1月5日
「夜と霧の隅で」北杜夫
kobo版電子書籍なのだが、なんと初期の短篇も収められていて、読みたいと思っていた『岩尾根にて』が!
『岩尾根にて』
学生時代以来の再読。北杜夫の短篇の中で一番好きだと思っていたのだが、僕の好きな情景描写はなかった。40年以上も勘違いしていた。あれは『幽霊』の最後のほうにあったものだった。
『羽蟻のいる丘』
『霊媒のいる町』
『谿間にて』
『夜と霧の隅で』
1960年、つまりぼくの生まれた年に発表された芥川賞受賞作。
たぶん40数年ぶりの再読。
大戦末期のドイツでの精神病院が舞台。
ほとんど覚えていなかったけれど、いい作品だ。
1月8日
「星のない街路」北杜夫
高校以来、40数年ぶりの再読。
表題作を含む7篇を収めた初期短篇集。
『河口にて』(「文学界」1960年9月号)
『星のない街路』(「近代文学」1958年9月号)
11月の陰鬱な東ベルリンで17歳の少女と出会い…うん、いい感じ。
『人口の星』(「文芸首都」1956年7月号)
『異形』(「新潮」1959年7月号)
『浮標』(「文芸首都」1958年9月号)
『不倫』(「近代文学」1958年11月号)
『薄明るい場所』(「近代文学」1956年10月号)
1月17日
『楡家の人びと』北杜夫
高校時代以来45年ぶり?の再読。
北杜夫の代表作。
この本の函書で、三島由紀夫が「戦後に書かれたもつとも重要な小説の一つである。この小説の出現によつて、日本文学は、真に市民的な作品をはじめて持ち、 (中略) これほど巨大で、しかも不健全な観念性を見事に脱却した小説を、今までわれわれは夢想することも出来なかつた」と称賛している。
ぼくが三島を読み始めたのは浪人時代だったので、彼の作品より先にこの書評を読んでいたことになる。
トーマス・マンの『ブッデンブローク家の人々』にインスパイアされた作品であることは作者が標榜している。
さて、楡家の末娘、桃子がかわいい。
確か三島もそう書いていた。
藍子がまたかわいい!
大正7年から戦後にかけて、関東大震災、大東亜戦争と、日本の激動の時代。
一番若い周二が昭和2年(1927年)生まれだから、大正15年生まれのぼくの父の人生が重なる時代。
日本人はよく頑張ったのだなぁ。
1月18日
「見知らぬ国へ」北杜夫
初読。
2016年、北杜夫の亡くなった5年後に新潮社から刊行されたエッセイ集。
1976年から2001年までに書かれたエッセイなどを集めたもの。
なかでも、「北杜夫全集」の月報に掲載された創作余話がいい。
これまでに読んだ作品が懐かしく思い出された。
また全て読み返したくなった。
特に『白きたおやかな峰』。
中学2年の時に読んで以来、何度読み返したかわからない、ぼくの愛読書。
2年前に引っ越した時に売り払ってしまった。
1月30日
「トーマス・マン作品集・20作品⇨1冊」
楽天koboで、なんと200円!
ぼくの好きな『トニオ・クレーゲル』が収録されている。そしてすべてぼくが読んだのと同じ実吉捷郎訳!
『ヴェニスに死す』と『トニオ・クレーゲル』以外はすべて初読でした。
『ある幸福』
『衣裳戸棚』
『餓えた人々』
『ヴェニスに死す』
再読。
芸術と生活との対立。少年愛。ギリシャ的なるものへの憧憬。三島由紀夫。
『神の剣』
『幻滅』
『幸福への意志』
『小フリイデマン氏』
『神童』
『鉄道事故』
『道化者』
『トビアス・ミンデルニッケル』
『トリスタン』
『なぐり合い』
『悩みのひととき』
『墓地へゆく道』
『予言者の家で』
『ルイスヒェン』
『トニオ・クレーゲル』
何度も読んだ愛読書。最初に読んだのは1974年、実吉捷郎訳の岩波文庫だった。確か90円だったと思う。
"僕は君たちを忘れてゐたらうか?いいや、決して!ハンス、君のことも、インゲ、君のことも・・・"
これがぼくの憶えている訳なのだけれど、この本の訳は違っている。なんでだろう。不思議だ。
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