「これで1.5万円?」と驚くクオリティ、抑揚感のある表現力が魅力──DONY AUDIO「DN-68651」
野村ケンジのぶらんにゅ~PCオーディオ Review:
上海問屋が「より高品位志向のオーディオ製品を」として展開するDONY AUDIOブランド。USB DAC機能付きの本格派真空管ヘッドフォンアンプ「DN-68351」に続く第2弾として、パッシブスピーカー2モデル「DN-68651」と「DN-68652」が発売された。
上記の2モデルはボディサイズが少し異なり、さらにスピーカー入力端子もDN-68651が1系統、DN-68652がバイワイヤ対応の2系統となる違いがある。実製品で見比べるとウーファーユニットが異なるほか、背面バスレフポートの口径も違うようで、それぞれのボディサイズに合わせて何かしらの調整が行われている部分も見うけられる。外観の印象はほぼ同じだが、両者は結構異なるキャラクターを有している可能性が高い。
今回はこのうち入力1系統仕様の「DN-68651」を試聴する。
表:音質評価一覧(http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1204/10/news059.html)
DN-68651は、いわゆるブックシェルフサイズの(アンプ非搭載)パッシブスピーカーである。ボディサイズは175(幅)×255(高さ)×210(奥行き)ミリと、よくあるPC用外付けスピーカー機器と比べればやや大きいものとなる。とはいえ、小型傾向のブックシェルフサイズということで、棚や机上、ノートPCの左右にも違和感なく置きやすいサイズ感ではある。
その外観は、角を大きめのアールで処理していたり、光沢ホワイトのカラーリングなど、かなり質感高い仕上げがなされている。好みは人それぞれだが、インテリアとしてもなかなかだと思う。
搭載ユニットは、シルク素材と思われる28ミリ口径のソフトドームツイーター、そして13センチ径のウーファーが組み合わされている。いわゆる2ウェイモデルだ。このうちウーファーは、センター部分に金属製のフェーズガイドが付属しているほか、資料によるとペーパーコーンを採用しているようだ。なお、どちらのユニットも前面から1段奥まったところに取り付けられており、その段差がデザインアクセントの1つになっている。スタイル的には、スピーカーカバーを付けたままにするか、あえて外すかで迷うところだ。
スピーカーカバーはツイーター用とウーファー用それぞれ独立して用意され、小型磁石で装着する。取り付けは比較的しっかりしており、ちょっと触れたくらいでは外れない感じだ。
スピーカーケーブル端子は、バナナプラグ対応の大型ターミナルを採用する。なぜか一般的なスピーカー端子と+/-が逆のレイアウトになっている(ターミナル部を普通のものとは上下逆に取り付けているイメージだ)が、比較的太めのスピーカーケーブルでも接続できる程度の間隔は開けられている。
音のバランス+コストパフォーマンスが良好、素直な表現とダイレクト感の高い演奏が楽しめる
では試聴しよう。
音色傾向としては、モニター系に近いイメージだ。表現が素直で脚色がほとんどなく、そのぶんダイレクト感の高い演奏を楽しませてくれる。とはいえ、本格モニタースピーカーのような高域側の痛々しさはない。ヴォーカルやギターなどのメイン楽器は解像度感こそ必要十分なレベルにとどまるが、抑揚感の高い表現をもち、しかも普段より1歩前にせり出したかのような、かなりキャラクターの立った歌声・演奏を聴かせてくれる。
ベースとドラムは、あくまでも伴奏という役割に徹している印象。ウーファーユニットのサイズのわりには芯のある低音がボトムライン近くまで伸びているが、ボリューム感をバスレフで補っているためにその主張は弱めだ。しかし、これはこれで聴かせどころをわきまえている。ほどよく良好なバランスで、心地よく楽しめる。
一方、高域の質感は若干気になった。本機が想定するニアフィールド、いわゆる一般ルームでの利用より距離が近いPCオーディオ/机上スタイルだと、声がわずかにかすれ気味になる傾向がある。この傾向はスピーカーから1メートル以上離れれば消え、本来のストレートで力強い表現になる。
というわけで、本機はある程度離れた位置に置くほうが良好そうである。実際、10畳ほどの部屋でも十分フォローできるサウンドボリュームとクオリティは確保するので、デスクトップだけでなく、ルームオーディオ用として……いや、やはりルームオーディオ用とするほうが本来の姿なのかもしれない。
本機はペアで1万4999円である。これは、試聴し終えて“そういえばこんなに安価なのか”と気がついたほどで、実感としてはそれ以上の価格帯のペアスピーカーで聴いていると錯覚していた。このコストパフォーマンスはかなり高いと評価できる。USB DACなどとともにPC+高品位オーディオをはじめたい人はもちろん、ちょっとしゃれた雰囲気のプライベートルーム向けサブシステムを考えている人にも有力な候補になる、低価格ながらも本気度の高いスピーカーだ。
●試聴曲
・Marcus Miller「Jean Pierre/FREE」
・小曽根真「ドゥムカ(あるべきもなく)/Road to Chopin」
・上原ひろみ「voice/voice」
・Raul Midon「Moment To Moment/SYNTHESIS」
・santana「Whole Lotta Love/Guitar Heaven: The Greatest Guitar Classics of All Time」
[ 野村ケンジ,ITmedia]
野村ケンジのぶらんにゅ~PCオーディオ Review:
上海問屋が「より高品位志向のオーディオ製品を」として展開するDONY AUDIOブランド。USB DAC機能付きの本格派真空管ヘッドフォンアンプ「DN-68351」に続く第2弾として、パッシブスピーカー2モデル「DN-68651」と「DN-68652」が発売された。
上記の2モデルはボディサイズが少し異なり、さらにスピーカー入力端子もDN-68651が1系統、DN-68652がバイワイヤ対応の2系統となる違いがある。実製品で見比べるとウーファーユニットが異なるほか、背面バスレフポートの口径も違うようで、それぞれのボディサイズに合わせて何かしらの調整が行われている部分も見うけられる。外観の印象はほぼ同じだが、両者は結構異なるキャラクターを有している可能性が高い。
今回はこのうち入力1系統仕様の「DN-68651」を試聴する。
表:音質評価一覧(http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1204/10/news059.html)
DN-68651は、いわゆるブックシェルフサイズの(アンプ非搭載)パッシブスピーカーである。ボディサイズは175(幅)×255(高さ)×210(奥行き)ミリと、よくあるPC用外付けスピーカー機器と比べればやや大きいものとなる。とはいえ、小型傾向のブックシェルフサイズということで、棚や机上、ノートPCの左右にも違和感なく置きやすいサイズ感ではある。
その外観は、角を大きめのアールで処理していたり、光沢ホワイトのカラーリングなど、かなり質感高い仕上げがなされている。好みは人それぞれだが、インテリアとしてもなかなかだと思う。
搭載ユニットは、シルク素材と思われる28ミリ口径のソフトドームツイーター、そして13センチ径のウーファーが組み合わされている。いわゆる2ウェイモデルだ。このうちウーファーは、センター部分に金属製のフェーズガイドが付属しているほか、資料によるとペーパーコーンを採用しているようだ。なお、どちらのユニットも前面から1段奥まったところに取り付けられており、その段差がデザインアクセントの1つになっている。スタイル的には、スピーカーカバーを付けたままにするか、あえて外すかで迷うところだ。
スピーカーカバーはツイーター用とウーファー用それぞれ独立して用意され、小型磁石で装着する。取り付けは比較的しっかりしており、ちょっと触れたくらいでは外れない感じだ。
スピーカーケーブル端子は、バナナプラグ対応の大型ターミナルを採用する。なぜか一般的なスピーカー端子と+/-が逆のレイアウトになっている(ターミナル部を普通のものとは上下逆に取り付けているイメージだ)が、比較的太めのスピーカーケーブルでも接続できる程度の間隔は開けられている。
音のバランス+コストパフォーマンスが良好、素直な表現とダイレクト感の高い演奏が楽しめる
では試聴しよう。
音色傾向としては、モニター系に近いイメージだ。表現が素直で脚色がほとんどなく、そのぶんダイレクト感の高い演奏を楽しませてくれる。とはいえ、本格モニタースピーカーのような高域側の痛々しさはない。ヴォーカルやギターなどのメイン楽器は解像度感こそ必要十分なレベルにとどまるが、抑揚感の高い表現をもち、しかも普段より1歩前にせり出したかのような、かなりキャラクターの立った歌声・演奏を聴かせてくれる。
ベースとドラムは、あくまでも伴奏という役割に徹している印象。ウーファーユニットのサイズのわりには芯のある低音がボトムライン近くまで伸びているが、ボリューム感をバスレフで補っているためにその主張は弱めだ。しかし、これはこれで聴かせどころをわきまえている。ほどよく良好なバランスで、心地よく楽しめる。
一方、高域の質感は若干気になった。本機が想定するニアフィールド、いわゆる一般ルームでの利用より距離が近いPCオーディオ/机上スタイルだと、声がわずかにかすれ気味になる傾向がある。この傾向はスピーカーから1メートル以上離れれば消え、本来のストレートで力強い表現になる。
というわけで、本機はある程度離れた位置に置くほうが良好そうである。実際、10畳ほどの部屋でも十分フォローできるサウンドボリュームとクオリティは確保するので、デスクトップだけでなく、ルームオーディオ用として……いや、やはりルームオーディオ用とするほうが本来の姿なのかもしれない。
本機はペアで1万4999円である。これは、試聴し終えて“そういえばこんなに安価なのか”と気がついたほどで、実感としてはそれ以上の価格帯のペアスピーカーで聴いていると錯覚していた。このコストパフォーマンスはかなり高いと評価できる。USB DACなどとともにPC+高品位オーディオをはじめたい人はもちろん、ちょっとしゃれた雰囲気のプライベートルーム向けサブシステムを考えている人にも有力な候補になる、低価格ながらも本気度の高いスピーカーだ。
●試聴曲
・Marcus Miller「Jean Pierre/FREE」
・小曽根真「ドゥムカ(あるべきもなく)/Road to Chopin」
・上原ひろみ「voice/voice」
・Raul Midon「Moment To Moment/SYNTHESIS」
・santana「Whole Lotta Love/Guitar Heaven: The Greatest Guitar Classics of All Time」
[ 野村ケンジ,ITmedia]