エンタプライズ出版部から『ウィズダム・イン・ザ・ボディ』に続いて、Charles Ridleyの"STILLNESS"の日本語版『スティルネス(仮)』を出すことになった(実際に刊行されるのは、少し先のことになるが)。『ウィズダム~』の時と同様、原著者とは一面識もないが、逆に言えば私は誰の弟子でもないので、誰に気兼ねすることもなく、自分がいいと思った本を訳して出版社に持ち込むことができるのである。
『ウィズダム~』の時は、勝手に翻訳原稿を作って、全く何のコネもないまま出版社にメールしたら、ちょうど社ではその本の版権を取得したばかりで、これから翻訳者を決めるところだった、という幸運な偶然──シンクロニシティ?──があって、すぐ出版が決まったわけだが、今度の『スティルネス』にも不思議な偶然の連鎖があった。
実は『ウィズダム~』の翻訳が終わった後、次に考えていたのは、同じクラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の分野ではあるが、別の本だった。Hugh Milneの"The Heart of Listening"──出版されたのは1995年で、少し古い本だが、マイケル・ケーンの『ウィズダム~』、フランクリン・シルズの『クラニオセイクラル・バイオダイナミクス』と並んで評価の高い本だったので、是非、自分で訳したいと思って、安く買えるサイトを探して注文した。ところが、待てど暮らせどモノが来ない(という話の顛末は、前にこのブログでも書いた)。そんな折、amazonから"STILLNESS"という本の新刊案内が届いたのである。
もちろん、出たばかりの本だったので、ネットで調べてもクラニオの専門書という以外、詳しい内容などは全くわからない。どうしようかと迷ったが、"STILLNESS"というタイトルと$19.95という価格から、「多分、クラニオの初心者レベルの入門書だろう」と考え、"The Heart of Listening"が届くまでにサラッと読んでおくか、というくらいの気持ちで注文した。だから、そもそも"The Heart of Listening"がもっと早くに届いていたら、恐らく"STILLNESS"を手にすることはなかったか、手にしたとしても2、3年後になっていたかもしれない。
で、"STILLNESS"は注文から2日後くらいには届いたのだが、中を見てちょっと愕然とした。治療法の解説書でありながら、イラストや写真の類が全く載っていないのである。そう、もう文字ばかり。そして、拾い読みしていくと、今まで自分が『ウィズダム~』や『クラニオセイクラル~』を通して学んできたクラニオのバイオダイナミック・アプローチがほとんど全否定されていたのだ。とにかく、中身は過激そのもの。しばらくショックを受けたものの、逆にこれは是非、訳したいと思い、さっそく翻訳を始めた。
『ウィズダム~』刊行後しばらくして、エンタプライズの担当者のM氏と会う機会があった。そこで、「今はこんな本を訳してるンですけど」と"STILLNESS"を見せてみたが、M氏の反応は──ある程度、予想していたことではあったが──良くなかった。「うーん、これは上級者向けの本じゃないですか? ウチとしてはクラニオ関係の本はシリーズ化していきたいと考えているので、いずれはこういう本も出していきたいとは思いますけど…それに、図が全然ないんじゃ、どうやって宣伝していいかわからないなぁ。」──「いずれは出していきたい」というのは、つまり「今はそのつもりがない」ということ。それでもM氏が(外交辞令かもしれないが)「でも、訳ができたら見せてください」と言って帰っていったので、翻訳は続行することにした。最悪、自分で訳したものを自分だけで使うことになるのか、と思いながら。
ちょうどその頃、“お金の専門家”本田健(言うまでもないが、「不思議研究所」の森田健とは別人)のセミナーがあり、そこで知り合った人からmixiに招待された。招待を受けたので一応、登録したが、正直言って最初は勝手がわからず、しばらくはそのまま放っておいたのだが、コミュニティというものがあって、そこで情報交換できるらしいとわかり、取りあえずクラニオのコミュに登録。そして、自己紹介の中で「今、"STILLNESS"という本を読んでいるのですが、これがなかなか過激な本で…」というようなことを書いたら、参加者の一人がプロフィールに書いた私の名前から、私が『ウィズダム~』を翻訳したことに気づき、また多くの参加者から「"STILLNESS"を日本語で読みたい」と声が上がって、ついにはコミュの中に「"STILLNESS"日本語版出版を望む会」というトピックが立ってしまった。
正直、こんなふうになるとは思ってもいなかったが、これを見て「もしかしたら行けるかもしれない」と感じ始めた。エンタプライズがダメでも、これだけ要望があるということを見せれば、引き受けてくれる出版社もあるだろう。
そして、一通り翻訳が終わった段階で、もう一度M氏と会うことになった。"STILLNESS"について再度打診すると、M氏から「先生はこの本を日本語化する意味があると判断されますか?」と問われた。あまり乗り気でないことは声の調子からもわかった。そこで、「イヤ、この件は今mixiで盛り上がっていて、実際にこれだけの要望が出ているんです」と実際にmixiのトピを見てもらったところ、「わかりました。そういうことなら、先方に版権が取れるかどうか聞いてみます」とM氏。そして、しばらくしてM氏からのメールで、版権が取れたことがわかった。
"The Heart of Listening"がもっと早くに届いていたら…、本田健のセミナーに出ていなかったら…、そして『ウィズダム~』を出していなければ…、今回の日本語版『スティルネス』もなかったかもしれない。そういう意味で、この『スティルネス』もまた、幸運な偶然の下に刊行されることになるのである。
『ウィズダム~』の時は、勝手に翻訳原稿を作って、全く何のコネもないまま出版社にメールしたら、ちょうど社ではその本の版権を取得したばかりで、これから翻訳者を決めるところだった、という幸運な偶然──シンクロニシティ?──があって、すぐ出版が決まったわけだが、今度の『スティルネス』にも不思議な偶然の連鎖があった。
実は『ウィズダム~』の翻訳が終わった後、次に考えていたのは、同じクラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の分野ではあるが、別の本だった。Hugh Milneの"The Heart of Listening"──出版されたのは1995年で、少し古い本だが、マイケル・ケーンの『ウィズダム~』、フランクリン・シルズの『クラニオセイクラル・バイオダイナミクス』と並んで評価の高い本だったので、是非、自分で訳したいと思って、安く買えるサイトを探して注文した。ところが、待てど暮らせどモノが来ない(という話の顛末は、前にこのブログでも書いた)。そんな折、amazonから"STILLNESS"という本の新刊案内が届いたのである。
もちろん、出たばかりの本だったので、ネットで調べてもクラニオの専門書という以外、詳しい内容などは全くわからない。どうしようかと迷ったが、"STILLNESS"というタイトルと$19.95という価格から、「多分、クラニオの初心者レベルの入門書だろう」と考え、"The Heart of Listening"が届くまでにサラッと読んでおくか、というくらいの気持ちで注文した。だから、そもそも"The Heart of Listening"がもっと早くに届いていたら、恐らく"STILLNESS"を手にすることはなかったか、手にしたとしても2、3年後になっていたかもしれない。
で、"STILLNESS"は注文から2日後くらいには届いたのだが、中を見てちょっと愕然とした。治療法の解説書でありながら、イラストや写真の類が全く載っていないのである。そう、もう文字ばかり。そして、拾い読みしていくと、今まで自分が『ウィズダム~』や『クラニオセイクラル~』を通して学んできたクラニオのバイオダイナミック・アプローチがほとんど全否定されていたのだ。とにかく、中身は過激そのもの。しばらくショックを受けたものの、逆にこれは是非、訳したいと思い、さっそく翻訳を始めた。
『ウィズダム~』刊行後しばらくして、エンタプライズの担当者のM氏と会う機会があった。そこで、「今はこんな本を訳してるンですけど」と"STILLNESS"を見せてみたが、M氏の反応は──ある程度、予想していたことではあったが──良くなかった。「うーん、これは上級者向けの本じゃないですか? ウチとしてはクラニオ関係の本はシリーズ化していきたいと考えているので、いずれはこういう本も出していきたいとは思いますけど…それに、図が全然ないんじゃ、どうやって宣伝していいかわからないなぁ。」──「いずれは出していきたい」というのは、つまり「今はそのつもりがない」ということ。それでもM氏が(外交辞令かもしれないが)「でも、訳ができたら見せてください」と言って帰っていったので、翻訳は続行することにした。最悪、自分で訳したものを自分だけで使うことになるのか、と思いながら。
ちょうどその頃、“お金の専門家”本田健(言うまでもないが、「不思議研究所」の森田健とは別人)のセミナーがあり、そこで知り合った人からmixiに招待された。招待を受けたので一応、登録したが、正直言って最初は勝手がわからず、しばらくはそのまま放っておいたのだが、コミュニティというものがあって、そこで情報交換できるらしいとわかり、取りあえずクラニオのコミュに登録。そして、自己紹介の中で「今、"STILLNESS"という本を読んでいるのですが、これがなかなか過激な本で…」というようなことを書いたら、参加者の一人がプロフィールに書いた私の名前から、私が『ウィズダム~』を翻訳したことに気づき、また多くの参加者から「"STILLNESS"を日本語で読みたい」と声が上がって、ついにはコミュの中に「"STILLNESS"日本語版出版を望む会」というトピックが立ってしまった。
正直、こんなふうになるとは思ってもいなかったが、これを見て「もしかしたら行けるかもしれない」と感じ始めた。エンタプライズがダメでも、これだけ要望があるということを見せれば、引き受けてくれる出版社もあるだろう。
そして、一通り翻訳が終わった段階で、もう一度M氏と会うことになった。"STILLNESS"について再度打診すると、M氏から「先生はこの本を日本語化する意味があると判断されますか?」と問われた。あまり乗り気でないことは声の調子からもわかった。そこで、「イヤ、この件は今mixiで盛り上がっていて、実際にこれだけの要望が出ているんです」と実際にmixiのトピを見てもらったところ、「わかりました。そういうことなら、先方に版権が取れるかどうか聞いてみます」とM氏。そして、しばらくしてM氏からのメールで、版権が取れたことがわかった。
"The Heart of Listening"がもっと早くに届いていたら…、本田健のセミナーに出ていなかったら…、そして『ウィズダム~』を出していなければ…、今回の日本語版『スティルネス』もなかったかもしれない。そういう意味で、この『スティルネス』もまた、幸運な偶然の下に刊行されることになるのである。
これは、この本に対する思い入れがいっそう深くなりました。ありがとうございます!!
本文にも書いたように、mixiの件をお話しするまで、担当の方の様子は、あまり乗り気でないように感じました。単に、「訳しました、出してください」では、「今はちょっと…」と言われていたかもしれません。
皆さんには感謝!です。