12句の俳句をヒントに書かれた12の短編集。著者の洞察力と鑑賞力で俳句仲間の句からのインスピレーションで12の俳句から紡ぎだした作品。社会派からホラー、SFに至るまで、あらゆるジャンルの短編が秘められた玉手箱。短編だから落ちがないのや消化不良の物もあるが思いもしない展開でう~んと唸る作品ばかり。酷い母親やら、危険な男、のっぺらぼうの妖怪などちょっとミステリーホラーが多かった。冬になっても枯れない不気味なゴーヤの話は、赤い種を食べてしまいそうで、背筋が寒い気持ちで読みました。『枯れ向日葵呼んで振り向く奴がいる』『冬晴れの遠出の先の野辺送り』がよかった。俳句をもとに、こんなに想像力豊かに作品を貢ぐなんてさすがです。
2023年4月KADOKAWA刊
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