ならおうは穏やかに語る

Fly Fishingを中心に難しい話からヨタ話まで支離滅裂な雑文。
(09/08/23カウンターを付けました。)

可塑剤 plasticizer

2011-11-05 09:40:28 | Weblog
可塑剤は発泡スチロールを溶かします。
これ、電話ケーブルを長年発泡スチロールに入れておいた画像。

このようにケーブルに入っている可塑剤が発泡スチロールを溶かしてケーブルにこびりついています。

可塑剤plasticizer
フタル酸エステル、環境ホルモンと呼ばれて久しい物質。
ここでは環境ホルモンについて少しだけ述べる。
女性ホルモンに近い、ザクロの成分、イソフラボン(大豆)などの影響も考えておくこと。
これらの環境への影響が殆ど無いのは天然成分だからというのは嘘。天然成分だから環境に影響が出ないのであれば、これらを摂取しても人体に影響が出ないはずだ。ということで逆説的にフタル酸エステルの影響もよく考えろということ。

さて、この可塑剤とは一体何か。簡単に言うと高沸点溶剤である。
その前に可塑とは形を自由に変形できるということであり、水が混じった粘土なんかの状態だね。そういう特製を与える材料ということで可塑剤

水。これも溶剤であり、可塑剤だ。デンプンやタンパク質を溶かす事はよくご存知だ。
さて、デンプンも高分子と呼ばれる巨大分子である。水を吸うと柔らかくなる。
乾燥した餅に水を与えると徐々にふにゃふにゃになるし、撞きたての餅から水分が無くなるとカチコチになる。
これは水分が可塑剤として働いている。
少し難しい話になるが、水分が高分子間に滑剤の様な効果を発揮し、水分が無ければ高分子同士が直接くっついているから動けない(硬い)となる。という理解で良い。

電線ケーブルは塩化ビニル樹脂でできている。これは重量の半分程が塩素原子で、ハロゲンの塩素を分子内に持つ為極性が高く、様々な物質(色素等)と混じりやすく、塩素のお陰で燃えにくいという性質の使い勝手の良い樹脂だ(燃えにくいのは熱せられて分解した水素や炭素が酸素と結合せずに塩素と結合するからで、その時に結構熱を吸うためだ)。
そして、可塑剤となる高沸点溶剤(雰囲気的にはオイル)を混ぜるとその量が多いとゴム状になり、少ないと硬くなる。大量の可塑剤を入れるとプラスチックワームそのもの。プラスチックワームはワームオイルというものに浸してある。これが可塑剤。溶剤だからABSやポリカーボネート等を溶かす。(ポリオレフィンを使えば溶けない。ポリエチレン、ポリプロピレン、TPX(透明)など)

塩化ビニル樹脂の用途は幅広い。
電線だけではない、雨樋とか排水パイプ、テーブルクロス、カーテンと様々な分野に使われているが、これらの用途に応じた柔軟性の違いは可塑剤の添加量で調整している。

ま、そういう可塑剤が含まれているので保管は気をつけてくださいということだ。

この可塑剤に臭素をたくさん付加させると可塑剤であり、かつ難燃剤になるという一石二鳥の添加剤がある。
具体例は割愛するが、そのうち色々と樹脂嫌い、ハロゲン嫌いから攻撃される事は目に見えている。

あと、プラスチック爆弾というのは爆薬と可塑剤と樹脂を練り上げた油粘土みたいなものだ。別にその辺のプラスチック素材(樹脂)が爆発する訳ではない。
爆薬についてはここでは触れないでおこう。




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2 コメント

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内分泌撹乱化学物質 (ふりーすとん)
2011-11-08 20:15:45
バス釣りで使うプラスチックワームは
環境ホルモンの問題があるみたいですが
可塑剤に含まれるのでしょうか?
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プラスチックワーム (ならおう)
2011-11-08 23:31:26
ふりーすとんさん。

プラスチックワームはポリ塩化ビニルと顔料と可塑剤と香料の混合物です。「ワームオイル」が可塑剤と香料の混合物です。この可塑剤が環境ホルモンとされていました。
最近、可塑剤は環境ホルモンではないとされています。

環境ホルモンは色んな意味で複雑です。

1) 可塑剤に女性ホルモン作用があったという報告。
2) 環境ホルモンはU字効果という極微量で寄与するが、少量では寄与が減り、多量で大きく寄与するという独特の効果。

この二つから可塑剤は環境ホルモンであるとする考えが生じました。そしてなるべく摂取しない様に、環境に放散しないようにしましょうという考えをマスコミが大きく取り上げました。
しかし、下記URLが示す様に政府に寄る大掛かりな実験により可塑剤が環境ホルモンであるという考えは否定されています。http://www.kasozai.gr.jp/qa/answer.html#q7
この事実は殆ど報道されていません。

一方、大豆のイソフラボン(女性ホルモンとよく似た構造です)は可塑剤よりも寄与が大きいのですが、自然物質であるためか、マスコミはイソフラボンが環境ホルモンであると殆ど指摘していません。私はこれが大悪党を無視して小悪党を糾弾するマスコミ体質に由良するおかしな話と考えています。

なお、私は可塑剤が全く影響しないから放置していいという立場ではありません。可塑剤は脂質にとけ込む有機溶剤であること、分解されにくいから体内に蓄積されること、脂質は脂肪以外にも色々使われていることから、可塑剤を環境に放散しない様にする方が良いと言う立場です。
環境ホルモンという曖昧な言葉を可塑剤を環境に放散しない様にする理由にするのであれば、イソフラボンの影響にも言及すべきであるという立場です。
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