スポーツ新聞の現場を臨場感たっぷりに描いた連作短編。
部下に、「とりあえず、ニュースをだせ」と他社の知らないニュースを獲ってくることをひたすら求め続ける東西スポーツ野球部のデスク・鳥飼義伸。
「スポーツ新聞の三大要素は、『金』『出世』『女』だ!」と、その露骨で下品な言動と、なりふり構わぬ取材姿勢ゆえ、社内外でも敵の多い人物。
部下や同僚からは、「トリダシ」と影で忌み嫌われている。しかし強烈な個性で周囲を巻き込んで、数々のスクープをものにし
「影のGM」と噂されるほど優秀な記者なのだ。
この記者”トリダシ”とは、はたして何者なのか。彼を取り巻く部下・同期ライバルなどの周囲の人々の目を通して、徐々に真実の姿が明らかになる展開。
記者たちの人間関係やその情熱やプライドや魂が著者のスポーツ記者の経験に元ずく巧みな構成で思わず引き込まれる業界裏話でした。
2015年7月文藝春秋刊
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