マンションの屋上庭園の奥にある「縁切り神社」。そこを訪れる「生きづらさ」を抱えた人たちと、「わたし」の物語全5章。小学生の百音と国見統理はふたり暮らし。朝になると同じマンションに住む路有が遊びにきて、三人でご飯を食べる。百音と統理は血がつながっていない。その生活を“変わっている”という人もいるけれど、日々楽しく過ごしている。三人が住むマンションの屋上。そこの小さな御建神社は、統理が管理をしている。地元の人からは『屋上神社』とか『縁切りさん』と気安く呼ばれていて、断ち物の神さまが祀られている。悪癖、気鬱となる悪いご縁、すべてを断ち切ってくれるといい、“いろんなもの”が心に絡んでしまった人がやってくる。このマンションの住人はとても優しくあたたかいのだ。誰かが決めた「当たり前」や「正しさ」「世間体」に束縛されて生き辛くなってしまう世の中で、それらに縛られず、自分と折り合いをつけながら自分らしく生きていく。貴方はあなた、私はわたしで良いんだと思わせてくれる読後感は穏やかな気持ちでした。「フリーサイズの恋:相手に期待せず依存しない。不測の事態が起きても自分でなんとかする。相手の状況に振り回されない、どんなサイズも受け止めるフリーサイズのシャッにお互いになるという恋」(P61)
2019年12月ポルラ社刊
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