2/1、墨田区の鍼灸接骨院で、院長ら2人が警視庁に逮捕された。新聞などの報道によると、逮捕理由は、院長らは、はり、きゅう、マッサージ、柔道整復の資格は持っていたが、医師免許がないにもかかわらず、瀉血(しゃけつ=血を抜く行為)や超音波検査、診断書の作成などの「医療行為」を行っていたという、「医師法違反」容疑。
蛇足ながら付け加えると、法律的には、私たちのような代替療法、補完医療を行う者に許されているのは、医療行為としての「治療」ではなく、体に対する働きかけを行う「施術」のみ。それは、はり、きゅう、マッサージ、柔道整復などの国家資格を持っている、いわゆる有資格者でも同じ。日本では「治療」を行えるのは、医師免許(あるいは歯科医師免許)を持つ人に限られているのだ。
ただ「施術」って、言いづらいし迫力に欠ける気がして、私も普段から「治療」という言い方をしている。まぁウチは名前も「蒼穹堂治療室」だしね。ちなみに、これで保健所の審査は通ってます。
それから、マスコミ報道では、瀉血をしていたことが大々的に報じられているが、逮捕された権田院長は、「瀉血ではなく、刺絡(しらく)だ」と語っているらしい。刺絡とは、鍼を打って悪い血を外に出させることで治療する、伝統的な鍼治療の技法の一つ。実のところ、刺絡と瀉血はどう違うのかというのは、ずいぶん前から議論されてきている。刺絡=瀉血となってしまうと、鍼師は刺絡ができなくなってしまうので、刺絡とは鍼を打った時「たまたま」出血したもの、という”政治決着”が図られている、と鍼灸学校時代に聞いた。鍼を打つのだから「たまたま」出血したとしても、それは不可抗力であるし、「たまたま」出血しただけだがら医療行為には当たらない、というものだ。
今度の逮捕について、鍼灸のサイトの掲示板などには、「刺絡をしてはいけないのか」とか「いや、逮捕されたのは鍼灸接骨院だから、保険でそこまでやってたのがマズかったんだ」などの書き込みが見られるが、私は違うと思う。私は血を見るのが嫌いなので刺絡をすることはないが、逮捕された権田院長程度の刺絡をやっているところは、かなりの数あるはず。権田院長の治療院は来院者が1日50~120人、これまで3000人の患者を集める繁盛振りだったということなので、一罰百戒を狙ったとも見えるが、実は、問題になったのは、刺絡(あるいは瀉血)をしていたことよりも、「診断」行為を行っていたことなのではないか。
朝日新聞によると、権田院長は患者の主婦に「心不全です」などと嘘の診断をしていたという。それが本当に”嘘”だったのか、正確にはどのように言われたのか、はわからないが、多分、そんな患者の誰かが病院で「実は、通っている治療院で、心不全だと診断された」というようなことを医師に話したのだろう。そして、それを聞いた医師が医師会に連絡、医師会をから、「権田治療院では、医師の資格もないのに診断行為を行っている」と警察に通報があり、調べてみたら刺絡もやっているということで「全部まとめて医師法違反」と、今回の逮捕劇になったのではないか、と私は見ている。
報道されていないのでわからないが、問題の治療院は鍼灸接骨院ということで、保険で診療をしていた可能性が高い。とすれば、患者が病院とモロに競合する。そんなことも、今回の逮捕と無関係ではないかもしれない(医師会が強硬に警察の尻を叩いた、ということも十分あり得る)。今後は、医師法違反容疑だけでなく、療養費を不正請求していなかったかについても、徹底的に追及されることになるだろう(もちろん、そちらでは何も出てこないかもしれないが)。
さて、我々治療家にとって今回の事件の教訓は…と考えると、やはり「診断は、しちゃダメよ」ということに尽きるのではないか。明確な「診断行為」はもちろん「診断したと疑われるようなこと」も。診療報酬引き下げで、病院もこのテの話には今まで以上に厳しくなるかもしれないから。
ということで一件落着…カナ?
蛇足ながら付け加えると、法律的には、私たちのような代替療法、補完医療を行う者に許されているのは、医療行為としての「治療」ではなく、体に対する働きかけを行う「施術」のみ。それは、はり、きゅう、マッサージ、柔道整復などの国家資格を持っている、いわゆる有資格者でも同じ。日本では「治療」を行えるのは、医師免許(あるいは歯科医師免許)を持つ人に限られているのだ。
ただ「施術」って、言いづらいし迫力に欠ける気がして、私も普段から「治療」という言い方をしている。まぁウチは名前も「蒼穹堂治療室」だしね。ちなみに、これで保健所の審査は通ってます。
それから、マスコミ報道では、瀉血をしていたことが大々的に報じられているが、逮捕された権田院長は、「瀉血ではなく、刺絡(しらく)だ」と語っているらしい。刺絡とは、鍼を打って悪い血を外に出させることで治療する、伝統的な鍼治療の技法の一つ。実のところ、刺絡と瀉血はどう違うのかというのは、ずいぶん前から議論されてきている。刺絡=瀉血となってしまうと、鍼師は刺絡ができなくなってしまうので、刺絡とは鍼を打った時「たまたま」出血したもの、という”政治決着”が図られている、と鍼灸学校時代に聞いた。鍼を打つのだから「たまたま」出血したとしても、それは不可抗力であるし、「たまたま」出血しただけだがら医療行為には当たらない、というものだ。
今度の逮捕について、鍼灸のサイトの掲示板などには、「刺絡をしてはいけないのか」とか「いや、逮捕されたのは鍼灸接骨院だから、保険でそこまでやってたのがマズかったんだ」などの書き込みが見られるが、私は違うと思う。私は血を見るのが嫌いなので刺絡をすることはないが、逮捕された権田院長程度の刺絡をやっているところは、かなりの数あるはず。権田院長の治療院は来院者が1日50~120人、これまで3000人の患者を集める繁盛振りだったということなので、一罰百戒を狙ったとも見えるが、実は、問題になったのは、刺絡(あるいは瀉血)をしていたことよりも、「診断」行為を行っていたことなのではないか。
朝日新聞によると、権田院長は患者の主婦に「心不全です」などと嘘の診断をしていたという。それが本当に”嘘”だったのか、正確にはどのように言われたのか、はわからないが、多分、そんな患者の誰かが病院で「実は、通っている治療院で、心不全だと診断された」というようなことを医師に話したのだろう。そして、それを聞いた医師が医師会に連絡、医師会をから、「権田治療院では、医師の資格もないのに診断行為を行っている」と警察に通報があり、調べてみたら刺絡もやっているということで「全部まとめて医師法違反」と、今回の逮捕劇になったのではないか、と私は見ている。
報道されていないのでわからないが、問題の治療院は鍼灸接骨院ということで、保険で診療をしていた可能性が高い。とすれば、患者が病院とモロに競合する。そんなことも、今回の逮捕と無関係ではないかもしれない(医師会が強硬に警察の尻を叩いた、ということも十分あり得る)。今後は、医師法違反容疑だけでなく、療養費を不正請求していなかったかについても、徹底的に追及されることになるだろう(もちろん、そちらでは何も出てこないかもしれないが)。
さて、我々治療家にとって今回の事件の教訓は…と考えると、やはり「診断は、しちゃダメよ」ということに尽きるのではないか。明確な「診断行為」はもちろん「診断したと疑われるようなこと」も。診療報酬引き下げで、病院もこのテの話には今まで以上に厳しくなるかもしれないから。
ということで一件落着…カナ?
ずいぶん昔の記事をお読みいただき、またコメントいただき、ありがとうございます。
我々のような治療家、セラピストというのは、日本の医療システムの中ではグレーな領域にいる存在で、だから何らかの形で正規の(と考えられている)医療の領分を犯すと、大きなしっぺ返しを受けることになります。権田先生の件も、そうしたことの1つだろうと思います。
医者は全ての人を救えるわけではありません。
私たち親子は救われた方の人間です。
ちょうど、権田先生が逮捕された時、通院していました。通勤途中に娘から電話が入り、青天の霹靂でした。
腰の激痛に日常生活も儘ならない私を、普通の生活が送れるようにしてくださった先生。そして、何件医者にかかっても原因の分からない娘を、発熱と痛みから救って下さいました。お陰様で高校受験に間に合い、今は大学も卒業できました。
研究熱心さが行きすぎてしまったのが、本当に残念です。
今、どこで何をしていらっしゃるのだろうと、時々思い出します。
>肺のカビが無くなるかと聞いてもらいましたが、治るとしか回答がありませんでした。
ZZさんのコメントを見るまでアスベルギローマという疾患のことを知らなかったのでネットで調べてみましたが、一介の治療家が簡単に「治る」などと言えるものでないことは明らかです。
治療家にできることがあるとすれば、体のエネルギー・レベルを上げたり免疫を活性化させることで状態がこれ以上悪化するのを防ぐ、といった側面支援的なことでしょう。
権田先生の答の真意は私には分かりませんが、以前どこかで見た偉人の言葉とされるものに(うろ覚えですが)
「何かをできるかと聞かれたら、まずYesと答えろ。どうやるかはその後考えればよい」
というのがあり、もしかしたら、そうしたものだったのかもしれません。
ZZです。ご丁寧に返信頂きまして、誠に有難うございます。私は、肺にカビの塊が出来るアスベルギローマという時病があり、一般では外科手術でカビを取らない限り完治はしません。癌で亡くなった友人が権田治療院に通ってた時に聞いてもらいました。肺のカビが無くなるかと聞いてもらいましたが、治るとしか回答がありませんでした。
再度、治るとはカビのアレルギー症状が軽減するのか、カビがきえるのかを、聞いてもらいましたが、回答は治るだけでした。明らかにおかしいです。
コメント頂き、ありがとうございます。
私は権田先生という方を知りませんが、この時の新聞記事やZZさんのコメントなどから察するに、それなりに志は高いものの自分の力を過信するところがあって、やや独善的で強引な人なのかもしれないと思いました。
ただ人は案外、「俺こそが正しい」、「俺の言うとおりにしていれば間違いない」という言葉の強さに、コロッといってしまうものなのです(実際、改めて「権田治療院」で検索してみると、権田先生の治療に心酔していた人のブログ記事もありました)。
段々、症状が悪くなっても、今は悪いものが出ている時期などと言って、結果、他の化学療法にかかった時は手遅れでした。詐欺というより人殺しです。こんな奴が未だに治療院を続けてられるのは、おかしいのではないでしょうか。