『Robotics;Notes』(RN)を視た流れで、ずっと視たいと思っていた2012年放送のアニメ『Steins;Gate』(一般にはシュタゲと略されるが、ここではSGと略す)を視た。
全24話のうち、前半の12話は「電波な」人たちが演じるドタバタ喜劇のような話が続くが、そこまでが実は全て伏線となって、後半の怒濤のような展開へとなだれ込んでいく。凄い! 名作という評価はダテじゃない。
では、ここからはOP『Hacking to the Gate』とともに。
物語は大学生、岡部倫太郎(オカリン)が幼なじみの椎名まゆり(マユシィ)を連れて、秋葉原ラジオ会館(ラジ館)に中鉢博士のタイムマシン開発についての会見を聴きに行った日から始まる。
いつも白衣で、突然ケータイを取り出しては「俺だ。我々は今、機関の妨害に遭っている!」などと言い出す(ちなみにその時、ケータイはどこにもつながっていない)、狂気のマッド・サイエンティスト鳳凰院凶真(きょうま)を自称するオカリンは、会見中に中鉢博士の話にイチャモンをつけ、1人の女性に会場からつまみ出される。それが18歳で論文が学術誌に掲載された天才物理学者、牧瀬紅莉栖(クリス。オカリンはクリスティーナと呼ぶが、本人はそう呼ばれると怒る)との出会いだった。
だが、そのあと、オカリンはラジ館の中で血まみれになって倒れているクリスを発見して外に飛び出し、同じ大学の同級生でスーパー・ハッカー(?)の橋田至(ダル)にそれをメールで知らせるが、その直後に異様な感覚に襲われる。そしてラジ館に戻ると、屋上に人工衛星のような物体が突っ込んで中に入れなくなっていて、そのために中鉢博士の会見も始まる前に中止されたことになっていた。そして、クリスもまた全くの無傷で生きていた。
──というのが、第1話「始まりと終わりのプロローグ」で、この第1話が最終話「終わりと始まりのプロローグ」へとつながっていく。
ここまででもう推測がつくと思うが、SGはタイム・リープ(時間跳躍)の物語である。
オカリンたちが秋葉原のテレビ修理屋の2階に立ち上げた「未来ガジェット研究所」(ちなみに、この時点ではラボメンはオカリン、マユシィ、ダルの3人だけ)は、日夜怪しげなものを開発しているが、その1つが偶然にも過去に戻る機能を持ったタイム・リープ・マシンになっていたのだ。
ところで、タイム・マシンやタイム・リープの話にはタイム・パラドックスがついてまわるが、その問題に対してSGでは(恐らく量子論の多世界解釈に基づくと思われる)世界線という概念によってパラドックスを回避する。
世界線とは、ある1本の時間の流れ──タイムラインのこと。その世界線で過去に対して何らかの干渉が行われると、元の世界線から別の世界線が分岐し、そちらの世界線へと移ることで全ての矛盾は消える、というものだ。
偶然できてしまったタイム・リープ・マシンを使って、ノー天気にお遊びの実験を繰り返していたオカリンたちに、突如ある悲劇的な出来事が降りかかる。そこで彼らは、過去を変えるべく何度もタイム・リープを繰り返すのだが、その悲劇を回避することができない。
1つの世界線は、途中で分岐が起こったとしても全体として起こるべき出来事はほぼ同じ。だから、ある出来事そのものを回避するには世界線そのものを移動しなければならない。そして、α世界線からβ世界線へ世界線を移動するためには、2つの世界線の事象の差の比率(=ダイバ-ジェンス)が1%を越えなければならないのだ。
だが、誰かにとって都合の悪い出来事の起こった世界をなかったことにするということは、別の誰かが望んだ世界をなかったことにすることでもある。だからタイム・リープの物語は、いつも滑稽で、切なくて、そして悲しい。
周囲の者たちが望み、夢見た世界を1つひとつ消し去りながら、それでも彼にとっての悲劇を回避するために、ダイバージェンス1%の壁を越えようと抗うオカリン。その彼の行き着く先にあるものとは?
ちなみに、SGでは全24話のうち最後の2話にだけ、OPに『Hacking to the Gate』の1番ではなく2番が使われる。その2話を含むラスト3話は視ていて泣いてしまった──。
さあ、アトラクタ・フィールドの干渉を受けない唯一の世界線、シュタインズ・ゲートを目指せ!
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ここ四日間で「シュタゲ」見終わりました。
ほんっとに涙なくしては観れませんね!この作品の大ファンになりました。
良作を紹介してくれる高澤先生に大感謝です
「シュタゲ」見ましたか!
前半のドタバタ・コントみたいな話が、後半の伏線になっていたり、オカリンの「俺は狂気のマッドサイエンティスト、…」など中二病全開のゼリフが、実はマユシィへのやさしさの表れだったりと、なかなか魅せるアニメだったでしょ。
私は続編「負荷領域のデジャヴ」を、この間、映画館まで観に行っちゃいましたよ。
あの前半のヲタ度全開コメディをちゃんとストーリーと乖離させず落とし込んでる凄さ。
見終わった後はあのヲタトークがもう愛おしくてしょうがなくなってる自分がいます(笑
映画版、実は僕も昨日観に行っちゃいました!
ネットの評判は賛否両論のようですが、僕にはファンサービス的な面白さが心地よく、本編の「ファーストキスではない」の伏線回収がグッとくる非常に良い出来だと感じました。
fate/zero、電脳コイルといい、今回も最高!
これからも狂気のマッドサイエンティストである高澤先生の研究とレビューが楽しみでなりません!
何と、映画も観たんですね!
劇場版はネットで評判を見て、行こうか行くまいか迷ったんですが、個人的には行って正解でした。「時間が短すぎ。あれだったら前後編に分けるべき」との批評もありましたが、むしろダレなくて、よかったんじゃないか、と。
あとは劇場版で期待してるのは『風立ちぬ』──じゃなくて、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』です。ただの総集編になっていなければいいんですが。
http://www.youtube.com/watch?v=yt79aOcVgqU