ならおうは穏やかに語る

Fly Fishingを中心に難しい話からヨタ話まで支離滅裂な雑文。
(09/08/23カウンターを付けました。)

ノッキングが何故怖いのか

2004-06-14 22:32:36 | クルマ
ノッキング。この時何が起こっているのか。それを知らないとオカルトグッズに手を出すことになる(笑)。
では、説明しましょう。

混合気は圧縮比が高いほど効率的に燃焼します。この理由は熱力学の説明になるので割愛しますが、こういうモノだと思ってください。
さて混合気を圧縮すると気体の温度は高くなります(断熱圧縮)。燃料の自己着火温度を超えると勝手に燃えます。これがディーゼルエンジンです。ガソリンエンジンは混合気圧縮時にそこまで圧縮しませんので、圧縮過程での自己着火はあまりありません。
特にNAの吸気時は負圧なので圧縮上死点でも高圧力にはなりません。ところがターボ等の過給系は圧縮上死点での圧力は気を付ける必要があります。通常リリーフバルブで異常高圧を避けるようにしていますので、上死点手前点火前燃焼(プレイグニッション)は先ず生じません。

次に上死点を超えた瞬間に点火します。この時点でも圧力はそれ程上がりませんが点火プラグを中心に燃焼が始まると共にピストン内部の圧力が急激に上昇します。燃焼ガスが未燃焼ガスを圧縮します。未燃焼ガスの圧力と温度が上がると自己着火します。この燃焼はほぼ「爆発」なのでピストンの下降速度を追い越す圧力変動が生じます。ピストンヘッドが未燃焼ガスに蹴られるわけですね。(ジェット機のアフターバーナーみたいなもの)
ここでハイオクでない、レギュラーだと限界を簡単に超えます。
この時ピストンヘッドにかかる爆発力にコンロッドが負けて折れたり、ピストンヘッドが高熱で溶融したりします。
この現象が生じる時にノッキング音がします。
通常は雨水未燃焼ガス(シリンダーやピストンヘッドで冷やされているので燃えにくい)が燃焼ガスとエンジン本体の緩衝体になっていますが、ノッキング時にはその緩衝体が無くなるわけです。

その音を検知したらエンジンのCPUは次の指令を出します。

・ガソリン供給量を増量しろ。
・点火タイミングを遅らせろ。

前者は気化熱で混合気の温度を下げます。当然燃費は大きく低下します(水噴射システムというのもありました)。
後者は燃焼ガスがピストンの降下速度に追い付かなくするものです。ピストンが下死点まで下がるとバルブが開くので燃焼ガスは排出されます。つまり燃焼効率を低下させていることになります。

始めに記載したプレイグニッションを生じるとピストンは上がろうとしているのに混合気が逆らうのでコンロッドが折れてしまいます。これは混合気の温度低下とハイオクで防ぐことが出来ます。

これでターボにハイオクが必要な理由が判ったと思います。NA高出力エンジンではレギュラー仕様も可能ですが、高回転型かどうか良く見ましょう。同じ排気量なら低回転から太いトルクを出すエンジンがハイオク仕様になるのは自然な流れです。高回転型にすれば細いトルクでも出力だけは増えます。

ここで、SOHCや生活DOHCの外車の方がトルクフルで扱いやすい事にも繋がります。日本車はカタログ出力を得るため高回転による高出力を選びました。高回転対応だから、吸気管や排気管の長さはその回転数に会わせた設計になります。そして効率よく吸排気するためDOHCを採用しました。結果ホンダに代表されるようにビンビン回るエンジンがもてはやされました。イタリア車もその傾向がありますが、かの国はアクセルを踏むお国柄です。それと小さなエンジンはビンビン回さないと必要なトルクも得られません。

ちなみに最近は吸排気管の長さやバルブ開閉タイミングをいじる
事で回転数に応じた最適化を行っています。


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