ84名のうち、作品賞・監督賞・脚本賞・脚色賞のいずれにもノミネートされてない作品から俳優賞を受賞したのは18回あった(レネー・ゼルウィガーが2回受賞してるので計17名)。第82回から作品賞のノミネート作品数が倍増したのに、第82回~第93回の12回だけでも7回。意外と多かった。
- 第92回 - レネー・ゼルウィガー (『ジュディ 虹の彼方に』 主演)
- 第90回 - アリソン・ジャネイ (『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』 助演)
- 第88回 - アリシア・ヴィカンダー (『リリーのすべて』 助演)
- 第87回 - ジュリアン・ムーア (『アリスのままで』 主演)
- 第84回 - メリル・ストリープ (『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』 主演)
- 〃 - クリストファー・プラマー (『人生はビギナーズ』 助演)
- 第82回 - ジェフ・ブリッジス (『クレイジー・ハート』 主演)
- 第81回 - ペネロペ・クルス (『それでも恋するバルセロナ』 助演)
- 〃 - ヒース・レジャー (『ダークナイト』 助演)
- 第80回 - マリオン・コティヤール (『エディット・ピアフ ~愛の讃歌~』 主演)
- 第79回 - フォレスト・ウィッテカー (『ラストキング・オブ・スコットランド』 主演)
- 〃 - ジェニファー・ハドソン (『ドリームガールズ』 助演)
- 第78回 - リース・ウィザースプーン (『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』 主演)
- 第76回 - シャーリーズ・セロン (『モンスター』 主演)
- 〃 - レネー・ゼルウィガー (『コールド マウンテン』 助演)
- 第74回 - デンゼル・ワシントン (『トレーニング デイ』 主演)
- 〃 - ジム・ブロードベント (『アイリス』 助演)
- 第73回 - マーシャ・ゲイ・ハーデン (『ポロック 2人だけのアトリエ』 助演)
逆に、作品賞・監督賞そして脚本部門の賞の3つとも受賞した作品から俳優賞を受賞した者は、コリン・ファース(『英国王のスピーチ』主演)、ハビエル・バルデム(『ノーカントリー』助演)、ジェニファー・コネリー(『ビューティフル・マインド』助演)の3名のみ。思ってた以上に少ない。
第73回~第93回のアカデミー賞で俳優賞を複数回受賞してるのは、以下の7名。いずれも2度受賞。この中で、作品賞・監督賞・脚本賞・脚色賞のいずれにもノミネートされてない作品から俳優賞を受賞したのはレネー・ゼルウィガーのみ。
- フランシス・マクドーマンド (『ノマドランド』 主演、『スリー・ビルボード』 主演)
- レネー・ゼルウィガー (『ジュディ 虹の彼方に』 主演、『コールド マウンテン』 助演)
- マハーシャラ・アリ (『グリーンブック』 助演、『ムーンライト』 助演)
- ケイト・ブランシェット (『ブルージャスミン』 主演、『アビエイター』 助演)
- ダニエル・デイ=ルイス (『リンカーン』 主演、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 主演)
- クリストフ・ヴァルツ (『ジャンゴ 繋がれざる者』 助演、『イングロリアス・バスターズ』 助演)
- ショーン・ペン (『ミルク』 主演、『ミスティック・リバー』 主演)
先ほど、ラジー賞うんぬんと言ったが、今年は37年ぶりの珍事があった。
ラジー賞とは、ゴールデン・ラズベリー賞の愛称。アカデミー賞の授賞式の前日に “最低” の映画や演技を選んで表彰している。会費を払えば誰でも会員になれて投票できる。
今年のアカデミー賞授賞式の中継で話題をさらったグレン・クローズが、Netflixの『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』の演技でなんとアカデミー賞とラジー賞の両方で助演女優賞にノミネートされてたのだ。結果としてはどちらも受賞には至らず。
『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』は、アカデミー賞では助演女優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞の2部門、ラジー賞では監督賞・助演女優賞・脚本賞の3部門にノミネートされた。原作は2016年のノンフィクション本『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』。
同じ映画での演技でアカデミー賞とラジー賞の両方にノミネートされた俳優にはこれまで、『泣かないで』 Only When I Laugh (1981年) で助演男優賞のジェームズ・ココと、『愛のイエントル』 Yentl (1983年) で助演女優賞のエイミー・アーヴィングの2名がいるだけ。いずれも受賞は他の俳優だった。
本当に最低な映画は観てる人がほとんどいなかったりするので、結局は名前の知られた映画に票が集まりノミネートすることになるため、こういうこともまれに起きるのである。
参照: