テーマ競作「死様」シリーズの1冊です。
主人公は独りで過ごす寂しさを感じながらも、月島診療所で懸命に働く43歳の看護師。
長年看護師をしてきた「私」は、人の背中に「命が終わる影」を見ることがある。
「私」は、二十七のときから十六年間この診療所で働いている。大学病院に勤めていたのがあまりに忙しく、結婚を考え始め、夜勤がなく規則的な勤務ができる職場を求めて転職したのだ。
七年前まで一緒に暮らしていた男がいたのだが、最初の一年でどうしようもない類の男であることは確信したが、その後惰性の数年間を過す。ある時、月島先生は、男に君はジガバチのような男だと言ったことがあり、その暫くの後に男と別れた。
先生は15年前に離婚して、一人で診療所を営んできたが70歳を過ぎて、ある日突然閉院すると言い出す。そして、予め告げられていた閉院の前に失踪した。唯一の居場所を失った私は、先生を捜す旅に出る。
「私」は先生を捜して、沖縄の離島でやっと再会できた。そこで初めて月島先生の本音を聞かされる。
「何も持たないまま、大切な物が何もないまま死んでいくのが怖い」という。
老医師の切ない人生・・・精一杯務めた医療職、その晩年の悔いとは。
「借財や背負うものが無くなると、稼ぐって気持ちがなくなるんだってことに気づかせてくれる 」
「気楽さというのが空虚に繋がっていくことをこの年齢になって初めて知ったよ」(P127)
『人は人に対して繕うのであって、自然の中では繕う必要がない』(P127)
死に様とは生き様のこと年老いて
誰かと生きていくということは楽しいかもしれないってことが伝わってくる。
2011年6月光文社刊
主人公は独りで過ごす寂しさを感じながらも、月島診療所で懸命に働く43歳の看護師。
長年看護師をしてきた「私」は、人の背中に「命が終わる影」を見ることがある。
「私」は、二十七のときから十六年間この診療所で働いている。大学病院に勤めていたのがあまりに忙しく、結婚を考え始め、夜勤がなく規則的な勤務ができる職場を求めて転職したのだ。
七年前まで一緒に暮らしていた男がいたのだが、最初の一年でどうしようもない類の男であることは確信したが、その後惰性の数年間を過す。ある時、月島先生は、男に君はジガバチのような男だと言ったことがあり、その暫くの後に男と別れた。
先生は15年前に離婚して、一人で診療所を営んできたが70歳を過ぎて、ある日突然閉院すると言い出す。そして、予め告げられていた閉院の前に失踪した。唯一の居場所を失った私は、先生を捜す旅に出る。
「私」は先生を捜して、沖縄の離島でやっと再会できた。そこで初めて月島先生の本音を聞かされる。
「何も持たないまま、大切な物が何もないまま死んでいくのが怖い」という。
老医師の切ない人生・・・精一杯務めた医療職、その晩年の悔いとは。
「借財や背負うものが無くなると、稼ぐって気持ちがなくなるんだってことに気づかせてくれる 」
「気楽さというのが空虚に繋がっていくことをこの年齢になって初めて知ったよ」(P127)
『人は人に対して繕うのであって、自然の中では繕う必要がない』(P127)
死に様とは生き様のこと年老いて
誰かと生きていくということは楽しいかもしれないってことが伝わってくる。
2011年6月光文社刊
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