仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

3/9 「串たなか」

2010-03-10 18:36:59 | 仙丈放浪記


O社の面接が終り、夕食時間。
冷い雨の中をさ迷ひ歩くのもイヤだつたので、リストアップした候補の中で一番近いところから廻つた。
最初に行つたのは「馬耳東風」。
殘念ながら豫約で一杯。

祈るやうな思ひで、 「串たなか」 へ。
「1時間半だけでよろしければどうぞ」
とのことで、助かつた。

靴を脱いで上がると、堀炬燵式のカウンター。
12席のこぢんまりとした空間で、アットホームな雰圍氣が心地好い。
先客は福岡から來られた若いカップルと、東京から來られた年輩のご夫婦。
東京のご夫婦は20年前に京都に住んでゐて、この店が寺町今出川にあつた時によく來てゐたとのこと。
かういふ根強いファンがゐることが、この店の素晴らしさを物語つてゐる。


こちらの「お品書き」は「一方通行」といふ「おまかせコース」のみ。
全20品で3800千円。
好きなタイミングでストップすれば、その時までの金額となる。

スタートは、お餠から。
さすがに全20品を覺えてゐるわけではないので、印象に殘つたものをいくつか。







「おでん」
思はず、「え?」と聞き返してしまつた。
コンニャクと豆腐だつたかな?
味が滲みてゐて美味しかつた。







「舞ひ茸」
さくさくした齒ざはりと、ベーコンの香りがよい。







「チーズ」
ありがちな1品だが、思つてゐた以上に美味しかつた。
チーズとラズベリージャムがこれほど合ふとは思はなかつた。







「タラの芽」の天婦羅。
纖細な苦みを大切にするために天婦羅にしてゐるのかもしれない。
春が來たんだなあと、實感した。







「うづらの卵」
これもよくある1品だが、こちらでは半熟で供してゐる。
猫舌の私には危險な串だが、ひとくち齧ると、なかから黄身がとろりと出て來て、美味しい。







「トマト」
これも猫舌には危險。
中にチーズが入つてゐて、トマトの汁とチーズが渾然一體となる。







これは、全20品が終つたあとに、追加注文したもの。
さて何でせう?





解答は、「三つ葉・鯛」
三つ葉を鯛で卷いたもので、私にとつてはこれが全20品の白眉。
これが食べられただけでも、「串たなか」に來た甲斐があつた。







デザートは「柚子のシャーベット」。
揚げ物のあとで食べると、口の中がスッキリする。




全20品に、「三つ葉・鯛」と「チーズ」を追加。
お酒は、「八海山」、「玉乃光(特別吟釀)」、「呑ミ足リテ味ヲ知ル」。

「呑ミ足リテ味ヲ知ル」とは變つた名前だが、大將が「日出盛」や「桃の滴」で知られる伏見の松本酒造が出してゐる酒だと教へてくれた。
龍安寺 のつくばひに「吾唯足知」があるといふことも大將に教へて頂いた。
さすがは京都のお店だけのことはある。
さらりと「吾唯足知」が出てくるなんて!
ちなみに大將は繪を描いてくれたのだが、著作權?保護のために寫眞は掲載しない。



酒も良し、串ももちろん良し。
コストパフォーマンスも良し。
大將を始め、お店のかたがたの人柄も良し。
いいことづくしの「串たなか」であつた。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 201003_京都ひとり旅(メモ) | トップ | 3/9 「Wine Bar Viola」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿