【大阪国際女子マラソン】 渋井が５年ぶりのマラソン優勝！

變身。

澁井といふと、先行逃げきり型の選手といふイメージがある。
２００１年のこの大會で、初マラソン初優勝を成し遂げた時もさうだつたやうに思ふ。
ところがここ４～５年は、いつも３０ｋｍ前後で失速。
私などは、澁井が走るたびに、どうせ３０ｋｍあたりで失速するんだろ、などと憎まれ口を叩いてゐたものだ。

ところが、けふは違つた。
序盤からのスローペースにも、苛立つ樣子を見せずに、淡々と走る澁井。
おや？これは？
と意外な思ひで見てゐた。
１１月の東京國際マラソンで失速してから、２ヶ月。
もしかして、まだからだが重たいのだらうか？
そんなことも思つたりした。

大阪城から出る直前、２９キロ手前あたりで、澁井はペースを上げた。
いつもの澁井とは反對の動き。
これは、もしかすると、いけるかもしれない。
３３キロあたりで、下りを利用して２位の赤羽を引き離すと、あとは得意の一人旅。

フィニッシュテープを切る時、澁井は右手を高々と突き上げた。
そして、飛上がりながら、全身で喜びを表はしてゐた。
優勝タイムは、２時間２３分４１秒。

澁井が變身した。
スタートから飛びだして３０ｋｍあたりで力盡きてゐた澁井から、集團の中で力を温存し勝負どころで仕掛けるクレバーな澁井へ。
２９歳。
マラソンランナーとして再出發するには十分に若い。
これからのクレバーな澁井陽子に期待したい。

２位は赤羽有紀子。
長距離選手として活躍し、結婚、出産。
ご亭主のコーチで、これが初マラソン。
年齡は澁井と同じ２９歳だが、マラソンではまだまだ成長しさうだ。
タイムは２時間２５分４０秒。
あのスローペースの序盤を思へば、このタイムはなかなかのものだ。

３位は原裕美子で、タイムは２時間２６分５７秒。
この選手は泣きさうな顏になつてからの粘りが身上。
もう少し良いタイムでゴールしても不思議ではなかつたのだが・・・

澁井のインタビュー。
「８年ぶりに歸つて來（ら）れて、凄い嬉しいです！」
初めてのマラソンで優勝した大阪で、再生の第一歩となる優勝を果した澁井選手。
大阪の申し子のやうな澁井選手に、關西在住者のひとりとして、暖かい拍手を贈りたい。




渋井が５年ぶりのマラソンＶ！　世界選手権の代表に決定 （スポーツナビ）