読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

佐々木譲著「砂の街路図」

2015-12-31 | 佐々木譲
誰にも「知られたくない、でも忘れられない過去がある」家族のミステリー。
北海道の架空の町を舞台に、失踪した父の死の謎を追う物語。「運河町ホテル」「給水塔通り」など、
地名や建物などに象徴された謎を解きながら、「父の過去」に迫っていきます。
なぜ父は幼い自分を捨てて失踪し、死んでしまったのか?母の四十九日を終えた教師の岩崎俊也は、
両親が青春時代を過ごした北海道の運河町へと旅立つ。
20年前、父はこの運河町で溺死してしまった。遺品となった1枚の古いモノクロ写真には、家族に決して見せたことのない笑顔が写っていた。
事故の直前まで飲んでいた硝子町酒房の店主によれば、同じ法科大学漕艇部員だった彼の妻の密葬に参加するために滞在していたという。
さらに父の後輩からは、昭和44年に漕艇部内で起きたある事件を機に、陽気だった父の人柄が激変してしまったことを知る。
父は事件に関係していたのだろうか? 家族にさえ隠し続けていた苦悩とは?
「知らないほうがいいこともある」のか死の真相に近づくにつれ、胸の内に膨らむ想い。
果たして、父の過去を暴く権利が、ぼくにあるのだろうか
幽霊船と絡めた嘘よりも哀しい沈黙の真相が意外。
巻頭の地図を何度も見直したり照らし合わせたりとミステリーを堪能しました。2015年読み納め。
2015年8月 小学館刊

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